Traditional fusee wristwatch

ウチのHPは基本的に”時計いじりで一発芸”というのがコンセプトなのであります。
今回はこんなの作りましたよお客さん! で、どれだけ笑いが取れるか?

私はガラ師と言うよりも
”時計芸人”と言うべきかもしれません。

雲上メーカーのウン千万円のミュージカル腕時計も、100円のオルゴールと
中華の安物時計を組み合わせてほぼ同じ機能の物が作れる。
100万円以上するスターホイールも1万円のユニタスベースで2日で作れる。
そんな機能のどこにそんな価値があるのか?
私が作るカスタム時計は、かっこつけて言えば雲上メーカーに対する

    ”アンチテーゼウォッチ”なのであります。   

          
言うたった。( ̄ー ̄)フフッ♪


今回のカスタム時計発想の原点は、今年●レゲ社から発表された新製品の
●ラディショナル・●ュージー・●ゥール●ヨンが元になっています。
私はこういう雲上メーカーが作る一発芸時計が大好きなのです!!


この時計はまだレポートが出ていないので詳しい構造や機構が明らかになっていません。
現時点で分かっている事は、フュージー・チェーンを使ったトゥールビヨンであり、
バレルは一つで2枚のメインスプリングを持っているという事だけです。

フュージーが使われていた頃の時計はゼンマイにしなやかさが無く、巻き上がりと
解けた状態でのトルクの差も大きかったと思われ、脱進機もバージが主流でしたから、
フュージーは安定したトルクを供給するという意味で重要な役割を果たしていました。

しかし現代のゼンマイは昔の物と違って非常にしなやかで、ゼンマイ自身が安定したトルクを
放出できるようになっています。
こういう事から、私は現代の腕時計でフュージー・チェーンを
使うという事に多少の違和感を覚えていました。

でもまぁゼンマイ自体のトルク変動が少ないとは言え、多少のトルクの減少はあるかも知れないし
そういう微妙なトルクの変動をキャンセルするためのフュージーなのであれば十分に意味がある。

しかもこの時計はトゥールビヨンだ。となればこの時計は驚くべき高精度を実現出来るはず!
・・・でなければこれもまた見た目の面白さを売りにしたファッションビヨンと同じことに
なってしまうからです。

まぁ、どの位の精度なのかはクロノス誌でレポートされる事を期待するとして、
話をカスタムに戻しましょう。

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「フュージー・チェーンが見える腕時計を作ろう!」

実は私は数年前にバージ脱進機のフュージームーブで腕時計を作った事がありました。
しかしバージウォッチは厚みがあり過ぎ、腕時計にするにはかなりのムリがありました。
ゼンマイの巻き上げも風防に穴を開けたりしてたので、到底実用では使えません。
そこで今回はもう少し時代の新しい1880年頃のイングリッシュレバー脱進機のムーブを
使う事にしました。

ムーブは文字盤側の直径が37ミリ位。裏側のプレート直径が32ミリ位。
バージウォッチほど厚くないので、ユニタス用カスタム腕時計ケース(径42ミリ、厚さ13,5ミリ)に
無理なく納まります。


今回のカスタムコンセプトは、●ラディショナル・●ュージー・●ゥール●ヨンと同じように
表からフュージー・チェーンの動きを楽しめる時計にする事をテーマとました。




ベースムーブを仮固定したところです。
今回はフュージーを表から見えるようにするため、、ムーブを表裏逆にケーシングします。
ケースの厚みをかせぐために、上下の風防をドームガラスに交換しました。

カギはどうやって巻くのか?ですが、このケースは上下ともネジ蓋なので、
ゼンマイを巻く時は表蓋を開けてカギ巻きし、時間合わせは裏側から行います。
リューズの穴は塞ぎましたし、上下ベゼルを強くネジ込みすれば日常生活防水時計として使用可能。

このままの状態でも十分カスタムウォッチとして通用しますが、今回はココからが勝負です。
このムーブのプレートを切り抜き、スケルトン化してフュージーの動きが見えるようにしなければなりません。



で、これがプレートをどのように切り抜くかのデザインスケッチです。
このようなスケルトン化のカスタムは初めてなので、あまり強度が落ちないように
極端に細いラインのデザインは避け、フュージーが見えるようにすることをメインに考えました。



プレートの切り抜く部分をマジックで書いた所。



切り抜きラインに沿って、細いドリルで穴を開けます。
新品の切れるドリルでサクサク削れば、変形のリスクが低くなります。



荒加工状態のプレートとブリッジ。ここまで1時間程度の作業です。
細い部分を持って加工すると変形しますので注意が必要。
切り抜いた側面を紙やすりとシリコンポイントで鏡面になるまで磨きます。
切り抜きを始めて仕上がるまで3時間掛かりませんでした。



プレートを開いたムーブメント。下側は切り抜く必要はありませんのでこのままです。



超音波洗浄後、切り抜き仕上げが終わったプレートを組み立てているところ。
バレルのフタにも穴を開けて、ゼンマイの巻き上がり具合が見えるようにしました。

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