キヘリモンガラ

Pseudobalistes flavimarginatus

全長50p

 顔が90パーセントを占める極端な体型で圧倒的な迫力を持つ、という通称「砂底の大魔人」。ふと気がつくと、こちらをギロリと睨みながら品定めするかのように周りをゆっくりと泳いでいたりする。
 その近くの砂底には、直径
1.5m ほどのすり鉢状の窪みがそこかしこにボコボコとあり、中央付近には瓦礫が積まれている。それに近づいてはならぬ!と全身で語っているような気配を感じたら、勇気を出して近づいてみよう。きっと突然大魔人が猛ダッシュで突進して来るからビビるに違いない。

 どうして彼らは怒っているのかというと、大魔人はすり鉢の底で卵のケアをしているのだ。そう、このすり鉢は彼、いや彼女の産卵床だったのだ。
 卵は、ゼリー状とはいえないまでもそれぞれがくっついた卵塊で、一つ一つはかなり小さい。この卵を守るため、彼女は睨みをきかせていたのだ。

 魚類行動学の神様、桑村哲夫大先生によると、キヘリモンガラは早朝に産卵し、その日の夕刻には孵化するという。保護期間が短いのでメスにとって負担が少なく、そのためメスが卵を守るのが普通らしい。
 一回の産卵につきたった一日しか卵を持っていないとはいえ、夏場はかなりの頻度で見ることができる。興味のある方は夏に来てね。水納島にはキヘリモンガラはたくさんいるから。