文化大革命への旅立ち

もともと、私は文化大革命に関心はあったにせよ、本格的にテーマとして、調査をする考えは、全くなかった。むしろ、私の骨董の趣味の一つとして文化大革命時代のアンティークを集めていたにせよ、その中には、揶揄した気持ちもあったことは否めない。

しかし、そんな私に一つの転機があった。ある中国人との会話が大きく転換させたといえるだろう。

「あなたは、野次馬です。文化大革命がいかに悲惨であったかは、あなたは経験ではないにせよ、書物で知っているはずです。それなのに、文化大革命の演劇を何故、芸術と思うのですか」

責めるように私にこう詰め寄った。

「わたしは、芸術の一つだと思ったから、そう発言したまでです。」

わたしは、真面目な言葉をまじめに言った。

彼女は、この時、感情を一気に爆発させ、そして泣きじゃくり、決別の言葉を吐いた。

「もうあなたとは顔もみたくない」

 そういって彼女は私のもとを去った。そして彼女とは今日に至るまであっていない。
私が衝撃であったのは、彼女との決別ではなかった。彼女の魂をそこまで揺るがした文化大革命とは、一体なんであったのかを、知りたかった。

しかし、本当のことが知りたいのだとすげずけと、尋ね歩く私は、一種、通り魔のようだ。

 50代の人々に、あなたの青春時代について、話を聞いてみたいのですがと、水を向けると、おおよその人々は口が極めて堅かった。

 真実を知りたいという気持ちにゆり動き、過去を穿り返せば、現在と陸続きの流血の記憶を呼び覚ます。そんな作業から、私の文化大革命の旅が始まった。長い旅になりそうである。


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