★ 卒業製作時計-2 ★

以前、コチラのページ卒業製作時計についてレポートしましたが、
今回はまた別の時計学校の卒業製作時計を御紹介したいと思います。

前のレポートと被りますが、簡単に御説明しますと、卒業製作時計とは
既製メーカーのエボーシュでは無く、
時計学校の生徒が真鍮の板から個々のパーツを削り出して作る
完全総手作りの時計
なのです。

時計学校でレベルが高いのは・・・
ジュネーブ、ヴァレ・ド・ジュウ、ラ・ショー・ド・フォン、ル・ロックルで、
これらはスイス4大時計学校と呼ばれます。

今回ご紹介するのはこの中の一つ、ラ・ショー・ド・フォン時計学校の卒業製作時計です。




香箱上のブリッジには、写真ではちょっと見難いですが、

LUCIEN GIRARD (生徒の名前:ルシアン・ジラール)
ECOLE D'HORLOGERIE (エコール・ド・オロロジェ)
CHAUX-DE-FONDS (ショー・ド・フォン)

と刻印があります。
パッと見、ヒゲ持ちのネジが2本である事以外はどうって事無いムーブですが・・・




上質な作りのテンプには4本のプラチナ製タイミングスクリューがあり、
アンクルは丹念に磨かれたバランサー付き仕様となっており、
細かく見ると高級メーカークラスの仕上げである事が判ります。



1920年頃の作なので、地板はおそらく真鍮削り出し。工法はデュフォーさんと同じですよ。
状態は良いのですが、天真折れで日の裏関係とダイアル、巻き芯&キチ車欠損。





天真は例によって天真移植での修理ですが、全姿勢で問題無く動いています。
ダイアルや日の裏関係の不足パーツをジャンクから調達して
裏スケに改造したカギ巻きケースにケーシングしました。

4番車のブリッジだけ違う仕上げになっていますが、もしかするとここだけ
生徒が製作に失敗して別パーツを組んだのか、あるいは後年交換された物でしょうか?

テンプのヒゲ持ちのネジも2本ありますし、なかなか高級な作りです。
製作者のルシアン・ジラール君は、今生きていれば100歳を越えてるはずですが、
卒業後、どのような人生を送ったのか?
有名なメーカーの時計師として活躍したか?
小さな町の時計屋さんとして修理に勤しんだのか?等々、色々想いを巡らす私なのでした。

END


参考文献:1999年8月発行
日経BP社出版「ヴィンテージ・ウォッチ・4th」
「純粋時計への憧憬」
名畑政治氏のレポートを参考にさせて頂きました。