トップ > SF > トリのために > 第11稿「対峙。そして告白」
闇の奥底。
「ぷちん」
きっと、俺はその圧倒的な力に押し潰されてしまっていただろう。
そしてきっと、もう元には戻れなくなってしまっていただろう。
ラボがそこに待っていてくれなかったら。
でもラボはいた。
俺はまだやっていける。
その時は、そんな気がしていた。
第11稿>「対峙。そして告白」
闇の奥底で、俺とラボは向き合っていた。
その時、俺はいつもの雰囲気と確実に違う何かを感じずにいられなかった。
俺の感じていた安心感は、その場に食い違っていた。
ラボのあの悲しそうな顔。
その顔に幾分か陰りが増していた。
そして、ラボが先に口を割った。
急にあらたまった言葉で。
「話さなくてはいけません」
「私がなぜ、あなたのもとに来たのかを」
闇の中で、その声は反響することもなく不安定にうつろう。
それは、いつものラボの声に聞こえなかった。
まるで別人の声。
それが俺を不安にさせる。
「だけど、まだ全ては話せません」
「いつか、話さなくちゃならない時は来るけど」
「今は...まだ」
ラボの目が光ったような気がした。
いつかの、夕暮れの時のように。
ラボ、ラボ。
泣いている?
それは泣いているのか?
「告白します」
「私はしてはいけない失敗をしてしまいました」
言葉というのは空気を響かせる。
それを聴覚で感じ取るのだ。
要するに言葉は、宙に舞う儚い花火のようなもの。
すぐに消えてしまうもの。
だけど、ラボのその言葉は宙に吐き出された後もそこに留まり続け、いつまでも消えないでいた。
俺にはそう感じられた。
「私はその失敗にけりを付けなくてはいけません」
「必ず...必ず」
それを言うとラボの目はより深く悲しそうに光る。
俺は、ラボをそっと抱きしめたかった。
でも、それは出来なかった。
ただ、心に誓ったものはあった。
「俺はラボの味方だから」
「ラボのためなら、なんだって協力できるさ」
その言葉も言えなかった。
きっと、あの悲しい顔。
その理由がこれだったのだろう?
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