Albert H. Potter 

またまたお知り合いの方から素晴らしいマサズ・カスタムのお写真を頂きましたので御紹介したいと思います。



ムーブメントの作者は”Albert H. Potter”1880年代の機械と思います。
我々の間ではアルバート・ポッターとか単にポッターとか呼ぶ事が多い
伝説の時計師による懐中時計ムーブメントです。
また、シルバーの重厚な両面ガラスのオープンフェイスケースは
マサズ・パスタイムさん製作による特注品。
いつもながらの見事な出来です。

アルバートH.ポッター(1836〜1908)は、時計学上、特に注目に値する人物で
ヨーロッパに移住した最も著名なアメリカ時計学者の中の一人でした。
彼の時計は非常に独創的なアイデアに溢れ、言ってみれば特許の固まりみたいな機械です。



まずこの時計のムーブメントですが、非常に不思議な形をした香箱のプレートが1枚と、
輪列のプレートが1枚。そしてバランスコックの3部構成となっています。
(patented split-plate "kidney" caliber, 1887年4月5日特許)

参考画像。
http://images.antiquorum.com/78/full/283.jpg

それぞれのブリッジはネジ1本で固定されており、ネジを3本外すだけで
ほぼ完全分解できてしまうという特殊な構造といえます。
歯車の分解と組み立てを楽に行えるという利点があるというわけですね。
この辺にもポッター独特のアイデアが活かされています。

ハワードVのメイソンズパテントみたいな長い緩急針も特徴的ですね。
石数はおそらく21石。二番車の石も大きく全て最上級の石が使われているはずです。
普通のスイスレバー脱進機に見えますが、大変に手の掛かった作りで
二対のプラチナミーンタイムスクリューもあり、非常に精度に拘った作りです。
この手の掛かり方は、ハッキリ言って当時のパテック以上と思います。

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「Albert H. Potterとはどういう人物か?

ポッターはニューヨーク州のサラトガ近くのメカニックビルに生まれました。
彼の父親は才能のある機械工で、時間錠(time locks)の改良で特許を取っています。
ポッターが16歳の時(1852年)、ニューヨークのアルバニーにあるWood AND Foley
時計製造会社の見習い工となりました。

その頃のアルバニーには、バージ脱進機を改良したマルフォードや、シンプルな
デジタルカレンダークロックを発明したE.P.モンローが居り、1860年頃には
あの有名な鬼才Fasoldtが居を構えました。

3年後にポッターはニューヨーク市へ引っ越し、時計製造を始めます。
当時の生産量は年産35個の金時計に限られましたが、全ての時計は非常に高品質で
200〜300ドル以上で販売されました。

ポッターはレバー脱進機やピヴォテッド・デテント脱進機を使用しました。
(フュージーを使うこともあった)

1861年、彼のニューヨークでのビジネスは順調だったにも関わらず、
彼はハバナへ引っ越して、小さな”ウォッチメイキングショップ”を開きます。
そこで彼はリピーターやデュープレックスウォッチを含む修理ビジネスや
時計製造を継続しました。

彼は1866年にアメリカに帰国、ニューヨークのウィリアムズバーグに定着し、
ここでようやく彼のオリジナリティー溢れる設計のアイデアが実現し始めます。

彼は1868年1月21日に興味深いクロノメーター脱進機の特許を取り、より大規模な
活動を始める準備をしていました。その同じ年、彼はミネアポリスへ行き
ここで1870年まで滞在しました。

続いて彼はシカゴへ移動。ここでポッターと彼の兄弟ウィリアムは、生産と小売りの為に
「“Potter Brothers” 」会社を開きましたが、このパートナー関係は5年しか続きませんでした。

1875年にポッターはアメリカを離れ、ジュネーブへ向かいます。
彼はそこで残りの人生の33年間を過ごし、彼の素晴らしい時計の大部分がここで作られました。

彼の優れた機械技術と物理学や時計学の才能は、非常に鑑賞眼のある顧客を惹き付けました。
彼の才能はジュネーブでもすぐに広く認められました。
彼の時計は仕上げが良いだけでなく、非常に高精度だったからです。

彼の独創的で革新的な改良や発明で、彼は多くの特許を得ています。
彼は時計の工作機械の改良にも才能を発揮し、ルビー製のピニオンカッターを使用しました。
このルビーカッターで加工された歯車は、加工面が磨かれたのと同じような綺麗な仕上がりに
なったそうです。

ポッターはMeylan、Ekegren、Jurgensenらと共に
“Commission de Surveillance de l’Ecole d’Horlo-gerie”のメンバーに選ばれました。

彼の特許。
US patent No. 360477 (Apr 5, 1887) for a “watch case & movement plate combined”

US patent No. 360478 (Apr 5, 1887) for a “watch case center and pendant”

US patent No. 360818 (Apr 5, 1887) for a “manufacturing watch plate & case”

US patent No. 360819 (Apr 5, 1887) for a “watch plate”

US patent No. 418381 of Dec 31, 1889 for “watch stem-wind case part of watch”.

US patent No. 425342 of Apr 8, 1890, for “watch stem-wind case part of watch”.

Swiss patent No. 3647 of June 16, 1891 for a “montre perfectionnee”.


その他、彼についての詳しい記述はここ↓にありますので、興味のある方は参考にしてください。
http://www.antiquorum.com/html/vox/vox2002/albert_potter/albert_potter.htm



それでは次に分解写真を見て頂きましょう。

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