DETENT CHRONOMETER
(デテント・クロノメーター)

「マリンクロノメーター」

お友達の柴犬太郎さんから、またムーブメントのケーシング依頼がありました。(笑)
まず元の状態を御覧頂きましょう。



機械は「ピヴォテッド・デテント」のクロノメーターで、一応ケースはあるのですが、
何故か吊り環(ペンダント)が無く、裏蓋にはカギ巻き&針合わせ用の穴が開いています。
所謂ガッチャ業界でいう所の”浅田飴ケース”ですな。(爆)

このケース、良く見たらアメリカ18サイズのケースを大改造して作ってあり、
金属板の積層ロウ付けで厚みを合わせるなど、大変に手間のかかる改造がなされていました。
若干素人っぽい仕事ですが、旋盤加工の跡もあるので、どちらにしても
それなりの腕のある人物によって製作されたケースです。
しかし裏蓋の鍵穴は痛々しいですね。これは後年開けられた物と思います。

で、柴犬さんの依頼は、このムーブをカギ巻き懐中ケースにリケーシングして欲しいとの事でした。

ではまずムーブを見て行きましょう。




こちらはダイアル下の日の裏部分です。右はインジケーター部分。
一見して最高級の作りである事が見て取れます。
地板の装飾、厚いブリッジ、石数もカギ巻きにしては多そうです。



こちらがムーブ裏側です。アクリルの中蓋が付いていますね。



所謂リバース・フュージーというタイプで、チェーンがたすき掛けになっています。
(このタイプは初めて見ました。)



リバース・フュージー、ヘリカルスプリング、ピヴォテッド・デテント、ダイヤモンドエンドストーン
などなど、見所満載のムーブですよ。
以前ナルダンで同じ形式のムーブを見た事があるのでナルダンエボーシュかと思ったんですが
コンプリートプライスガイドによると、E,J,DENTの時計に、そっくりなムーブの写真が出ていました。
しかしDENTが15石なのに対して、こちらのムーブは恐らく19石はありますね。
まぁともかくこんな凄い作りのデテントは、そうそうお目にかかれませんよ。

ダイアルに稼働時間表示のインジケーターがありますので、元々はマリンクロノメーター、
もしくは懐中タイプのデッキクロノメーターだったかも知れません。



この時計、柴犬さんが入手された時はチェーンが切れていたそうで、
とある時計店に修理に出したら、細いスチール線の束を
こよりにしたワイヤーで修理されたそうです。
(ムーブ自体もOVHしたそうなので、今回私はムーブはいじっていません。)

ウチには代わりのチェーンがありますが、このままでも数年は持ちそうなので、
このままとしました。ヘタに分解して壊したらシャレになりませんからね。(^^;)

さてさて、それでケーシングに取り掛かるわけですが、色々考えた結果、
別のケースにリケーシングするのでは無く、現状のケースを懐中型に改造する事としました。



はい、出来ました!!どうです?綺麗に出来たでしょう?

裏蓋の鍵穴は塞ぎましたが、若干跡が見えてますね。
元々あった乗馬のレリーフは盛り上がり部分を削り落として、表面を滑らかに研磨。
さらに上からニッケルメッキをかけてあります。

吊り環は別のカギ巻きケースから取った物を移植。ネジ固定しました。
思ったよりカッコイイじゃん!!いけてるジャン!!



やっぱりデテントにはフュージーですよ。これこそが本式のマリンクロノメーター仕様です。
香箱式のデテントなんてチャチくてねぇ。



換えのスケルトン裏蓋も作りました。これだと裏から動く機械を楽しめます♪

と言うわけで、柴犬さん、これでいいですかぁ〜?

END