ラジオデイズ Radio Days(1987)       <BACK>

監督・脚本:ウディ・アレン
出演:セス・グリーン、ミア・ファロー、ジュリー・ガブナー、ダイアン・ウィースト、マイケル・タッカー、ジョシュ・モステル、ジェフ・ダニエルズ、トニー・ロバーツ、ダニー・アイエロ、ダイアン・キートン

テレビがまだなくて、ラジオが家族の団欒の中心だった時代。「ラジオ・デイズ」は、そんな時代のヒット曲43曲をちりばめたノスタルジック・コメディで、ウディの自伝的要素の強い作品だ。ウディ映画の中で唯一、子供が主演なのが特徴。ラジオに夢中の少年とその家族の話と、ナイトクラブのシガレット・ガール、サリーがラジオ・スターになっていくまでの話を軸に、ラジオ時代のおかしなエピソードを盛り込んでいく映画だ。ダイアン・キートンの特別出演も話題の一つ。

「ラジオデイズ」の下敷きとなっているのが、フェデリコ・フェリーニの「アマルコルド」(73)です。ウディは「スター・ダスト・メモリー」でも、全編「8 1/2」のパロディをやっていますが、「ラジオデイズ」も「アマルコルド」と類似している部分が多い。「アマルコルド」はフェリーニの自伝的要素の高い作品と言われる一本で、少年期のいたずら、性への関心、憧れ、不安が季節の推移とともに描かれる70年代の代表作。同じ少年期をあつかった作品でも「ラジオデイズ」の場合は、ラジオを話題の中心に据えているから、その要素も作品の一部分としてしか語れないけれど。ウディ自身は「幼年期に大切に思えた歌に関する想い出を書きたかった」と言っている。

エピソードの一つとして登場するのが「火星人襲来」。あまりにも有名な1937年のオーソン・ウェルズのラジオ劇ですので、ここでは触れませんが、90年代版火星人襲来かといえる「マーズ・アタック」(97)を監督した、ティム・バートンについて。T・バートンは80年代版「市民ケーン」といえるウディの傑作「カメレオンマン」に構造が似ている「シザー・ハンズ」に、ダイアン・ウイーストを出演させているし(まわりくどい文章でスマン)、ウディの「アリス」(90)に出演したリサ・マリーと結婚したりして、結構ウディ通である。マーティン・ランドーも「エドウッド」でオスカーを取る前に、「重罪と軽罪」でオスカーノミネートされている。

これもエピソードの一つ。主人公の家族は動物園で、ラジオに出演している天才少年に出会います。アメリカ現代文学が好きな方は、すぐピンと来ると思いますが、これは、サリンジャーの「フラニーとゾーイ」(新潮文庫)に代表される一連の天才兄弟のシリーズが元ネタでしょう。このサリンジャーの作品を映画の元ネタにしたのが「リトルマン テイト」。監督はウディの「影と霧」に出演し、自らも神童といわれたオスカー女優、ジョディ・フォスター。この作品には、ダイアン・ウィーストが出演している。そういえば「らい麦畑」ネタが「アニーホール」にありましたね。

主人公の少年が、ダイアン・ウィースト扮する叔母とその恋人に連れていってもらったジェームス・スチュアートが出演してる劇中映画はなんでしょうか?僕は「素晴らしき哉、人生」かなと思ったのですが、パンフによると「フィラデルフィア物語」のようです。時代設定的にもこっちの方が合いますね。

ミア・ファロー扮するラジオ・スターが参加する”USO”とは何でしょうか?”USO”とは、United Service Ordanization(米軍慰問協会)のことです。戦争中に兵隊さんの基地を回って、歌を披露することで楽しませた芸人たちが参加してたものだと思います。マネーネ・ディードリヒなんかもそうですね。”USO”に参加した芸人の半生を描いた「フォー・ザ・ボーイズ」(91)は、ウディが「結婚記念日」で共演したベット・ミドラーが主演していて、おすすめです。

海岸で目撃するナチスの戦艦は、スピルバーグの「1941」で使われた日本軍の潜水艦のミニチュアが使われたそうです。

ラジオ・ニュースのエピソードで登場する「井戸に落ちた子供」ネタがありますが、同じネタがテリー・ギリアムの「12モンキーズ」で使われています。「ラジオデイズ」がノスタルジックに使っているのに対し、「12」のほうは、”実は井戸に落ちてなかった”という、ブラックな展開になります。さすが、モンティ。

データ的なことで申し訳ないですが、劇中では、フランク・シナトラの「if you are but dream」が使われています。シナトラは、ミアの元旦那さんでしたよね。

参考・引用文献:「ラジオデイズ」劇場用パンフ、「e/mブックス ウディ・アレン」(カルチュア・パブリッシャーズ刊)、「ウディ・オン・アレン」(キネマ旬報刊)「フェリーニを読む」(フィルムアート社)、「フォー・ザ・ボーイズ」劇場用パンフ