トップ > SF > トリのために > 第8稿「降水確率83%」


...地方南部は、曇りのち雨。
所により雷を伴う雨となるでしょう。
降水確率は83%。
お出かけの際には傘を忘れずにお持ちになって...

ベッドの枕もとにおいてあるラジオから流れてくる天気予報。

窓から見える空は薄暗く、厚い雲に覆われていた。
今にも雨が降り出しそうな雰囲気だ。
急に騒がしくなり始めた風の、水分を含んだような匂いでそれがわかる。
窓を閉めようとベッドから立ち上がろうとした時だった。
姉さんが、俺の部屋に入ってきたのは。

その時の姉さんは、いつもは見せない表情をしていた。
何かを決意したような。
外では、少しずつ雨が降り出しているようだった。


第8稿>「降水確率83%」


1階の訪問を全て済ませた俺とラボは、2階の訪問を始めていた。
最初の数日は何も起こらなかった。
訪問した部屋で何も起こらないとき、俺たちはそこで食事をとるようになった。

正直、それは俺にとって、とても楽しいものだった。
ラボと俺は食事をしながら、料理についてよく話した。
ここをこうすると、もっと美味しくなるんじゃないか?
今度は何を作ってみようか、こんなのがいいんじゃないか?
食事をとる時間は、自然に笑みがこぼれたりした。
それは本当に久しぶりのことだった。
そんな時、俺とラボとの間の空気が少しずつ親密になっていくような気がしていた。

だけど、それは俺だけが勝手にそう思っているのかもしれないとわかった。
確かに二人でそんな話をしている時、ラボも笑った顔を見せてくれる。
そして、その笑顔は俺をとても安心させてくれた。
しかし、俺は気づいてしまったのだ。
そんな笑顔を見せる合間に、時よりラボがまた、あの悲しそうな顔をすることに。
俺に悟られまいと、俺に顔を見せないようにして...

ラボは、ラボはいったい何を考えて、あんな悲しそうな顔をするのだろうか?
ラボの心の中にはどんな気持ちが隠されているのだろうか?
俺にはもう、ラボがロボットだなんて思えなくなっていた。

2-6号室だった。
次に事が起こったのは。
俺とラボがそこの部屋に入り、ドアを閉めた時。
あの匂いがした。
記憶の奥底に眠っていた匂いは、一瞬でその思い出を回帰させた。
急に騒がしくなり始めた風の、水分を含んだような匂い。
姉さんが俺を抱きしめた日の。

雨が降り出したのだ。
2-6号室に。


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