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「第37稿:来た」


今日の訪問先である
33-3号室も普通の部屋と何ら変わりなかった。

最近、全く何も起こることはなく訪問は済んでいく。
別に何か起こることを望んでいるわけではないが、
かといって何も起きないと、それはそれで息が詰まってくる思いがした。
将棋や囲碁じゃないが、だんだん打つ手が無くなっていき、
陣地が狭くなっていくような気分だ。

ベランダに出て外の空気を浴びた。
33階というのも中途半端な高さだ。
俺が小さい頃だったら、まだ充分といえる高さだった。
高校に入るか入らないか言っていた頃だ。
超高層ビルが、それこそ順を争うかのように建ち始めたのは。
そんな、遠くに見える街並みがうつろに見えた。
あそこと俺との接点なら、もう、とっくになくなっている。
社会を回す歯車。
一人空回りして、何の価値も生まない歯車。

ラボはどこに行ってしまったんだ?
もう帰ってこないのだろうか?
俺は無駄に足掻いているのかもしれない。
ラボとの接点も、もう...

やめよう。
悲観は、するだけ無駄だ。
今の俺には「夢」がある。
それが本当にあの彼女が言うように、俺が必要とした為に戻ってきたのなら
そこに何か手がかりを見つけられるはずだ。
俺は部屋に戻り、玄関へと向かった。


「来た」


俺は口走っていた。
33-3号室の玄関へとつながっていたはずの渡り廊下がどこまでも伸びていた。
そうだ、異世界へと続いていたのだ。


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