まず誰しも最初に疑問に思うこの名前。いったいぜんたいなんでどうして「赤」モンガラなの?
その答えは彼らの歯にある。よく見るとなるほど確かにドラキュラのように(ドラキュラの歯は赤くないけど)凶暴そうな赤い牙があることに気付く。そもそも本当はアカハモンガラという名になるはずだったのが、単なる脱字でアカモンガラに決定してしまったらしい。
彼らアカモンガラは、ここで紹介している他のモンガラたちとは異なり、中層でプランクトンを食べるため、多数が集まって、まるでダンスパーティーでもしているかのように楽しそうに群泳している。
そのような採餌中は遙か水面付近にいるから遠くから見守るしかないが、根の周辺にいるようなときは、我々人間が近づくと一斉に下降し、隠れ家である根の付近までやってくる。そしてさらに本格的に危険を感じると、穴の中に潜り込むのだ。
と、ここまでは危機管理能力の点で何も問題ない行動と思えるのだが、彼らが逃げ込んだ穴を見ると、ほとんど100%の確率で、しっぽがヒロロ〜と出ているのである。これぞまさしく頭隠して尻隠さず、という典型的あほタイプの逃げ方をする。
しっぽがそのように出ていると、つい引っ張ってみたくなるというのが人情というもので、やってみると、アカモンガラは体をぷるぷると震わせて、全身で「やめてくれ〜」と訴える。
しかしこのような一見愚かっぽい姿だけが彼らではない。繁殖期になると話は別で、一歩でも彼らの卵があるに違いない縄張り内に踏み込もうものなら、猛然とこちらに向かって突進してくる。赤い牙をむき出しにして、自分より何倍も大きな相手に向かってくるのだから、突撃される側としては普段の姿を知っているだけに面食らってしまう。だいたい突進してくるのはその群れの中の決まった一匹で、おそらくハレムのボスであろうと思われる。