| ★ルモントワール時計・弐号機の改良★ Le remontoir et l'echappement |
ご無沙汰しておりました。久しぶりの更新です。
3年前に製作したルモントワール時計ですが、時計の構造上
根本的に色々な問題があり、ちまちまと改良を続けておりました。
ルモントワール機構では、ルモントワールSPに脱進機を駆動できるだけの
テンションを保持しておく必要があります。これを説明の便宜上
ルモSPの”初期テンション”と呼びます。
ルモ時計は、香箱側から来るトルクが、この初期テンションを上回ると
自動的に脱進が始まり、ルモ装置の下流へはルモSP一脱進分のトルクだけが
流されるようになるので、このルモ脱進が続く限りは、脱進機へ流れるトルクは
常に一定になる訳です。
しかし香箱のトルクは徐々に減衰しますので、ある時間稼働すると、
香箱側とルモSPの初期テンションの均衡が発生します。
すると、それ以後はルモ脱進が起こらなくなり、残った香箱のトルクが
そのまま脱進機へ流れて、トルクが切れると時計も停止します。
ですから、ルモ装置がトルクを均一化出来るのは、ルモ脱進している間だけで、
脱進が終わると、普通の時計と同じように、徐々にテンプの振り角は落ちて行きます。
私の弐号機には試作段階でルモSPの初期テンションを保持する”規制ピン”を
付けていたのですが、工作精度の問題などで上手く動きませんでした。
しかし規制ピンが無い状態だと、トルクの均衡以後、ルモSPのテンションも
徐々に解けてしまうため、停止時にはルモSPテンションも完全に解けてしまって、
竜頭を巻いて主ゼンマイを巻き上げても、再起動が不可能な状態になってしまう。
そこで私はやむを得ず、12時間で自動的にテンプを強制停止させる装置を付けて
ルモSPのテンションが解けるのを防いでいました。
この画像は初号機の者ですが、自動停止装置はこんな感じです。

しかし、その後の改良によって規制ピンを取り付けても動き続けられるようになり、
本来のルモントワール時計の動きが可能になりました。
まずこれがルモSPが取り付けられた弐号機の4番車です。
この画像では規制ピンが固定されていません。

この4番車の軸カナにルモSPの初期テンションを保持するための「規制ピン」を固定します。

これは規制ピンを固定した状態。

規制ピンは、ルモントワール一脱進毎に、矢印の範囲で往復運動します。

規制ピンは4番車のアームの間で保持されますので、香箱のトルクが緩んでも
規制ピンがアームに接して、それ以上ルモSPが緩む事はありません。
ところでこの弐号機にはたびたび止まる癖がありましたが、
輪列を抑えるプレートを交換したところ、この不具合は改善されました。

これらの改良により、この弐号機は実用可能になりましたが、
基本的に素人工作でありますし、性能的には普通のユニタスの方が
精度も良く実用的です。
ですから、あくまでこのカスタムは時計学的な興味の上で製作したものであり、
実用上の精度向上を目指したものでは無いことをお断りしておきます。

テンプの強制停止装置は不要になったので外しました。
ゼンマイ全巻きから18時間はルモントワールが働き、それ以後は
香箱トルクによる通常稼働に移行します。
パワーリザーブは45時間前後ですが、ルモントワールが働くのは
あくまでも18時間だけです。主ゼンマイが緩んで時計が停止したら
竜頭を巻くだけで時計は再起動します。
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動画はコチラ
規制ピンの動き
ルモントワール脱進の様子
