★ルモントワールを作ろう★
Le remontoir et l'echappement

「では作ってみよう」

今回は、明治時代にスイスから日本に輸入された商館時計のガラムーブをベースにして
製作することにしました。何でまたこんなボロいムーブをベースにしたのかと言うと、
ルモントワールを作る条件に適合する物がこれしかなかったからです。
その条件とは次の二つ。
@:ブリッジの背が高く、歯車の間に余分なメカを付ける余裕があること。
A:ガンギ車が6秒、もしくは5秒で一回転するもの。

本来ルモントワールは精度を向上させる為のメカですので、現代の精度の良いムーブで
作ってこそ、初めて価値があるワケですが、いかんせん現代のムーブは歯車の間に
余分なスペースが無く、簡単に改造する事が困難なんですね。
そこでブリッジや輪列を改造する必要の無い、商館ムーブをベースにしました。

しかしコレ、ガタガタのガラムーブで天真も痛んでる。
文字盤を下にすると止まるし振り角も弱い。こんなガラムーブでルモントワールが作れるのか?
正直、作っても動かないだろうな…と言う気持ちでカスタムを始めました。



まずは設計図から御覧頂きましょう。
4番車はピニオン軸と歯車に分割し、両者をルモヒゲで繋ぎます。
地板を挟んで文字盤側に突き出た秒針軸には脱進車を固定して、
文字盤側にルモントワールの脱進装置を設置します。



これがピニオン軸を分割してルモヒゲで繋いだ状態の4番車です。
中間の歯車は下の4番車に固定で、ルモヒゲを固定するためのモノですからドコにも噛んでいません。
3番車は上の小さなカナ(ピニオン)を回し、ルモヒゲを巻いて下の4番車を引っ張って回します。

またこのカナは脱進車制御に寄って、6秒に1回6秒分ずつ回転しますので、
ルモヒゲは常に6秒分のトルクを溜め込み、放出する事を繰り返します。(6秒ルモントワール)



輪列の状態をご説明します。
上に見える大きな歯車が2番車で、その右下が3番車、
その左下のルモヒゲの付いている歯車が4番車で、その左がガンギ車です。
(テンプ部分は普通のスイスレバー脱進機です。)



ブリッジを組み立てた状態です。脱進車が6秒毎に4番軸を制御しますので、
3番車は6秒に一回カッチャン・・・カッチャン・・・カッチャンと不思議な動きを繰り返します。

香箱トルクの伝達はこうです。

香箱→2番車→3番車→4番ピニオン→ルモヒゲ→4番歯車→ガンギ車→アンクル→テンプ
                   ┃                   ┃
                 脱進車←←6秒に1回脱進←←脱進スネル

ルモントワール機構というのは、輪列が独自に自動で脱進する「自律脱進機構」を
持っているのが特徴です。上のトルクの伝わり方を見ると分かると思いますが、
トルクの弱い方の歯車でトルクの強い方の歯車を脱進するという点が、
設計の難しい機構とされている所以であります。



そしてこれが文字盤側に設置したルモントワール脱進機構です。
カタツムリのような形をしたスネルはガンギ車軸に固定されていて、
ガンギ車が6秒に1回レバーを動かして脱進車を一歯分送る構造になっています。

ガンギ車軸は延長する必要があったので自作しました。
またガンギ軸の穴石は穴径の太いものと交換してあります。

脱進車に固定の秒針は6秒に1回6秒分一気に回転しますので、
動き的には6秒ジャンピングセコンドとも言える動きをします。

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