★至高のメカニズム・グランソネリ★

写真提供&アドバイザー:Grantham師匠&Kさん
レポート構成編集:トキオ

「リピーター以前の時打ち懐中時計」

 一般にリピーターの発明は、1685年頃、D・クエアによる物とされていますが
実はそれより遙か昔から、懐中時計にも時打ちの機構を持った
「ソネリ(クロックウオッチ)」という物がありました。

いつでも任意の時間を鳴らす事が出来るリピーターが発明されてからは、
作られる数も急激に減ったようですが、ソネリが衰退した原因の一つとしては、
リピーターに比べメカニズムが複雑で、製作が難しく手間がかかるのと、
リピーターの方が使い勝手が良かったという点が大きかったと思われます。
また当時の貴族が、ボタン操作でいつでも鳴らせるリピーターの方が
「いつでも目立てる!」 という点でリピーターを選んだのかもしれません。

「鳴り物マニアの憧れ」
 時計の三大複雑機構の最高峰と言われているミニッツリピーターですが、
鳴り物コレクターの行き着くところは、やはりグランソネリなのです!!
グランソネリこそがリピーターマニアの上がり時計なのですよ!!

一般には、鳴らしたい時に鳴らせるリピーターの方が凄いんじゃないの?
チンチン鳴りっぱなしのソネリなんて柱時計みたいでうるさいだけじゃないの?
といった誤ったイメージを持たれている方もいらっしゃるかも知れませんが、
グランソネリも鳴らしたい時に鳴らせるし、鳴り止めのスイッチも付いています。
(物にもよりますが。)

私の脳内ランクで言えば、
グランソネリ >>> … ||| 超えられない壁 ||| … >>> ミニッツリピーター>>>…
と言う位の差があります。

置き時計のウエストミンスターチャイムをお持ちの方は御存知と思いますが、
時打ちの直前になると、小さなカチッ!という音がします。
そして時間になると、ラックの倒れる音がカチャッと鳴り、チンチンチン・・・と
時打ちを始めるのです。
これらの全てが懐中時計サイズの小さな空間で自動で行われると言う凄さ!!
置き時計のパーツを懐中サイズまで凝縮した、その驚くべき精緻なメカニズム。
このパーツの作動を実際に目で見てしまうと、ミニッツリピーターとは別次元の
何か不思議な物を見たような感覚すら覚えます。

さて、それでは次にグランソネリの分類についてお話ししますが、ソネリを細かく
分類すると、かなりの種類の説明が必要となり、収拾が付かなくなりますので、
今回は代表的な3種類について解説する事とします。

--基本的な3種類---(原文:Grantham師匠)

@ アワー/クォータで独立した輪列を持ち、ゲザリングパレットとラックも
 それぞれ1組みずつ持ったもの。(
例1
 ※メカニズム的には全く合理化されておらず、複雑で面白いが
  部品数の多さが時計師泣かせの機構である。

A 一組の輪列とゲザリングパレット/ラックで、アワーとクォータを打ち分けるもの。
 ※こちらは上の機構を合理化した構造で、機能的にはあまり変わり無い割に
  部品数が少なく出来ている。(

  今回御紹介する3つのムーブメントは、全てこのタイプです。

B 基本となる機構がリピータと同じで、時打ち輪列とリピーティングラックの結合が
 ラチェットになっており、毎正時/クォータに、ラックが弱いスプリングで落ちた後、
 時打ちの輪列が起動する物。(現代の腕時計ソネリや、19世紀以降の
 グランソネリに多い、ミニッツリピータの対応も容易)(


 ※この機械の特徴は、@とAが基本的にソネリ機構をベースにしているのに対して、
  こちらはリピーターの機構がベースになっているのが特徴。
  一番合理的で無理の無い構造と言える。
  リピーターの場合は、レバーやボタンによりゼンマイが少し巻かれ、その戻る力で
  ラックを動かしてハンマーを作動させるが、こちらの機構では、ゼンマイ(輪列)は
  常に一方向に回転するだけなので、ラックが作動する時は、輪列との
  噛み合い部がラチェットによって逃げ、ラックが戻る時に噛み合うのである。

● 1900年頃〜現代の物は、基本的にはBと同じ機構で、香箱を二つ持っている
 タンデムワインド式が多い。香箱一つで時計とソネリを兼用している物もあるが、
 パワーリザ−ブ的には不利な構造と言える。
 「グランソネリ、プチソネリ、サイレント」の切り替えレバーがあり、
 小さなボタンをちょっと押すだけでリピーターとしても作動させられる。
 (ミニッツの場合は分まで打つ。)
 リピーターと同じく、時計のグレードによってメカの作りも並品から高級品まで
 千差万別ある。リピーターで知られるラファーレの並品ムーブみたいな構造の
 グランソネリもあるので、可能ならば購入の前にダイアルの下を見せて貰った
 方が良いだろう。(殆ど不可能に近いけど。)

※更に、古い時代の物にはグランソネリとアラーム、リピーター等を併せ持った複雑時計も
存在し、鳴り物に鳴り物を組み合わせると言う、なんとも凄まじい時計も作られました。
コレについてはGrantham師匠から現物の写真を頂きましたので、これを例に
次のコーナーでは複雑なグランソネリのシークエンスを御説明したいと思います。


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