
ゴマモンガラ
全長
40センチ|
キヘリモンガラが砂底の大魔人なら、コイツは岩場の破壊王といえるだろう。目当てのカニなどを見つけようものなら、邪魔になるサンゴや岩を強力な顎でガリガリバキバキと破壊し、どうだ、と言わんばかりに獲物をゲットする。写真のゴマモンガラも餌探しの最中で、夢中であるがゆえに近づくことができた。 この破壊王、凶暴さでいったらキヘリの上をいくことは間違いない。この凶暴さは繁殖期に見られ、うっかり近づくと鋭い歯をむき出して猛然と突進してくる。特に大きなオスなどは、50mくらい平気で追跡してくる。ストロボ光を浴びせて撃退しようとシャッターを切ったときの写真が手元にあるが、それを見るといまだに当時の恐怖がよみがえる。あのときの彼の目には、間違いなく殺意があったと確信している。 そのあまりの恐ろしさのため、その卵を確認するまでには長い月日を要したものの、ここ数年は比較的コンスタントに見られるようになってきた。ガレ場に作る彼らの産卵床は、キヘリモンガラと違って遠目ではその存在はうかがい知れないが、見慣れてくると、親が卵をケアしている動きというものがわかるようになるのだ。ガレ場の瓦礫を寄せ集めて直径20pほどの窪地を作って、その中に産んでいる。 スズメダイ類などと違って、産卵から孵化までが極端に短いモンガラ類は、メスが卵を守っている。オスよりは幾分小柄なので、そおっとそおっと近づいてみると、それでもやはり2m手前まで近づいた時点で攻撃されてしまう。 間近で見ると、卵をケアするゴマモンガラはやさしく美しく、母性の塊のような姿だ。なんだかゴマモンガラに対する見方が180度変わってしまう。そんな彼女に守られている卵は、ほんのりわずかにピンク色で、キヘリモンガラの卵にそっくり。 |