| ★ルモントワールを作ろう★ Le remontoir et l'echappement |
「ルモントワール機構とは何か?」
単純に”ルモントワール”と言うと、フランス語で”巻き上げる”というような意味なのですが、
今回御紹介する”ルモントワール機構”とは、簡単に言うとゼンマイが解け切る寸前まで
脱進機に伝わる トルクを一定に保つ機能の事で、極一部のマリンクロノメーターなどに
採用された、非常に 珍しく高度なメカであります。現代の腕時計ではF・P・ジュルヌの
トゥールビヨン・スヴランや、ランゲ&ゾーネのランゲ31等に採用されている機構です。
それではルモントワールとはどういうものか、Gafnerの機構を例に詳しくご説明しましょう。
まずこの図を御覧下さい。

左に同軸に二枚重なった歯車が見えますが、上がルモントワール脱進車で下が4番車です。
下の4番車にはカナが無く、上下の歯車はヒゲゼンマイだけで繋がっています。
(このヒゲゼンマイをルモントワールスプリングという。以下”ルモヒゲ”と略します。)
3番車は脱進車のカナに噛んでいますが、脱進車はルモントワールレバー(写真左下の
アンクルみたいな形のパーツ)が押さえているので、4番車に直接トルクは伝わりません。
写真左下にある平行棒の付いたアンクルみたいなパーツがルモントワールレバーです。
ガンギ車軸の三角カムは60度回転する毎にこの平行棒を左右に振り、これによって
4番車上の脱進車が一歯ずつ脱進されて回転します。
このガンギ車は6秒で一回転ですので、カムは一回転で6回脱進車を脱進します。
つまり、脱進車は1秒に一歯ずつ回転するわけですね。
その間、香箱から来ているトルクは脱進車で制止されていますので、香箱のトルクは
直接4番車を駆動しません。そしてテンプはルモヒゲで引っ張られて回転する4番車で
駆動されますので、香箱のトルクの変動に影響されずに最後まで一定のトルクで
動き続ける事が出来るわけです。
もう一度まとめて説明しますと、この機構の利点は香箱のトルクを一旦脱進車で制止し
脱進車がルモヒゲを巻くことで引っ張られた4番車が脱進機を駆動するので、最後まで
ルモヒゲのテンションだけでテンプが駆動されるという点にあります。
香箱のトルクの変動の影響を受けずに、常に一定のトルクで脱進機を駆動する事が
出来るのです。
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さて、ではもうひとつ、ALブレゲが作ったルモントワール機構もついでにご説明します。
(ルモントワール機構の中で、ルモヒゲが脱進機に直接衝撃を与えるものを特に
”コンスタントフォース脱進機”といいます。)

Breguet constant-force escapement.
これがブレゲのデテント脱進機をベースにしたコンスタントフォース脱進機です。

パーツ名は私が適当に付けました。

@:この図では、ガンギ車はコンスタントフォース・レバーで停止させられています。
コンスタントフォース車はデテントで引っ掛けられて停止中。
テンプはこれから左回転してコンスタントフォース車の下の歯からデテントを外します。
A:デテントがコンスタントフォース車の下の歯から外れた直後、今度は上の歯がテンプに
衝撃を与えます。図はコンスタントフォース車がテンプの振り石を蹴る瞬間です。
この段階ではまだガンギ車はレバーで停止させられています。
B:コンスタントフォース車がテンプを振る力は、あくまでもヒゲゼンマイの力であって、
ガンギ車はレバーが停止しているので、輪列のトルクは停止させられています。
さて、コンスタントフォース車がテンプを振った直後、コンスタントフォース車のアーム上に
あるピンが、ガンギ車からレバーを開放します。するとこの時初めて香箱から伝わった
トルクはガンギ車を右回転させて、コンスタントフォース車を左回転方向に振ります。
C:ガンギ車がコンスタントフォース車のヒゲゼンマイを圧縮しながら左回転に振り切ると、
コンスタントフォース車の下のツメが再びデテントと噛み合います。
この時、コンスタントフォース車のヒゲゼンマイは、ガンギ車から受けたトルクを蓄えます。
そしてこの直後、レバーが再びガンギ車を停止させ、テンプが振り戻って来るのを
待ちます。(@に戻る・・・の繰り返し)
@:About to unlock-Note safety action
A:Impulse
B:Release of train
C:Rewind remontoire
参考資料:The Time Museum Catalogue Chronometers,(Anthony
G. Randall)
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