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「第39稿:ワタシになれないワタシ〜メールにて伝う、WSの異変。」


「あの病院の行き止まりの廊下を行ったり来たりしていた」
「何も変わらない、手に入れられない」
「時は流れ進んでいく」
「ワタシはいまだにワタシと出会うことができないでいた」
「ワタシはダレ?」
「ここでは永遠にワタシはワタシを見つけることはできない」
「そんなふうに思っていた時にアナタが来た」

「どうやらここは、アナタの夢の中」
「そう、アナタに会いに来たんだ」
「ワタシは一人、あの廊下で彷徨っていた」
「アナタは気づかせてくれたの」
「ほんの少し、ワタシはワタシを知る事ができたような感じがする」
「ワタシの名前もわかったの」

「ワタシはルクミ」
「アナタはダレ?」

「俺はトリ」

「俺も君に合いたいと思っていた」
「聞きたい事があるんだ」
「あの廊下で君は言った」
「アナタはアナタになればいいと」
「それはいったいどういうこ…

「アナタはもう、つかんでいる」
「その赤い髪」
「それは本当のアナタへ近づいている証」
「次は、きっと黒い手に」

「黒い手?」

「そう」

「さぁ、起きて」
「きっとアナタには、また会うことになる」
「現実の世界で」
「それまでは」
「さようなら」



現実の世界だ。
俺は自分の手を、布団を退け天井に向けて突き上げてみた。
いつもと同じだ。
黒くはなっていなかった。



アタシからメールが届いていた。

差出人:アタシ[gokuraku@okidoki.ne.jp] 送信日時: XX/04/12 (月) 0:12
宛先:ame-furi@cross.neo-road.ne.jp
CC:
件名(J):アンタへ

ねぇ、WS知ってるわよねぇ。
Waterspoutのことね。
あの人類を次世代へとのしあげる教典とも言われているHP。
最近アレが何だか、ちょっと気になるのよ。
アタシが頭の中をあれこれ整理して考えてみたんだけど...
あと、アチラのHPのデータも少々整理させてもらったんだけどね。

これはね、アンタにも関係があることだと思うのよ。
少なからず。
というか、むしろ大きく...
要するにアタシがアンタに言うところの「極楽鳥」との関係が。
欲望。
捌け口を探している。
大きなエネルギー。
行き場のない。
深い深い地脈。
そこでうねっているのよ。
まるで、噴火する時を待っているマグマのように。
それらのエネルギーは普段は何気なく当り障りのない形をしている。
というか見せかけているのね。
いかにも不具合なく世界に対応しているかのように見せかけているのよ。
だけど、それらは時に奇妙な形に姿を変える。
まるで鋭い刃物のような形に。

「極楽鳥」についてはいつか話さなくちゃならないわね。

いや、まぁ、何か、脅しみたいなメールになっちゃったけど大丈夫。
アタシに任せといてよね。
それじゃ、またね。
バイビー。


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