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君の大好きな 「帰る家を忘れてしまったトリの話」 それが結末へと近づいている 無償の愛をくれるロボット ラボはトリを愛した つくりものの「消えない愛」 でもそれは形を変えていった ラボに組み込まれたその遺伝子 ルクミ 君の願いによって 「消せない愛」へと |
第62稿 「全ての始まり、そして」 |
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そう、全てが始まったのは 俺が君に出会ってからだ。 俺が研究を進めていた 特定の感情を際限なく誇大化させてしまう病気。 なぜ俺がその研究を始めたのか? 実は俺自身こそがその病気に冒されていたから。 「無感情」という名の感情 いつか君は俺に聞いたね。 「先生は怖いものがないの?」 「だって、先生からだけは感じ取れないんだもん」 俺は俺を救うことができなかった。 俺は俺自身になれなかった。 無感情の海に沈み込んで、息もしてなかったんだ。 何も信じられなかった。 疑うことさえできなかった。 例えば愛なんていうものも。 “人が無償の愛を手に入れるのならば、完璧なロボットを作り上げればいい” “つくりものの「消えない愛」こそが僕らを癒してくれる” 君も君自身になれるかどうかの境界線をさまよっていた。 だから俺は「君を救う」と固く決意した。 決意できたんだ。 感情の伴わない人間未満のはずの俺に。 だけど その決意も叩き潰された。 君を救う希望が現われたはずだった。 三上 哲。 俺の甥。 3人目の病人。 そう、「欲望」を誇大化させる子供。 俺は思いついた。 君の「恐怖」とその子供の「欲望」との相殺を。 しかし それが失敗に終わり 君が死んだ... その時 三上 哲から生まれたのが 「オツ」と「トリ」 君はクローン体の方に「トリ」と名づけた。 もうすぐその君の大好きな「トリ」がここに来る。 今度こそ これらのことすべて 彼に話そうと思う。 「トリ」は 俺の作り出した子供みたいなものだから。 そう 君と同じだ、ルクミ。 月蝕の夜、今度こそ君を救い出せた。 これで全て終わるんだ。 |