一通の手紙

ここに、黒流江省から上海にあてた一通の手紙がある。
元紅衛兵が故郷の親しい人にあてた手紙と推察されるものだ。
紅衛兵は、すでに紹介したとおり、毛沢東のお墨付けを得て以後、その暴れぶりは、すざましいものがあった

その事情は、北京も上海も同様で、紅衛兵の暴力に合わなかったのは、毛沢東と林彪だけだったとも言われている。コントロールが利かなくなった紅衛兵に対して、毛沢東は、彼らを農村や辺境に追いやったのである。もちろん、これは自主的なものとされているが、行かなければ革命に熱心ではないという烙印も押される。そのため、しぶしぶながらも、辺境へ行ったというのが正直なところといえよう。こ手紙の執筆者も、そのうちの一人と思われる。

おじさん、お元気ですか、この元紅衛兵の手紙はこの一文から始まる。

辺境へ赴いて二年がたったが、ひたすら寂しいことそして時流に完全に取り残されてしまったことを嘆いていた。

おじさんは、手紙の中で、いやお前もたくましくなった、それに農村に行ってしっかりしてきたと慰めるものの、彼女にはなんの慰めにもならなかった。

あるのは、ただ上海に対する望郷の思い、寂寥たる土地での生活。

そして革命と理想に対する挫折であった。

自分たちは、プロレタリア文化大革命のため、遮二無二活動していた。その理想は間違えていなかったはずです。手紙ではそう訴えていた。

さらに、取り残された自分がこれからどのように生きるべきか、真剣に宛先人に聞いていた。

 そして手紙は、早く上海に帰りたい。そう結んでいた。


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