鈍行の旅日記
一応、日記はつけていたけど……テキストデータじゃ面白みが伝わらない。かといって、まるまるスキャナするほど達筆でもないので、これを元に書いていきます。
ところどころ小さい写真も入れていきます。日記の内容とは不一致の写真だったりしますが、その駅周辺のものを載せてありますゆえ。
―――― 一日目(1/2)
・水上
群馬南部に住む自分には、この踝を超えるくらいの降雪さえも珍しい。とはいえ、日常的に降る場所もどうかと思ってしまう。
列車の出発までまだ時間がある……。たまにはゆっくりと雪を眺めるのもおつかもしれない。二十歳の人間が吐く台詞じゃないが。

・土樽
凄い雪だ。というか吹雪だな、こりゃ。金沢とか積ってて歩けないんじゃないだろうか……。
途中の駅で、溝の間の水の上を雪が流れている。まるで流氷のようだ。写真に収めても、あまり分からないだろうからカメラを出さずにいた。

・長岡
電車を待っていると黒いコートのおっちゃんに話しかけられた。寝袋なんか装備しているから、あからさま旅人に見えるのだろう。
そういえば越後湯沢でもじいさんに声をかけられたか。腕時計のブレスレットが壊れてて、釣り糸で応急処置していたが解けてしまい、途方に暮れていた所だ。
マジックペンに取り付けてあるガムテを剥がして、こちらに渡してくれたのだ。何というか凄い装備だ。
だが、旅先で見知らぬ人と会話する。この一期一会こそ旅の醍醐味だろう。

・柏崎――直江津
こんな時期に、しかも日本海の先に虹が見えるなんて。両根元しか出ていなかったけども、いい物が見れた。そんな気分。

・直江津
ネットで時刻を調べたはずだが、何故か電車があったり。
何があるか分からない。損得抜きにしても、これもまた旅の醍醐味か。
いや、大幅に遅れたら宿とか面倒になるんだろうけど。
・金沢
雪はちらほら。全然積っていない。イメージだともっと雪国なのだが……。(母曰く、これからじゃない?)
それにしても困った。S君から伝えられてたホテル。安い。ホテルとしては安い。
だが何を勘違いしたのか、駐車場料金をそういう部屋があるのだと勘違い。ああ、馬鹿みたいだ。
一泊千円などあるわけないだろ、俺。
他の部屋もよく確認しておらず。念の為に調べておいたネカフェへと歩く。駅の周りに無いよ、とS君から教えられていたが、あまり甘く見てもらっちゃ困る。
そう、自分は電車があるのに、二時間の遠足をこなす馬鹿なのだ!駅周辺に何も無い金沢とて制覇してくれよう!
片道約一時間……。これは……ダメだろ……流石に。明日の朝から体力を消耗する訳にいかないし……。
下調べがいい加減なのは自分の悪い所だ。
駅周辺で、一体何人の家族連れとすれ違ったか。帰るのか泊まるのか。十年前の自分がそこに居る。そんな感傷に耽った。
誰ひとり自分のことを知らず、自分の方も誰のことも知らない。おまけに妥協しなかった自分には暖かい宿も、一息つける部屋もない。一人とはこういう事か。
野宿。
改札の先は閉まるが、駅構内自体は空いているという。野宿できる場所はないか、と尋ねられた駅員の顔が今でも忘れられない。
寒い……まだ十時。本当に夜を越せるのだろうか。度胸の無い自分は、人の目が気になって寝袋が使えない。
と、そこへホームレスのおじいちゃん登場。六十代らしい。
色々な話を聞いたり、二十四時間点いている案内板に身を寄せるといい、と助言された。
ホームレス故の知識か、それこそ様々な事を教わった。政治家目指す?大学生の旅人の話も聞いた。ていうか名刺を見せられた。凄い量だった。
その人に、家も無い人々が暖かく暮らせる国にしろ。今の国は腐っている、と言ったらしい。
暗にホームレスだけを指しているわけじゃないようだ。そういう、辛い暮らしの人々という意味だろう。氷河期によって取り残された人達の就職支援も含めてだろうが……。
自分は、この人との交わした話の意味を忘れてはならないのだろう。

―――― 二日目
・金沢
寒い……一睡もできなかった。トイレの方が暖かいぐらいだが、あんな所で寝たくない。そこら辺の度量が駄目なのだろう。自分という人間は。
改札が開くと同時に待合室に駆け込む。仄かな暖にゆっくりと息を吐きながら、始発までの一時間をうとうとと過ごす。もう頭の中がぐちゃぐちゃで夢のような思惑が交錯する。
それにしてもやばい。昨晩八時頃に鰤寿司弁当を食べてから何も食していないのに、一晩震えて過ごしたんだ。
カロリーというか……エネルギーが身体に残っていない。寒さに対し、落ち着くだけの産熱量すら確保できていない……。でも近く開いている店は無いし。
敦賀についたら炭水化物をとろう。真面目に危険だ。これは既に、痙攣だ。
終点の敦賀までの間、うとうととしててはっきりとした意識がない。
・敦賀
構内の店でサンドイッチを買う。何というか舌触りが悪くとても不味いサンドイッチだ。もの足らず、非常食のカロリーメイトチーズ味も食べる。
食べ終わりしばらくすると、嫌な寒気も消え、冷えて痛みを訴えていた腹も落ち着く。そういえば、こちらは雪が積っているんだな……。
にしても、銀河鉄道999の絵がいっぱいあった。作者かここの生まれか、それとも作中にここが書かれていたのだろうか。
更に言うと。
待合室にはアクアリウム。駅員のいるあの区画、事務所?詰め所?の外には無数の鯉。魚好きの駅長がいたのだろうか……。時間つぶしには悪くなかった。
てか、雪がじゃんじゃん降り積もる池でも、普通に鯉が泳いでいるのな……。逞しい生き物だ。
と、ここで長岡で買った和菓子を食べる。昨日のうちにもう一つ買った栗饅頭を食べた。味からして、これも期待できるだろう。
これはきっとかるかんのようなタイプなのだろう、と白い長方形の端に歯を当てる。
ガリ
な、何だこの歯ごたえに、まったく味気のない乾いた粘土は!!
と、包装にある表記を見る。
「切餅」
饅頭と同じ皿に並べるなーーーっ!!
始発だった事もあり、9:06発の電車に乗れば、午前中に本日の目的地に着く。が、二日宿無しは辛い。というか身体が悲鳴を上げている。更に先に進んで、ネカフェがある場所まで行こう。
まだ少し眠い。

・草津
何たる事か。どこのマンションも非常階段に鍵付きの扉で封鎖してあるではないか。
というか誰でも入れるような団地系のマンションが少ない……群馬が変わっているのだろうか。
十数階の建物がいくつかある……いい景色が撮影できただろうに。悔やむ。

・山科
京都駅周辺のような人込みは大嫌いだ。これだから一人身の卑しい皮肉は……。
いい景色も無いので、手前の駅、山科で下車。だがここのマンションもお堅い事。
そんな中、大通りが離れた所に、各階へは螺旋階段で繋がれている上に、屋上まで行ける小さなアパートを見つけた。躊躇もなく、すぐさまお邪魔に。
金網が邪魔だったが何とか写真が取れた。そろそろ降りよう。
……やばい、怖い。高所恐怖症を久々に体感した。何て怖いんだ螺旋階段。
更に探索を続けていくと、一箇所、ガードの無いマンションを発見。何か監視カメラがあって警察に通報しますよー、的な看板が立っている。
挙動不審じゃなければいいんだよね。と、同等と上っていった。あそこのマンションの建設者様、ゴチになりました。

・南草津
疲弊。スーパーのベンチで休憩。転寝してしまった。その後、二階の暖房の利いたベンチでも休息。
ふと気づくと、身体が火照る感覚。これは良くない兆しだ。おまけにまた肌寒い。昼も喰わずに歩き回ったツケだろうか。
そこで、野菜サラダとチョコを購入。やはり野菜はいいな。てか、これ美味いな。うむ。
ちなみに、バランスサラダ、という商品名で、緑の野菜を中心に、ヒジキや海老、栗までが入っていて、計十五品が詰め込められているサラダだった。
これがカロリーが高くて、食べ終わる頃には、身体も軽くなっていた。今の自分には凄く助かるものだ。やはりスーパーは心強い。
カロリー補給用のチョコが無駄になったのは少し残念だが、まあいい。
ここで、ちょっと雑学を晒してみよう。チョコは消化も吸収も良く、即座のエネルギー補給としては優れているらしい。
確かヨーロッパ辺りで、山の方のホテルには常にチョコが置かれているとか。これは登山で疲れて戻って来た客の為だという。
これが作り話だったら、自分は酷く恥ずかしい人間な訳だが……。
……にしてもまだ16:30。近くのネカフェのナイトパック開始は23:00。どう潰すか。
手記転載。超崩れた走り書きの文字で
”野菜サラダうめ――”
サラダは精神の高揚までしてくれていたのだろうか。
これぞ正に神のお導き。野菜パワーで散策していると、極楽湯という健康ランドを発見。
このターニングポイントで風呂に入れるとは……。
更に夕飯に野菜サラダを購入、咀嚼。
そして、19:00。極楽湯突入。長々と二時間かけて、じっくりと湯を堪能。昨日の晩とは偉い違いだ。
釜風呂という、自分にとって初めての風呂があったりと、一時間以上は露天の方でくつろいだ。
着替えたりして落ち着く頃には、突入から二時間半。後一時間半をどう過ごすか。
恒例のコーヒーン牛乳を飲んだ後、十時まで待ってから焼き鳥を購入。写真と違って二本多かった。結構嬉しい。
半分以上残っていた焼酎を飲む。昨日の晩、出し惜しみするんじゃなかったか。
……酔った。空きっ腹より、ちょびちょびと少しでも喰いながら飲んだ方が酔うのか……?
これからネカフェなのに、これは不味い。ああ、回る……横になって時間まで休もう。
ふと目覚めると、十一時数分前。まだ酒は残っている。頭を一度振ってネカフェへ。
可愛い店員さんが対応。まだ回ってて、少し恥ずかしい。うまく働いていない頭で、適当に席を選ぶ。と、何と座敷の部屋だった。
他の店にもあるのか知らないが、皮製で覆われてるソファーが敷いてある感じだった。
しばらくネットをし、1/3の日記をつけると横になる。
南草津はいいな……。また旅をするのなら立ち寄りたい。

―――― 三日目
・紀ノ川
南草津からここまで寝てしまった。ここから先、亀山あたりまでが撮影チャンスだろう……。
しっかりしなくては。
・加太
何か変わった電車だ。整理券?おまけにアナウンスが聞き取れない。降りて散策したかったが、システムがよく分からず降りれなかった。
いや、恥を忍んででも降りるべきだったか?もっとも、歩きでは満足できる場所ではなかったが。

・亀山
意識がない。書くことも無い。
・静岡
酷い町だ。日本が誇る富士の近くだから、もっと静かでいい都会、を想像していた。そんな事は無かった。
喫煙者のマナーが無ければ、ゴミゴミしてるし、道のいたる所に吸殻。おまけにカップルが多い。あてつけだろうか?と思うぐらいだ。
にしても、そこの人間を見る限り、治安はさほどよくはなさそうだ。
特別な用事が無い限り、二度と来ないだろう。
・東静岡
散策中、16:31頃、多分北西の空。
短く太い流れ星を見る。が、徐々に消えて行き、建物に隠れるのを最後に消えた。
隕石だったのだろうか?いや、そうしよう。その方が気持ちとしても弾むじゃないか。今日は絶望させられたが、いいものが見れた。
ここもマンションが……。ととぼとぼと歩いていると、でかいテントが目に付いた。
キグレサーカスだ。確か、群馬に来た事があるはず。かれこれ十年くらい前だが、親父に連れられて見に行った。
旅先で会えるとは、ちょっとした縁というものか。そんな事で嬉しがっていた。(母曰く、あの時のはキノシタサーカスよ
駅周辺は野良猫が多かった。しばらく戯れた。この短い時間じゃ懐いてはくれない……もっふもふにしたかった。
そういえば、ここからだとちょっぴり富士山が見える。十階ぐらいのあのマンションを上れれたら……嗚呼。

・静岡
一時間半だ。あるネカフェを捜し歩いた合計時間が。これはどういう事だ、ありえない。
諦めて交番に頼る。店名を伝えると、地図を眺めだす。その間に、デジカメで撮った住所と地図を探す。八十九枚目の写真であり、撮影数が二百という。表示させるまでに時間が。
と、そこへ、もう一人の方が、町の名前を上げる。おお、確かそんな名前だったはず、と胸中で呟きながら、画面に住所が映し出されているデジカメを渡す。
「あ、班長の言うとおりです!」
班長さんだったのか……流石です。辺りを網羅しているだなんて、格好良過ぎです。
そして、場所が割れる。
おかしい……。ここは既に六回は通ったが、店名の看板がついているビルはなかったはず。
だが、明確に分かった以上、行ってみる。ビルの名前は……合っている。だが、やはり看板は無い。
エレベーターで上がっていくと……そこは何も無かった。やられた。恐らく夜逃げか何かか。サイトすらも放置とは……。
本当に酷い町だ(八つ当たり)夢だけをありがとう、静岡。
別のネカフェにて。
カップルが来ないで下さい。別々の個室で話しないで下さい。五月蝿いです、死んで下さい。
おまけに到着早々、がったんごっとんと音を立てる非常識がいる。というか隣の席だ。夜用のパックなので、倒すと寝れる椅子なのだが、背もたれの固定の仕方も分かっていない様子。
何度も、何か大きな物を落とすし……しましには高いびき。そして深夜に大音量の目覚まし三連発。
起き上がると同時に、固定されていない背もたれは、軋む音を撒き散らしながら元に戻る。
静岡周辺の者なのだろうか……何かここは人間性も凄くあれな所だなぁ。
東静岡行く時に、女の子二人組みに会ったなぁ……。三島の辺りに住んでいるようだが、静岡は懲り懲りだ、と言っていたか。
同感だ。というか、そこら辺の考え方は同じ人間なのだろうか。話が合ったりしてな。それに可愛かった。
が……中学生だろ……あれ……俺……駄目だろ……かゆ……うま。
―――― 四日目(最終日)
・静岡
ラストだ。一度、富士川で降りよう。あそこから富士が見えるといいのだが。
熱海からは一気に都心へ向かおう。車窓から取れなくも無いだろうが、ある程度行けば撮りたいものもなくなるだろう。
熱海周辺が最後のシャッターチャンスか。たくさんのシャッターチャンスを逃したし、撮影スキルも無い……。
プロはきっと、そういうスキルはもとより、そうしたチャンスを逃さない人を言うのだろう。
・富士川
富士山見れないなー……。

手記転載。富士川の橋より。
”富士山一望できず(´・ω・`)”
手記、ここで終わり。
最終日補足
静岡は七時に出たのですが、既に人が多いという。帰宅ラッシュもぶち当たってた感。
カートレボリューション痛いから。
熱海以後は、そのまま品川→秋葉→帰宅。
アリーヤ買ったよ。コトブキヤについては、ニコでちょっと触れてます。(動画の中で)
今回、旅して色々と大変だったけども楽しかったです。色々と学ぶ事、考えさせられる事も多々ありました。
ただ、おかしな感性の自分としては、見知らぬ土地で、見知らぬ人を車窓から眺め、この人は今何を考えているのだろう。どういう暮らしをしているのだろう。
と、考えたりしまくれたのは最高に楽しかった。
高校受験の時、天気のいい休みにはよくこういう現実逃避をしていました。
山の向こうにかかる雲の下にはどんな人がいて、何を考(省略)
またいつか、こうした旅に出たいものです。
愚者日記っぽい旅行記