コラムと書いている割には訳文ばっかしですが・・・本文章はシクリッドフォーラムドットコム内の著者のMarc Eliesonさんのお勧めのコンテントです。
非常にバランスよく内容が紹介されており、とりわけ、ハプロとムブナの飼育方法の違いが紹介されています。原文はこちらです。
ハプロ VS ムブナ
著者:マーク エリーソン
本文章は、マラウィ湖に住む2つの大きなグループ、つまり、ムブナ種とハプロ種の比較に関するものです。
マラウィ湖には、世界の他では見られないほど、非常に多くの固有種であるシクリッドが生息しており、WWF(世界動物基金)の調査では、500種類の、他地域では見られない固有種が確認されています。この数の凄いところは、ヨーロッパと北米で確認できる淡水魚の数を上回っている事です。アクアリストの間で、もっとも人気のあるのは、これらの魚のなかで、ハプロとムブナといわれる魚であります。
本内容におきましては、筆者は、混泳対象魚の選択において、アクアリストのかたがたにお役に立てるように両者の相違に関して説明を行おうと思っています。
しかしながら、その前に、マラウィ湖自身に関して、見て行きましょう。
【マラウィ湖】
マラウィ湖はPH幅が7.8から8.6あり、総硬度が、4.0-6.0dhある湖です。湖内でのこうした相違は、湖水に溶け込んだ、二酸化炭素溶存量によって引き起こされています。
波の激しい水域では、湖水は空気に晒されていることが多く、必然的にPHは高めになっています。しかしながら、静かな湖畔では、二酸化炭素溶存量が高く、結果として、PHは引く身になっています。表面の水温は、華氏76度から、85度程度で(摂氏24.4度から、29.4度)、湖の深い場所ですと、70華氏(摂氏21度)となっています。炭酸塩硬度は、6.0から8.0です。
マラウィ湖の3分の1の湖岸は岩場となっており、こうした場所は、ムブナの故郷となっています。残りの海岸線は、砂場のビーチとなっています。こうした場所は、多くが、障害物の何も無いオープンウォーターな地域となっており、ハプロや、ピーコック(アウロノカラ)の住む地域となっています。
また、わずかに、大きな川が流れ込み、底が泥であったり、葦の生い茂る地域に住むシクリッドもいます。湖岸の多くは通常砂場であり、また湖自体潮流や大きな水の流れはありません。多くの魚は300フィート(90メートル)より上の地域に住んでおります、それは、これより深い地域が、澱んだ状態となっており、酸素も存在していない為です。
【ハプロ】

ハプロ、より、適切な言い方をすれば、ノン
ムブナ種と言うこともできます。通常は、本種類は俗称では"ハプロ"と呼ばれています。なぜなら、本種はの多くは、かつて、とても広範囲なハプロクロミスと言う属に所属していたからです。
多くのハプロは、魚食の性質を有していますが、具体的に言えば、ハプロは、小さな魚を餌として、とりわけ、他の小さシクリッドを餌としています。確かに、この一般論に対して例外があるにはあるのですが、やはり、魚食の魚で有ると考えておいて問題は無いと思います。特に、彼らのこの食性において、結果として、行動パターン上、こうしたプレデター(捕食者)と同じタンクに口に入ることが出来るくらいの魚を混泳させることは好ましくはありません。
多くのハプロは適度にテリトリーを主張する魚です。彼らは、岩場から離れて、そして、オープンウォータへと一匹で泳いで行き、群泳する姿を見かけること非常に稀です。ハプロは長く、スレンダーで多くの場合において、魚雷の様な体をしています、この事により、彼らは突発的にスピードをあげたりと瞬発力のある動きをすることが可能なのですが、このことは彼らが捕食行動をとる上で非常に重要な点となっています。
殆どのハプロ系の魚の幼魚期は、銀色または、灰色をしており、オスは成長に従い非常に美しい色彩を帯びてきます。しかし、基本的にメスは色彩を帯びることがありません。
ハプロは、非常に特徴的な狩猟方法を編み出してきました、これらを観察すると言うことも一つの楽しみと言えるでしょう。例えば、ニンボクロミスでは少なくとも2種類(ヴェネスタスとリビングストニ)は砂の元に横たわり、動きを止め、そして、死を装うことで、小さい魚をおびき寄せます。ディミディオクロミス
コンプレシケプスは、その名前はコンプレス(圧縮)された体(Compressed
Body)を持っているということから付けられたのですが、正にその通に彼らの非常に薄い体は、獲物から見え難くする事に非常に有利に働いています。そして、体のアングルを下に向け、体の輪郭が見えないように薄い体を獲物に向け、その視覚有効性を最小限に抑えようとします。
コパディクロミスの仲間は、"ウタカ"の名前でしられ、プランクトン捕食者です、そして、折りたたみ式の吻部を発達させ、それを前方へ押し出すことで、ストローの形状を作り出すように進化してきました。この事により、圧力が口内に溜まり、掃除機のようにプランクトンを吸い込むことができるようになりました。

下記のチャートはアクアリウムとして飼育すると言う条件の下での一般的な情報を記載しています。大型のハプロは75ガロン(284リットル)以下の水槽で飼うのは避けたほうが良いと思われます、とりわけ、非常に大型になる種類に関しては100ガロン(379リットル)が最低線だと思われます。
中型のハプロは208リットルでも飼育できますが、アーリ(S.フライエリー)は非常に気の強い魚なので、この魚は例外だと考えてください、アーリーを75ガロン(284リットル)以下の水槽で飼うのはお勧めできません。
ハプロは一夫多妻制のマウスブルーダー(口内孵化)の魚です、つまり、優位な地位に立つオスが、複数のメスを支配するハーレムを形成します。また彼らは夫婦の絆と言う物も無く、産卵が終了すると、オスは再び別のメスを探す為にどこか別の場所へ移動してしまいます。メスは、口内で孵化、保育を行い、卵が稚魚として完全に大きくなるまで育てます。そして、ある程度大きくなれば、メスは稚魚が自らが自活できるように、石の周りに子供を放出してしまいます。マウスブルーダーという点から考えまして、ハプロは非常に多くの繁殖数量を誇ります。たとえば、D.コンプレシケプスなどは、250程の卵を産みます。
注釈: 彼らは、暖かい水にすむ魚です、従いまして、24度~28度程度に水温を保ち、PHも7.8から8.6に保つことが肝要です。

【ムブナ】
ムブナ
(岩礁地帯を生活の場とする魚)は大きなシクリッドの中でも非常に大きなグループに属する部類で、海岸線の沢山岩石が積み重なったような場所に生息しています。彼らは通常大きなグループを形成している様子が目撃されますが、しかしながら群を為す習性がある魚という事ではありません。マラウィ湖では、一立方メートルに20匹の魚しか居ないということも取り分け珍しいことでもありません。また、ムブナはその非常に美しい色彩パターンと短くがっしりした体形で知られています。ムブナは小さくそして、通常平べったい顔を持っていますが、この事により、彼らは容易に石から苔を削り取ることができます。
彼らは、カラフルで、輝くような、水平線が垂直のラインを見せてくれます。小型のムブナは
大体8cmくらいまで、成長し、もっとも大型になる部類で20cmくらいになります、しかしながら大体の場合は、10cm~13cmにはなるまで成長するでしょう。
この種の魚が繁殖を行うのは、1歳程度かつ7.6cmくらいの大きさになった頃です。オスは、メスよりも多少大きくなって成長しており、しばしば非常に美しい体色を見せてくれるようになります。ムブナの寿命は7年から10年程度です。
ムブナは大体の場合に於いて、ハプロよりも更に攻撃的です。攻撃的であると言うものの、彼らには、非常に明確な社会構造があり、攻撃性はもっぱら、同種に向けられる場合が殆どです。(経験上、外見上似た種類も、その攻撃対象に含まれます)なぜなら、似たような外見の魚、例えば、体の形状または、色彩の点で似ている魚とは、彼らにとって、食糧確保と子孫存続という点から脅威に映るからであります。
もし混泳魚が同種または、近似種であった場合、彼らは、同じタイプの食事の確保と同じ種類のメスの確保の為に競争を行うことでしょう。
ボスの地位を確保したオスは水槽内でもっとも美しい体色を呈します。そして、下位に属する雄が他の同種のメスと繁殖行動をとったりすることを容赦しません。また、ある種類では、ボスになれなかったオスは、ボスとの争いを避けるためにメスの色彩を呈することもあります。そして、あるグループが全てメスの個体で占められている場合、多くの場合に於いて、メスはオスの体色を持ったりします。
彼らの攻撃性を上手く取り扱う方法もあります。定期的に少量の餌を幾度にも分けて、与え満腹状態にする事によりムブナの攻撃性を抑制することができます。また、魚を多少多く詰め込むことも、もう一つの方法でもあります。この方法は、攻撃行動を直接的にストップさせるというものでなくて、間接的に効果を現すということです。つまり、多くの混泳魚と一緒にすることで、ボス個体の攻撃を1匹又は2匹の個体に集中させるのではなく、幾つかの個体に分散させると言う意図のものです。更に、2対1の比率でメスとオスを飼育することも非常に大事なことだと思われます。更に、比較的長いサイズの水槽で、多くの隠れ家を用意し、ボス個体から逃げれる場所を多く準備することも方法の一つではあります。
もし、水槽内を比較的詰め込んだ状態で飼育する場合、強力すぎると思えるほどの濾過設備は必須になってきます。強力な生物ろ過フィルタ、水槽内の水が常に動いており、定期的な水飼えということも欠かせなくなってきます。
更に、別の方法として、同じような色彩を持った魚を一緒にしないということです。私自身感じることは、水槽内でのボス個体は、同じような色彩を持った種類のオスに対して威張り散らす様な行動をとり、この状況下では、そのオスは全く繁殖行動すら取らないということでした。
ムブナはもっとも繁殖の容易な種類であると考えられてきました。
彼らは、ハプロと同様、一夫多妻制のマウスブリーダーです。オスは砂や岩の周りを掘って巣を作成して、そこで、繁殖時期の高まったメスをおびき寄せます。メスは激しく、オスの前で体を震わせ、地面に卵を落とすように誘導しようとします。そして、メスが卵を拾上げようとするのと同時に、オスは魚精で、受精を行おうとします。
メスが、卵を"咥える"期間は、21日~31日で、その間メスは、殆どまたは、全く餌を食べようとしません。結果としてこうしたメスは非常に虚弱になります。それ故に口内孵化期間中のメスを他の混泳魚から隔離するのは良い方法だとも言えます。メス個体のサイズにもよりますが、通常産卵数は12-28で、一般的に口内孵化の魚は基質産卵の魚と比べてかなり産卵数が少なくなっています。これは、基質産卵の魚が巣のスペースの面で制限が無いのに対し、口内孵化の魚は口のサイズと言う制限があるからであります。しかしながら、幾つかの理由により、通常卵は、基質産卵の魚のそれと比べて大きさも大きくなります。
ムブナは非常に強い草食の傾向をもています(ラビドクロミスという例外もありますが)
彼らは、多くの時間をマラウィ湖の海岸線にある岩礁地帯を覆う厚い苔のマットを引っ張ったり引掻いたりする事に費やして生活しています。
この苔というものが、彼らの重要な栄養源になっていますが、他にも、苔の中に潜んでいる昆虫や甲殻生物も補助的に食したりします。彼らは通常、ベジタリアンだと言われておりますが、しかしながら、彼らは、口に入るものは何でも食べようとします。したがって、本魚の健康維持の為には、給餌に関して、留意することが必要に成ります。
ムブナの消化器官は植物系のものを消化するように出来ています。彼らは非常に消化の悪い「苔」からタンパク質や炭水化物を抜き取る為に必要な、非常に長い腸を持っています。
牛や、其の他の有蹄動物は複数の胃を用いて草を消化します、一方ムブナは、たった一つの胃を用いそして、非常に長い腸を用いて消化を行います。もし飼育者が、非常に動物性タンパク質の高い(例えば、ミミズ、エビ、餌用の小魚)ものを与えたならば、腸内の活動を妨げ、そして、お腹が腫れ上がり、悪名高いマラウィ・ブロート(腹水症)になることは時間の問題でしょう。
この理由により、ハプロとムブナは、混泳させるべきではないと考えられます。
ハプロは自然下では、生餌の形式で多くのタンパク質を摂取しています、一方で、ムブナは植物質の物を摂取しています。つまり、両者を混泳させることは、ムブナかハプロのどちらかの一方を食性において犠牲にする事になってしまうのです。
さらに、ムブナは石を沢山投入したセットアップが必要なのに対して、ハプロは比較的広い遊泳域が必要に成ります。
もし、ハプロをムブナが好むような石を沢山敷き詰めた水槽に投入すると、ハプロは閉じ込められた様な感じになり、さらには、常に体を石にぶつけて怪我をしているような状態になるでしょう..
これまで、見てきたように、ムブナは多くの植物性の物質が食性において必要に成ってきます、つまり、スピルナの配合されたフレーク飼料が最適であるといえます。
更には他のスパーマーケットで購入した、ズッキーニ、グリーンピース、レタス、ホウレンソウを時々与えることも出来ます。これらは、バラバラにしたりスライスして与えるのがベストだと思われます。
黄色カボチャも時々与えるには非常に良い餌です、なぜなら、これらは、赤や黄色と言った色彩を高める働きがあります。
こうした植物質の物質を与える事に関して、努力を惜しまないことが肝要だと思われます。
そして、なにはともあれ、これらのムブナに対して、多くの脂肪分を含んだ餌を決して与えないで下さい(ミミズ等)そして、特に、温血動物の脂肪分を含む餌(ハツ(牛の心臓)等)は取り分けタブーと言われています。
しかしながら、中でもラビドクロミスの仲間はこうした厳格なベジタリアンであるムブナの食性からみますと、一つの例外であります。彼らの餌は主にプランクトンや貝の様な水生無脊椎生物で、ほんの稀に水草を食べています。本魚を飼育しているとお気づきになるかもしれませんが、彼らの歯の形状は他のムブナとは非常に異なっています。他の魚は三又鋤(すき)の様な形をしているのに対して、本魚は比較的、尖った針の様な歯をしています。とは言っても、やはり、彼らは、スピルナの配合された顆粒状の餌を好むようです。
メラノクロミスの仲間もまた例外と言えます。彼らは主に植物性の物を食しますが、それと同時に、苔の間に潜んでいる昆虫や甲殻類も食べています、この傾向は他のムブナ類の魚よりも強いようです。この事により彼らは、口に入るものはとりあえず何でも口にする、オポチュニスティックフィーダーと呼ばれています。

ムブナは菜食主義者である事により、殆どの種類の水草を食べようとします。直ぐに食べつくしてしまうと言うことはありませんが、もし、ムブナ水槽に水草を投入しようと考えた場合、ムブナがあまり好きそうでない水草、そして、アルカリ性の水にも耐えうる水草を選ばなくてはなりません。
こうした水草には、ミクロソリウム、バリスネリアの仲間、アヌビアスの仲間、(バルテリー、コンジカス、ギガンテ、グラキリス、ヘテロフィラ、ナナ等)が含まれます。
ムブナもハプロと同様に暖かい水を好みます。従いまして、24度から28度程の水温が必要で、PHは7.8~8.6が適しています。もし、水槽をよりよい状態に保ちたいと考えるならば、227リットル以上のサイズの水槽を用意してください。
