ヨメヒメジ

Upeneus tragula

25cm

 あんまり派手ではないし、目立った動きを始終しているわけでもないので人知れずひっそりと暮らしている感のあるヨメヒメジ。しかし彼にはちょっとしたワザがある。
 砂地で休んでいるときはたいてい写真のように体にマダラ模様が浮かび上がっているが、ほんの少しびっくりさせると、泳ぎだすとともにマダラ模様は急速に消えてしまうのだ。たいした距離を逃げないので、マダラを出しては休み、びっくりさせられてはマダラを消し、またマダラを出しては休み、というのを繰り返して見ることができる。

 これは、砂底には瓦礫が多く、マダラ模様を出していれば周囲の瓦礫の陰影と同じように見え、また泳ぎ出すと周囲は白い砂地なので白っぽい方が目立たない、という配慮なのではなかろうか。ヨメヒメジは地味ながらも隠れたところで工夫をしているらしい。

 地味地味とはいえ、このヨメヒメジはオジサンの仲間の中ではなかなかにシャープな姿形で、十数匹が砂底付近で編隊を組むときなどは案外かっこいい。この手の魚にも暖かいまなざしを向けられる余裕ができたなら、この魚にも少しばかり注目してやってもらいたいものである。