私自身、腹水病で、2003年に多くの魚を失い、非常に暗澹な気持ちになったことがありました。私の場合、多くのアフリカンシクリッド愛好家の方に様々な非常に詳細な助言や、メールを頂き、本当に助けられてきました。
様々なご助言を頂き、その後の飼育は、かなり、快適な情況を保てるようになり、ご助言頂いた方々には非常に感謝しております。
その後、私自身、偶々、アメリカのシクリッドフォーラムドットコムという、彼の地のシクリッドマニアの交流サイトにて、かつて、様々なアドバイスを頂いた方々の貴重な意見を総括するような文章に出会い、今後、私と同じような事に苦しまれる方々のお役に立てばと思い、その文章を日本語訳にしてみました。
⇒原文はここから
英語自体高校卒業後、殆ど接していないので、誤訳があるかもしれません。また、なるべく日本語として、分かりやすいように、かなり、意訳しています。
何卒、お許しの程をお願いいたします。
マラウィ ブロート
著者:マーク エリーソン
マラウィシクリッドのブロート症状(以後腹水病)はアフリカンシクリッドを飼育する人を最も悩まし、かつ非常に良く見られる症状であることは疑う余地は無いと思われます。
この普遍性に比べて、この病気に関する理解は、ごくわずかであると言うのが、昨今の現状でございますが、エキスパートのマニアの方々のおっしゃる内容を咀嚼して、かつ、私なりに、本病に関して、出来る限りの多量の時間を掛けて、研究した結果、私として、取得出来たものをここでは説明したいと思います。
この結果に関しては、多くのマニア、研究者の方々の賛同を受けているわけではありませんが、しかし、そこには、考えられる原因、原因であろうと思われる病原菌、そして、治療方法といったものを分析する中で、ある一定の一致が見られます。
まず、最初に、この病気に関して、共通して見られる症状と、そして、これが何故起きるのか関して、更に、この病気の発生原因に対して、文献に基づく詳細な分析を行いたいと思います。引き続いて、幾つかのお勧めできる、予防策と治療方法に関して、説明を締めくくりたいと思います。
まず最初に腹水に関して、申し上げたいことは、これは単なる、マラウィ湖のシクリッドのみに発生すると言うことでは無い点です。同様にビクトリアシクリッド、とりわけタンガニーカシクリッドでも起こりえます。アフリカンシクリッドの、こうした、腹水に対しての脆弱さに関しては、植物系の食事がメインで有ることと最も関係がありそうですが、この点に関しては更なる、原因に究明関しては今後の精査を待つものといたしましょう。
【兆候】
まず、最初の兆候は、食欲の減退から見られます。更に、この時点で、治療を施さなかった場合、次の症状へと進むことと成ります。この2段階目の症状は腹部の腫れです。(したがって、腹水と呼ばれます)、更に、呼吸回数が増え、白い筋状の糞便が出ることとなります。同時に、水槽の底の部分でじっと留まっていたり、水槽上面でふらふらしていることが見られます。赤信号は魚体の肛門、皮膚
が潰瘍化してくる事でも分かるかもしれません。
こうした、第2段階の兆候が一つでも表れた場合、可能な限り、速やかに、トリートメントを行うことが肝要です。さもなければ、貴方の飼育している魚は多くの場合死に至る結果になることでしょう。
ところで、こうした、2段階目の特徴的な兆候は、広範囲にわたり、魚の肝臓、腎臓、そして浮き袋へダメージを与えることが考えられます。したがって、治療を遅らせることは、魚が回復する確率を減少させる結果となりうるのです。一旦、この第2段階の症状が出始めてからは、私自身、一週間以上魚が生き存えた事を目にしたことがあるものの、通常の場合ですと、24-72時間後には魚は死亡します。
また、魚が、この状態から復活したと言うことも耳にした事もありませんし、また、私自身、第2段階の兆候が現れてから後の治療に成功したことは、かつてありません。
写真の様に、腹部が腫れあがり、白い糞をするようになります。
【原因と考えられる細菌に関して】
これは、飼育者の多くの方々が、腹水症状を語るときに、もっとも意見が分かれる所ですが、あるマニアは、バクテリアによる物と考え、他方は、寄生によるものと主張します。
全てのマニアの人が同意しているわけでは、ありませんが、私個人が、様々な文献を通じて、感じたことは、腹水は原生動物の寄生によるものが殆どでは無かろうかと言うことです。
多くの研究の結果分かってきたことは、健康な魚の腸にも生息しうる原生動物は、ストレスを感じているコンディションの下では、魚体に被害を与える程度に数を急増させると言うことです。数が非常に増えた状況下の元では、こうした寄生原生動物は、腸内の管を塞ぎます。こうしたことが、魚の食欲の減退へと結びついていきます。
寄生原生動物のがその数を増殖させるにしたがって、この原生動物は腸壁の穴を塞ぎながら、侵略的ともいえる様な動きを腸内で、ねり動き始めます。そして、この行動は魚体の腹水症状へと陥らせることとなるのです。留意していただきたいのは、腹水で魚が死亡するのは、食欲が減退し、飢えて死ぬのではなく、この様に、魚の消化器官へダメージを与えることによって死亡してしまうのであります
また、この件に関しては、考慮されるべき、別の課題が更に残されています。それは、この病気が伝染性があるか否かと言う点であります。経験上、私の個人的に感じたことに関して言わせていただくと、腹水はただ単に、一匹の個体に関して、被害を及ぼすと言うことでは無い事です。通常ですと、3匹、またはそれ以上が被害に会います。これは、全ての魚が、何かしら、同じ脅威的な要因にさらされていると思われます。ただ、私としては、ここで短絡的に結論を出すのは避けようと思います。なぜなら、病気の兆候は、同時期に全ての魚に一斉に表れるのでは無いからです。それは、順序だって表れてきます。より分かりやすく言うならば、
まず第1日目に、個体Aの食欲が無くなるとします。第二日目には、個体Aは腹を腫らすこととなります、そして、個体Bの食欲がなくなります、そして、第三日目には、個体Bの腹が膨れて、個体Cの食欲が減退します・・・・
ここでは、3つの腹水病の原因に関して、説明しようと思います。
1】 ストレス
ストレスは、様々な原因によって引き起こされるとは思いますが、最も、頻繁に見られる現象は、長時間状態の悪い水に晒される事が挙げられます。
この事は、長期間水換えをサボったり、エアレーションが十分でなかったり(魚の為というより、硝酸化細菌の為)または、餌のやり過ぎと言った事で引き起こされます。
こうした3つの要因うち、全てが、水槽内の硝酸塩濃度を上昇させることになります。本来魚自身、病気に対しては抵抗力はあるのですが、しかしながら、長期間に渡り、悪化した水質の中にさらされると、彼らは、ストレスを感じることになり、更には、彼ら自身の免疫システムが最適レベルを保持できなくなってしまいます。(まるで、人間と同じように!)
これら以外のストレスの原因としては、魚を網で捕まえたり、輸送したり、水換えを行ったり、混泳魚の攻撃から身を隠す場所が不足し、常に虐められる状態にあること等も考えられます。
2】 塩分
水質をよりワイルドな状態に近づける為に、多量の塩(NaCl)を投入することがあると思いますが、確かにアフリカのリフト
レイクと呼ばれる湖はアルカリで、非常に硬度の高い水質(Ph 8.0
-8.9、硬度は200-400ppm)と成っています。しかし、一般的な”塩”は水質をアルカリ化することはありません。では、何が水の硬度を上げるのでしょうか?それは、塩に多分に含まれる、カルシウム、マグネシウムなのです。もし飼育者の皆様の手に入れることができる水が、軟水で、
水のPhと硬度の両者を上昇させる必要がある場合は、他の適切な方法を取らなければなりません。
ホームメイドのバッファーの製造は、簡単で、安価に済ませることができます。
また、市場には、Sea Chem社のシクリッド ソルトTMと言ったような使える商品も販売されています。
珊瑚砂を底砂として使用したり、石灰岩を水槽内に加えることも、水槽内のPh上昇に一役買うことが出来ます。
しかし、こうしたミネラル分は水中に長期間浮遊した状態で存在することは出来ませんので、やはり、定期的な水換えは必要となってきます。
2】 食性の重要さ
多くのシクリッド、とりわけ草食性の種類は、非常に長い腸管を有していますので、餌を消化するのに、非常に長い時間が必要となります。従って、この種のシクリッドでは、腸の問題がしょっちゅう見られることとなります。腸内での、不適切な未消化物質、もしくは、不適切な排泄物は、腸壁を延焼させ、また、魚体にストレスを与え、体を疲弊させることとなり、原虫寄生の根本原因となっています。
これらの現象は、トロフェイス、プセウドトロフェイス系と言った、草食のコケをかじって食べている魚に、高蛋白の飼料、例えば、赤虫や、魚粉を多用した、ペレットやフレークフードを与えた時に良く見られます。
ブラインシュリンプの様な、スライム状態、または、やわらかい食品は、なるべく避け、オキアミと言った、砕いてポロポロ崩れる形態の餌に切り替えた方が良いでしょう。
これらの情報と私の経験を加味して考えて見ますと、重要なことは、重量的にも、内容的にもヘビーな餌を避け、比較的軽い系統の飼料を選んだ方が、いいと言う点です。
【治療に関して】
一旦、魚が食欲を失っている様だと感じた場合(口内に卵を孵化させている場合を除く)、速やかに魚の移動を行い、トリートメントを行うことをお勧めいたします。私の知る限りでは、腹水に関しては2つの効果的な方法があります。まず、第一には、一番普及した方法ですが、メトロニダゾール(エムトリル(Emtryl)または、フラジール)、そして、第2にはCLOUT(以下クロウト)を使用する事です。トリートメントを行う前には30%の水換えを行い(水質の向上を図る為)、そして、エアレーションを増やして、更に、50%の水換えを行ってください。薬の説明書きに、本薬品は、硝酸化バクテリアに被害を与えることがありませんと書かれていても、一応、既存のろ過材を移動させておいた方が良いと思われます。もし、専門の薬浴用水槽があり、既に魚を飼育していない状態であれば、この30%の水換えは必要ありません。また、トリートメントの前に、大量のバクテリア保存を目的として、フィルター内に水を幾分か残しておいて、トリートメント水槽で使用しない様に処置することは、繰り返す必要も無いと、思われますが、上述の換水は、トリートメント期間中、水換えを執り行ないたく無い場合に、重要であります。
加えて、いずれかの薬を用いて、治療を行う場合、エプソム塩(天然の硫酸マグネシウム)と食塩を混ぜたものを水槽に導入した方が良いと思われます。半分半分で、それらを混ぜたものを、38リットル(10ガロン)の水に一掴み程度投入してください。
エプソム塩とは天然の下剤で、腹水状態に陥った魚に対し、余分に吸収されたの水分を排出させる働きがあります。エプソム塩は非常に安価で、361グラム(1ポンド)あたり、220円(2ドル)程度で、雑貨店や、薬局で購入することができます。
メトロニダゾールで治療を行う場合、10ガロン(38リットル)ごとに100mg(大体、スプーン一杯?)を投入してください。この容量を必要に応じて、2日繰り返してください、一週間以内で回復することとおもわれます(もし、彼らが病気に打ち勝ち、生存することが出来たならば)。
感染した魚は食欲を取り戻すことになりますので、大体、効果の程は、いつくらいなのか分かることと思います。一方、魚が食欲を維持しているのならば、本薬品を非常に簡単に使用することができます。使い捨てのカップに水槽の水を幾分か投入し、少量のペレット飼料を入れます。そして、1スプーン分の薬品を投入します。数分してペレットが薬品の水溶液を吸い込んだ後、カップごと水槽に投入して魚に与えてください。
本薬品を使用する場合、全ての、紫外線(UV)オゾン、化学フィルターと言った、薬品の十分な効能を阻害するような物の使用を止めてください。また、トリートメントの前には50%の水換えを行って下さい。SeaChem
TMとAquatronics
TMの両社からは、メトロニダゾールを含んだ薬品が販売されています。前者の方は、メトロニダゾール、そして、後者の方は、ヘクサミット
TMの名前で販売されています。
腹水の治療にあたって、クロウトは比較的取り扱いが簡単です、すでに上で述べたように、治療前には、水槽内のフイルター等で使われている活性炭などが有ったら、取り除いてで下さい、そして、30%-40%の水換えを行ってください。
使い捨てのカップ等を準備して、水槽の水を入れ、10ガロン(37.9リットル)の中に1錠入れて溶かします。
それを水槽の中に、一度に少しずつ、入れ込んで下さい。もしかしたら、30分程、薬の投入に時間を要するかもしれませんが・・・
この薬は、非常に強いので、説明書にしたがって、既にストレスで参っている魚にショックを与えないようにしなければなりません。
続いて、2日後には、30%-40%の水換えのを前もって行い、再度、同様の投与量を、投入します。
クロウトの効果を最大限まで、発揮させるには、日々の水換えは必須事項であります。換水は古くなった、もはや有効とは言えない、化学物質を取り除くことを促進させます。炎症がそれほど、ひどく無い場合は、3日のトリートメントで十分ですが、ひどい場合は。、5日ほど、要します。もし、5日を経過した後に、何も変化が見られない場合は、2日の間隔をあけて、再度、トリートメントを繰り返してみてください。
一旦、トリートメントを中断する場合は、水換えは、最後の投薬から、24時間経過した後に執り行なってください。
この2つの薬は、腹水症の拡大を防ぐことに、効果があります。クロウトは非常に強力で、魚の治療用に専門に開発された薬です。メトロニダゾールも含めて、多くの魚の薬とは、人間用に開発された薬の副産物です。私の経験から、申し上げさせていただきますと、メトロニダゾールは腹水症の水槽内での拡大を封じ込めることに関して、効果はありますが、既に、症状が現れた、魚自体への治療には効果が無いと思います。しかしながら、クロウトの方は、腹水症状自体の治療に、より効果があるようです。
しかし、注意しなければならないの、このクロウトと言う薬は、水槽内のシリコン系の物質を、何でかんでも、青く染め上げてしますのです。水槽内に入っているかもしれない、エアーチューブと言った物も同様です。注意しておかなければ、その薬と接触したものは何でも青くなってしまうでしょう。確かに、私自身、この薬は、非常に効果が有ると思っていますが、最低限は、薬を使ったら、水槽内がどの様になるか、予測しておきたいものです。
私自身も、この薬をつかった後で、「なんじゃこりゃ~~」と思ってしまったので、ここの部分は、皆様に分かって頂けなければいけない注意事項だと思っています。
追記: これらの薬、または、他の薬を使用する場合でも、やはり、水槽の上部ライトは消した方が、良いと思われます。
確かに、これらの薬の抗生成分が、紫外線によって分解されると言うことはないのですが、水槽内の暗い雰囲気というのが、魚をリラックスさせ、元気な体にさせる様です。
さらに、メトロニダゾールは高い水温(26.7度C)で、その効果を、より十分に発揮します。しかし、エアレーションを、しっかりさせなければなりません。なぜなら、水温の常温により、溶存酸素量は減ってしまうからです。
更に、水温を上昇させることにより、新陳代謝を活発にさせ、免疫機構をよりスムーズにさせる働きもあります。そして、その間にも、寄生菌の『誕生』→『死』までのライフサイクル期間を急がせることが出来、より早く魚を回復させることが出来る様になるのです。