???小澤征爾、岩城宏之など多くの音楽家から全幅の信頼を得、さらには、カラヤンをステージに送り出した男、宮崎隆男。サントリーホールの初代ステージマネージャーとして活躍した宮崎が、クラシックコンサートの舞台裏を、興味深いエピソードをふんだんに交えて語るのがこの本である。 ???ステージマネージャーは、音楽家が最高の状態で演奏できるようにステージに送り出す役割を負っている。その「最高の状態」というのがくせ者で、緊張する音楽家をステージドアから舞台に送り出す役目だけではなく、楽器の搬入や楽屋の割り振り、椅子や譜面台のセッティングなど、仕事の幅はとてつもなく広い。コンサートを仕切るためになくてはならない役割ではあるが、舞台裏に隠れ、決して目立つことのないのがステージマネージャーなのだ。 ???宮崎は「クラシック音楽界の名物男」といわれるだけあって、ユニークなエピソードには事欠かない。ピアニストで指揮者のバレンボイムがアンコールを9回もやり、オーケストラの団員が不機嫌になった話や、死の1年前、病魔と闘いながら指揮台に上ったカラヤンの話など、宮崎が舞台に送り出したマエストロたちの興味深い逸話は尽きることがない。また、現代音楽上演の際の苦労など、ステージの見方が変わるような話も満載だ。 ???巻末には、サントリーホールの創立から現在までの3代にわたるステージマネージャーの鼎談が掲載されている。活躍の時代が異なる3名のステージマネージャーそれぞれの体験は、そのまま、日本のクラシック音楽界の歩みを追っている。(朝倉真弓)
マエストロ、トイトイトイ
日本が誇るクラシック音楽専用ホールである、
溜池のサントリーホール。本書はその
初代ステージマネージャーのエピソード集である。
ステージマネージャーとはバックスタッフの長、
芝居で云うところの舞台監督であろうが、読後、
遥かに仕事が大変そうなのが印象としてある。
やはり繊細な楽器というものが荒ぶる舞台の上に置かれる、
という点に起因するのであろうか。
本当に苦労の多い職場だということは伺えるが
舞台に出る指揮者に「マエストロ、トイトイトイ」と声をかけ
送り出す名誉はステージマネージャーのみのものであり
全ての苦労はそこに報われるのだろう。
すばらしいホール、すばらしい公演。
しかしその背後には目立たぬ、しかし誠実な
スタッフワークがあることを本書は教えてくれる。
著者とは
知り合いなんですが、読み直して「あんな事あったなぁ」とか「こんな事聞いたなぁ」とか思い出されます。 なかなか、この仕事を知らない方が多いと思いますが、読んでみると色々と分かり面白いです。
ヤマハミュージックメディア
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