ノコギリハギ

全長 4センチ(大人になると6センチ)

 「擬態」と一口に言うけれど、枯れ葉や岩、海藻に似せるものがある一方で、他の魚にそっくりな姿形になる、という手段もある。
 このノコギリハギなどは、「他の魚のそっくりさん」という話には欠かせない存在だ。

 念のためにいうと、このノコギリ君はシマキンチャクフグのフリをしている。
 なんでわざわざフグの真似をするのかというとほかでもない、フグは毒を体内に含んでいるせいで、他の魚に襲われることがないからである。そのフグのフリをしていれば、身の安全は保障されたも同然だ。本当かどうか知らないが、とりあえずそういうことであるらしい。

 これがまた実に見事なソックリさんぶり。
 もちろん、見比べればツラツラと違いを書き記すことができるほどに差異があるとはいえ、海の中で、それも幼魚に出会うとなかなか区別が難しい。
 ま、だからといって何も慌てふためくことはない。どっちだっていいのである。間違ったからといってCカードを没収されるわけではない。その時の気分で
 「これはノコギリハギ!」
 と思えばそれでいいのだ。

 だいたい、ノコギリハギやシマキンチャクフグ自身が間違っていることもあるんだもの。何を血迷ったか別種同士仲良く泳いでいることがままあるのだ。彼らでもわからないのに、我々人間が間違ったとて誰がとがめようか。なかには鬼の首を取ったように、ここぞとばかりにからかうガイドもいるけどね。

 ところで、写真の魚はノコギリハギだよね?