イソモンガラ

全長 4センチ(大人になると35センチ)

 イソモンガラと聞いてもピンと来ない方が多いかもしれない。成魚はいたって地味な体色だから。でも、この幼魚の愛くるしい顔を見れば愛さずにはいられないでしょう?僕の中では、思わず頬擦りしたくなる魚ベスト5に入る。

 幼魚は、岩や貝殻が適度に転がっている砂地で見られる。とはいえそこらじゅうにいるというわけではなく、年中見られるわけでもない。見られる年もあれば見られない年もある、というくらいの頻度でしかない。その分ヨロコビもひとしおなのである。
 出会いの頻度は多くはないが、一度見つければある程度の期間は同じ場所にいてくれるから、同じ個体には何度も何度も会いに行くことができる。

 小さな頃は小岩や貝殻の穴を隠れ家にしていて、いつも寂しそうに辺りを見回している。おうおう、そうかそんなに寂しいか、と相手をしてやろうと思って近寄ると、たいてい巣穴にヒュ〜ンと逃げ込む。寂しいわけじゃなかったのだ。
 その際、個体によっては穴に入るのを入り口付近でグッと我慢するものがいたり、逃げ込んでもすぐ出てくるものがいる。一番おもしろいのは、逃げ込んでから再び出てくるときに、あたりを伺いながらジワリジワリと超スローモーションで出てくるヤツだ。まるで初日の出を拝む気持ちで、頭頂部を見つめることになる。

 そんな様子を楽しめるのは、幼魚がその巣穴に入れるサイズの間だけ。1、2ヶ月もするとその穴に入れなくなるサイズになり、同時に行動範囲も広がる。2m四方に点在する3〜4個の岩を避難場所にするようになるため、特定の穴に逃げずに他の場所へ移動することが多くなるのだ。そのころにはもう幼魚の面影はなくなっている。
 無事に育つのはめでたいことだが、ほんの少し寂しい気がするのであった。