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カッツーン
カッツーン

ラボに死んでもらっては困る
彼女は僕のものだからね

それにしてもトリ
まさかあれだけの欲望を送ってもまだ自意識が残っているとは
早く悪魔になりきってしまえよ


「第54稿:ゲーム


「さぁ、次のステップへ行こうじゃないか」

そう言い放って、屋上に出てきたのはオツだった。
もう一度見てもオツは本当に俺の姿をしていた。
いや、そうじゃないのか。
俺が、俺がオツの姿をしていると、借りていたと...
そういうことなのか?

「そういうことなのかよっ!」

「わかってもらえたかな?」
「トリ」
「悪魔君」

「君はいらない側の三上 哲なんだよ」
「クローンなんだからね」
「しかも出来損ないのクローンだ」
「まぁ、しょうがないよな」
「死んでもらう用だから」

「僕が純血種だ」
「僕が本当の三上 哲だ」
「必要なのは僕だけだ」

「三上 哲は二人も要らない」
「一人で充分だ」
「なぁ、ちゃんと悪魔になってくれよ」
「完全な悪魔に」
「三上 哲のふりはもう止めにしてくれないか?」
「ラボが必要もない困惑をしてしまうだろ」

「ラボが必要とするのは僕だけなんだ」
「僕が必要とするのもラボだけなんだ」
「どちらも君を必要とはしていないんだ」
「本当だよ」
「ラボが君のもとからいなくなった時」
「ラボはどこにいたんだと思う?」
「ねぇ、どこにいたんだと思いますか?」

「ラボ」
「言ってやれよ」
「君がどこに行っていたのかを」

ラボは顔をうつむけて身動き一つしない。

俺の目は見開いている。
充血しているに違いない。
真っ赤な目は憎悪を含んでいるに違いない。
これって何なんだ。
この現実って何だ?
俺は俺に失望していて
俺は俺を捜し求めて
俺は俺じゃなくて
俺は俺を憎んでいる
欲望が勝手にあふれ出して
目の前にいるのは自分なのに自分じゃなくて
すごく憎い。
自分に感じる劣等感。
ジェラシー。
俺は俺を奪われて
そして俺より大切なものさえも。
俺に残っているものって何だ?
ゼロか?
いや、ゼロですらない。
要らないものばっかりたくさん背負っているんだ。
黒い欲望。
どす黒い欲望。

「まぁ、いいさ」
「ラボがどこへ行っていたか君が知ったところで意味はさほどない」
「君は死ぬ」

「ケリをつけようじゃないか?」

「これが見えるかい?」

オツは手を後ろに回すとズボンの後ろポケットから何かを取り出した。
見覚えのある何かを取り出した。
それは...

「そうだ」
「黒い銃だね」

「思い出したかい?」
「僕ら、PCの中でデータとして出会っていただろ?」
「管理室のPC」
「waterspout」
「欲望に飲まれた後の」
「あの氷原のことさ」
「あの時はいきなりこの銃で撃って失礼したね」
「今度はフェアに行こうじゃないか」
「そこに落ちてる白い銃を拾いなよ」
「君の大切な彼女からもらった銃をさ」

「ゲームをしよう」
「サバイバルゲームだ」

「ロシアンルーレット」

「知ってるかい?」
「ロシアンルーレットっていうのはさ」
「その人物そのものの器で生死が決まるんだ」
「トータルとしての争いだ」

「2大要素がある」

「まず1つ」
「運を呼び寄せなくちゃならない」
「大きな流れをつかまなくちゃいけないってことだ」
「自分とその他のものを繋ぐライン」
「それが強固なものかどうか」
「あらゆる全てのものを自分の味方につけられるかどうか」
「その技量を問われるんだよ」
「つまり自分に付随する周りの力の大きさが問われるっていうことだ」

「そしてもう1つ」
「誰より強く、生きたいと願うことだ」
「その願いで誰にも負けちゃいけない」
「引き金を引く恐怖に押しつぶされちゃならない」
「それに押しつぶされた時」
「もう自分は死んでいるんだ」
「また投げ出しな気持ちで引き金を引いてもいけない」
「どうでもいい、どうにでもなれと思った時」
「やはり自分は死んでいるんだ」
「願いを込めるんだよ」
「自分を信じるんだ」
「本当に信じるんだ」
「どれだけ自分を信じられるだろうか」
「そうだ、個としての力が問われているんだ」
「いかに自分という根が大地に深く根ざしているか」
「確固たる自分を持っているかを」

「そうだ」
「トータルな争いだ」
「今まで生きてきた全てで戦うんだよ」



「言っておくけどこれは君に与えるチャンスなんだ」

「君は完璧に消されなければならない対象だ」
「悪魔なんだから」
「放っておいたら、めきめきと力をつけて何を仕出かすかわからないからね」
「ミスは許されない」
「このようなゲームをやっている余地は本当はないんだ」
「すぐにでも君を完璧な悪魔に仕立て上げ」
「亡き者にしなければならない」
「そしてそれは簡単なことなんだよ」

「なのになぜこんなことを僕がするのか?」
「これはね」
「けじめなんだよ」
「僕なりのね」
「あくまでフェアに行きたいんだ」
「きっちり証明してやるのさ」
「僕が僕だと」

「大丈夫さ」
「僕は勝つよ」
「100%」
「偽物なんかに負けはしない」
「君が死ぬ」


「俺は?」
「俺は欲望だ」



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