IOC五輪招致疑惑

共同通信社 Last updated March 2,99

 【99年2月】(日本時間)


IOC会長続投に強い意志 サ会長が主要通信社と会見


 【ローザンヌ(スイス)31日共同】国際オリンピック委員会(IOC)のサマランチ会長は三十一日、当地で共同通信をはじめ主要な国際通信社と会見し「(会長に)とどまることがわたしの責務。IOCが過去何年かにわたって保ってきた権威を取り戻すことができるよう、全力を傾ける」と述べ、会長続投に強い意志を表明した。
 サマランチ会長はまた、三月十七、十八両日の臨時総会に諮る(1)自身の信任投票(2)臨時理事会が決定した五人(当初六人のうち一人が辞任)のIOC委員に対する追放処分(3)二○○六年冬季五輪開催都市の「選定委員会」での決定―に対していずれも理解または承認を得られるとの自信も示した。
 会長の信任は総会出席委員の過半数の支持で成立する。「わたしの進退は(IOC)委員にすべてかかっている。しかし現在までのところ多くの激励の電話と手紙を受け取っている」と語り、マスメディアなどからの辞任を求める声に反してIOC委員からは強い支持を得ていると強調した。
 二○○二年ソルトレークシティー冬季五輪招致をめぐって倫理違反を犯したと判断され、追放処分の対象となって現在資格停止中の委員の中には、辞任を拒み、臨時総会で釈明の機会を求めると強硬姿勢を示している委員も出ている。これについてサマランチ会長は「(総会に出席する)IOC委員は理事会決定の趣旨をよく理解しているはず」と述べた。
(了)  990201


誤解に満ちた報道は残念… 会長職続投がわたしの責務


 【ローザンヌ(スイス)31日共同】記者会見した国際オリンピック委員会(IOC)のサマランチ会長との一問一答は次の通り。

 ―会長の辞任を求める声が出ている。
 「(会長職に)とどまることがわたしの責務。IOCが過去何年かにわたって保ってきた権威を取り戻すことができるよう全力を傾ける。多くのIOC委員から激励の電話と手紙を受け取っている」
 ―二日からの「ドーピング(薬物使用)世界会議」が今回のスキャンダルで台無しになってしまう懸念がある。
 「反ドーピング会議はとても重要だ。それに対して、残念なことに誤解に満ちた、取り合うことのできない新聞報道もある」
 ―例えば?
 「わたしが毎日ヘリコプターで通勤しているとか、今度は二万五千ドルのライフルを贈られたとか。スペインで(フランコ独裁体制時代に)何をしたかを書き立てたり…」
 「五輪博物館の寄贈者を記した石壁にわたしの名前があることを非難するところもある。あれはわたし自身の五輪切手のコレクションを寄贈したためだ。講演料を取っているとの指摘もあるようだが、講演して謝礼を受け取ったのは過去日本で一回あっただけ。そのときの(謝礼の)五万ドルも博物館に寄付した。小型ジェットを乗り回しているとの報道もあるが、わたし自身はもちろん所有していないし、IOCとして必要なときにチャーターするだけだ」
 ―特別な地位を保ってきた五輪がその意義を損なう危機にあると考えるか。
 「その判断はIOC委員に聞く方がいい。しかし、五輪が現代社会において最も重要なイベントになったことだけは確かだ。IOC委員、なかでも理事会の努力のたまものだ。わたしも一生懸命やってきたつもりだ」
 ―二○○六年冬季五輪開催都市を決める「選定委員会」設立の提案については。
 「理事会メンバーはこの委員会に入らないことになった。つまり理事会が犠牲を払った。現行システムを思い切って変更することはいまとても重要だ。それにこの方式はとりあえず二○○六年冬季五輪に対する一度だけの改正案ということを理解してもらえると信じる」
(了)  990201


金品要求の有無など問う IOCが5項目の質問書


 国際オリンピック委員会(IOC)が五輪招致をめぐる不正行為の有無を調査するため日本オリンピック委員会(JOC)へ送った質問書で、立候補都市側にIOC委員から直接、間接に金品などの要求があったのかなどを尋ねていることが一日、明らかになった。
 質問はこのほか、立候補都市側からの金銭、物品とサービス、一般的な習慣の枠を出るような贈り物があったのかなど、計五項目にわたっている。全体的な内容は一月下旬にIOCが発表した原案とほとんど変わっていない。
 IOCは一九九六年から二○○四年までの夏季、冬季五輪招致に関して調査を進める方針で、九八年長野冬季五輪も対象となっている。しかし、招致委員会が既に解散しているため質問書は一日、JOCに届いた。
 サマランチIOC会長は質問書のあいさつの中で、五輪招致で不正な行為があれば「関連する名前や可能な限りの証拠を報告してほしい」と要請している。
 JOCは三日に長野五輪招致関係プロジェクトの第一回会議を開いて対応を検討する。
(了)  990201


「日本刀は受け取らず」 IOCが報道を否定


 【ローザンヌ(スイス)1日共同】国際オリンピック委員会(IOC)は一日、サマランチ会長に対する世界各国での報道に多くの誤りがあるとして十二の事例を指摘し、長野冬季五輪招致に関連して長野側から同会長に贈られたとされる高価な日本刀についても、受け取った事実はない、と主張した。
 IOCは一九九一年春の同会長の長野訪問に同行した職員から事情を聴き、ローザンヌの五輪博物館の記録などもすべて調べたが、該当するものはなかったという。
 これに対し、当時長野五輪招致委員会の常任実行副委員長だった吉田総一郎氏は、短刀の輸出手続きが完了していたことを認めている。
 IOCはこのほか、サマランチ会長がジュネーブとIOC本部のあるローザンヌの間の移動にヘリコプターを利用したことは一度もなく、ローザンヌのホテルの続き部屋も一泊三百スイスフラン(約二万五千円)と比較的小さな部屋で、ぜいたくなものではない、と報道に反論している。
(了)  990202


政府代表がIOC体質批判 IOCも反論して火花散る


 社会問題に発展してきた薬物汚染への取り組みを話し合う「ドーピング(薬物使用)に関する世界会議」の中で、国際オリンピック委員会(IOC)と一部の政府代表が二日、火花を散らした。
 ドイツのシリー内相(スポーツ担当)は「君主体制」と、IOCの体質を前世紀の遺物と決めつけた。IOCは既に実行しているのだが「(IOCは)資産の公開などを進めて、民主化を図らなければならない」と、的外れの演説をドイツ記者団にぶった。
 英国のバンクス・スポーツ相、米国政府のマカフレー代表もIOCの体質改善を求める発言をスピーチの中に入れた。
 これに対し、IOCのメロード医事委員長は黙っていなかった。「薬物問題にIOCは一九六八年に取り組み始めた。各国政府が少し怠慢だったため、今になって協調体制を探らなければならない」
 政治家嫌いで知られる、ベルギー皇室のメロード委員長はさらに「今日、組織の改善を口にした政府はわたしが新聞を読む限り、毎日何がしかの改革を迫られるような問題に直面している。どうして彼らの主張を信用できよう」と応酬した。
 ゴスパー理事も「IOCが傷を負っているときに傷口に塩を塗り込むような発言はいかがなものか。IOCは自分たちで常に改善を図っているのだし…」と反論した。(ローザンヌ共同)
(了)  990203


ケニア五輪委の会長も辞任


 【ナイロビ2日ロイター=共同】ソルトレークシティー冬季五輪招致に絡む収賄疑惑で国際オリンピック委員会(IOC)委員を辞任したムコラ氏が二日、ケニア・オリンピック委員会の会長職も辞任した。
 ムコラ氏は先のIOC臨時理事会で追放処分勧告の対象となり、総会での決定を待たずにIOC委員を辞任していた。国際陸連、英連邦競技会連盟などでの役職にとどまるかどうかは不明だが、本人は依然不正行為はなかったと主張している。
(了)  990203


選手委はサマランチ支持


 【ローザンヌ(スイス)3日共同】国際オリンピック委員会(IOC)の選手委員会は三日、サマランチ会長の続投を全面的に支持するとの声明文を発表した。
 IOCは一連の五輪招致をめぐるスキャンダルに揺れているが、選手委は「五輪運動、IOCの信頼を回復するためにサマランチ会長の指導力が必要であり、選手委は全員一致でこれを支持する」としている。また声明文の中で、IOC理事会に選手委のメンバーを加えることも求めた。
(了)  990204


3月総会直前に理事会


 【ローザンヌ(スイス)3日共同】国際オリンピック委員会(IOC)が三月の臨時総会直前の同月十五、十六の両日に理事会を招集することが三日、分かった。
 三月十七、十八日に開かれる臨時総会はサマランチ会長の信任、辞任勧告を拒んでいる五人の委員の追放、二○○六年冬季五輪開催都市の選定方法という重要案件を抱えている。
(了)  990204


長野も゛犠牲者″の一人 ホドラーIOC理事に聞く


 【ローザンヌ(スイス)4日共同】国際オリンピック委員会(IOC)の重鎮、マーク・ホドラー理事は四日、共同通信のインタビューに答え、IOCを揺るがすスキャンダルに発展した贈収賄疑惑について語った。
 昨年まで四十七年間、国際スキー連盟(FIS)の会長を務め、古参IOC委員として五輪運動の推進にかかわってきたホドラー理事は昨年十二月、五輪招致に絡む仲介人の存在を暴露し、一連の疑惑問題の火付け役となった。
 一九九八年冬季五輪の招致に成功した長野については「゛犠牲者″の一人だ」と同情的な姿勢を見せた。

 ―昨年末、仲介人の存在を明かす爆弾発言した理由は。
 「スキー界の内部で世界選手権開催地の決定をめぐって仲介人が暗躍し、悲惨な事態になった。FISは加盟各国全体の投票から、理事会による選定方法に変更した。IOCでも同じような事態が進展していると知り、改革しなくてはいけない時期だと思った。だから口火を切った」

 ―ソルトレークシティー五輪招致をめぐり、追放処分者を多数出すことになった。
 「大変残念なことだが、わたし自身は贈収賄疑惑にかかわっていたIOC委員は多くても八人程度と思っていたので、驚いているという部分もある」

 ―IOC委員のモラルが問われている。
 「IOC委員は世界の各地から選ばれている。その地域によって社会規範や常識が異なっているのは分かっているつもりだ。しかし一定のルールを設けた以上、それに従わなくてはいけない」

 ―長野招致委は当時の帳簿を燃やしたとしているが。
 「新聞でしか情報がないが、どの招致都市もプレッシャーを受けていたのは事実。そういうことがあってもおかしくはない。しかし強調したいのは長野も招致に絡むブラックメール(ゆすり)の゛犠牲者″の一人ということだ」

 ―長野五輪の一周年式典の前に堤義明氏に会うとか。
 「彼とはスキー界の友人として付き合いが長い。彼からの要請で会うが、(話の)中身はまだ聞いていない」
(了)  990205


シドニーが招致再調査へ 違法あれば司法捜査も


 【シドニー5日共同】シドニー五輪組織委員会のナイト会長は五日、同五輪招致時の疑惑を一掃するため、第三者による特別調査機関を設置して、招致関係の全書類を再調査する、と発表した。十日の組織委理事会で承認を得て作業を始める。汚職などの違法な活動を発見すれば、司法当局に捜査をゆだねる。
 特別調査機関は、元サウスオーストラリア州の会計監査官を責任者とし、保管されている三千項目を超える招致関連書類を調べる。
 調査項目は(1)国際オリンピック委員会(IOC)の招致ガイドラインに違反しなかったか(2)IOC委員に不適切な行動はなかったか―など。汚職などの違法行為が発覚すれば、汚職監視委員会や警察が捜査を継続する。調査結果は三月十一日までにまとめられ、公表される。
 シドニー五輪の招致では、豪州オリンピック委員会(AOC)が、アフリカの二人のIOC委員に資金提供していたことが問題となっていた。この資金提供は、IOCにより、正当なスポーツ支援と認められたため、AOCは「シドニー招致の嫌疑は晴れた」と発表していた。
 あらためて特別調査を開始することについて、ナイト会長は「IOCからの要請もある。これを最後に、招致への疑念をすべて晴らしたい。調査は、シドニーがルールを厳格に守ったことを証明するだろう」と述べた。
(了)  990205


疑惑解明に期待感 堤JOC名誉会長


 日本オリンピック委員会(JOC)の堤義明名誉会長は五日、東京都内で五輪招致に絡む一連の不正疑惑について「長野五輪がどうだったのかわたしも知りたい。どんな不正があったのか、なかったのか、真相を知りたい」と語り、JOCの調査に強い関心を示した。
 JOCは六、七日に長野市で八木祐四郎専務理事ら幹部四人が現地調査にあたる。当時の招致関係者から資料の提出を求めるなどの調査には限界がありそうだが、堤名誉会長は「長野の人たちの良心に訴えて、何があったのか言ってくださいと頼み、変なIOC(国際オリンピック委員会)委員がいたのなら排除すればいい」と話した。
 長野五輪招致委員会で名誉会長を務めていた堤名誉会長は、同五輪の招致活動に関して「(不正行為の存在は)わたしは知らない。もし(不正を)するというのであれば止めていた」と述べた。
(了)  990205


まだいる疑惑のIOC委員 ホドラー理事が可能性示唆


 長野五輪の一周年記念行事出席のため来日した国際オリンピック委員会(IOC)のマーク・ホドラー理事は六日、「ソルトレークシティー五輪招致で浮かんだ人物以外に、まだ何人か(不正行為をしたIOC委員が)出てもわたしは驚かない」と述べ、五輪招致に絡む疑惑委員がほかにもいる可能性を示唆した。
 長野市で共同通信のインタビューに答えたもので、「(先の臨時理事会の処分で)IOC内の浄化は完了したか」との質問に対し、同理事は「友人から『そんなに少なくはないよ』と言われた。(処分対象となった委員の)二人はどの招致関係者からも『危ない人物』と指摘されていた」と語った。
 ソルトレークシティー五輪の招致疑惑に絡んでIOCでは三人の委員が辞任し、さらに一月の臨時理事会で六人の追放処分、三人の継続調査、一人の注意処分を三月の臨時総会に勧告することを決めた。追放処分の対象となった一人はこの後、辞任している。
 同理事はまた、長野五輪招致委員会が四十五万スイスフラン(当時のレートで約五千百万円)を支払ったローザンヌの広告代理店「スタジオ6」のゴラン・タカチ社長について「『IOCに多くの友人をもっている』と宣伝して招致委側から多額のカネを取る仲介人の一人。しかし実際は何の仕事もしない。ただ、彼は『わたしがいなければ、招致は成功しない』と言って回る最も悪質な部類の仲介人ではない」と語った。
 同理事はこのほか、運動用具メーカーのアディダス社が長野の招致をバックアップしていたとうわさされることについて「つい最近聞いたが、悪質な集票活動をしたとは思わない。わたしが知っているのは、アディダス社の元の社長のダスラー氏(故人)がそうした仲介人的な仕事をしたということだ」と述べた。
(了)  990206


「僕は知らされていない」 広告代理店契約で猪谷理事


 長野五輪招致委員会がローザンヌの広告代理店と結んだコンサルタント契約を強く推薦したと指摘された国際オリンピック委員会(IOC)の猪谷千春理事は七日、「確かに紹介はしたけど、契約するかどうかは招致委の問題。僕は契約したことも知らされてもいなかった」と、従来の主張を繰り返した。
 この契約では支払われた四十五万スイスフラン(当時のレートで約五千百万円)のうち、約三分の一が成功報酬だったとも指摘されている。この点について猪谷理事は「海外のビジネスでは当たり前。もとの契約がいくらで、成功したら何パーセントという契約は普通のこと」と述べ、問題はないとの見方を示した。
 長野招致委で事務総長代行を務めた吉田総一郎氏が六日、広告代理店契約に関して「自分は反対したが、猪谷理事が推薦していて組織(招致委)として断れなかった」と発言し、注目された。吉田氏は七日、日本オリンピック委員会(JOC)の事情聴取を受けた。
(了)  990207


「必要以上の対応」を指摘 JOC長野プロジェクト


 長野冬季五輪招致に絡んだ不正行為があったかどうかについての国際オリンピック委員会(IOC)の調査に対応するため、日本オリンピック委員会(JOC)が設置したIOC問題プロジェクトは七日、長野市内で当時の招致委員会幹部への事情聴取を終え、八木祐四郎座長(JOC専務理事)は八人のIOC委員が招致段階で長野へ規定外である二回以上の訪問などをしたことや、長野側にも一部に必要以上の対応があったことを指摘した。関係者によると、八委員の中にはIOCから注意処分を受けたヘーシンク委員(オランダ)、継続調査中の金雲竜理事(韓国)が含まれている。
 八木座長は長野側の招致活動はおおむね適切な印象だったとも述べたが「まだ納得できない点は多少ある」と話し、焼却処分された帳簿類の問題などは、IOCへの回答期限の十五日を過ぎても継続して調べていく意向を示した。聴取ではIOC委員への金銭贈与は確認できなかった。
 長野開催が決まった一九九一年六月の英バーミンガムでのIOC総会の際、邸宅を借り切ってIOC委員を接待したことには「あれだけ金をかける必要があったのか」と不適切な招致活動と位置付けた。しかし、IOCへの報告は行わないとした。
 同プロジェクトはIOCの質問書内容とは別に、これまで報道されてきた行為についても調査。日本ライフル射撃協会の菊地陞会長(当時副会長)が長野開催決定の直前にアフリカでロビー活動を展開した点に関心を示し、JOCとして調査する方針を固めた。
 ソルトレークシティー冬季五輪招致をめぐる買収行為が発覚するなどスキャンダルに揺れているIOCは、五輪招致に不正行為がなかったかを尋ねる質問書を該当する各国内オリンピック委員会(NOC)に送付。同プロジェクトは六、七日に計六人に対して実施した今回の聞き取り調査と、さらに入手する予定の資料を基に十二日に第二回会議を行い、IOCへ質問書の回答をまとめる。
(了)  990207


納得のいかない点もある 長野調査のJOC八木座長


 日本オリンピック委員会(JOC)の国際オリンピック委員会(IOC)問題プロジェクト座長を務める八木祐四郎専務理事は七日、長野招致委員会元関係者への事情聴取を終え、記者会見に応じた。一問一答は次の通り。

 ―二日間の調査結果は。
 「おおむね適切な対応がなされたという印象だ。ただIOC委員の複数回の訪問など、一部に必要以上の対応があったと思う。また若干納得のいかない点もある。一部不明な点では長野側に不足資料の提出を求めている」
 ―何が納得いかないのか。
 「一番の問題は資料(会計帳簿)の廃棄。質問したが、満足な回答を得られなかった。手続きとして問題ないと言うが、国民が納得できない問題もある。バーミンガムでの(邸宅を借り切っての)接待も、あれだけお金をかけるようなものではないと思う」 ―エージェント問題は。
 「六人ともに質問し、全員が知っていた。当初は三千万円だったが、成功したので千五百万円を払い、結果的に四千五百万円が支払われた。決定すれば、お金を払うということになっていたそうだ」
 ―日本ライフル射撃協会のアフリカでの招致活動は。
 「話は聞いていたが、招致委員会とは直接関係ないとのことだった。だがJOC内部の問題として、プロジェクトチームでライフル射撃協会とも接点を持って内容をチェックしていく」
 ―今後の予定は。
 「IOCへの報告と、国内で納得できるかとは別問題と考えている。報告書は十五日に出すが、その後も調査を続けていくつもりだ」
(了)  990207


帳簿焼却で「責任」認める 招致委の゛ミスター長野″


 長野五輪招致委員会の吉田総一郎事務総長代行(当時)は七日、招致委の帳簿焼却について「グローバル(国際的)なスタンダード(基準)として道義的、倫理的な責任を問われても仕方がない部分がある」と述べ、招致委メンバーとしては初めて公式に道義的な責任を認めた。
 吉田氏は五輪招致の際、海外活動の中心的な役割を担い、゛ミスター長野″と呼ばれていた。
 吉田氏はしかし、「一部に必要以上の対応があった」と日本オリンピック委員会(JOC)側から指摘されていることに対し「われわれはカネで国際オリンピック委員会(IOC)委員の心をつかんだのではなく、心を通わせることで招致に成功したのだ」と強調した。
(了)  990207


過度な「接待なし」と県 招致疑惑で調査結果発表


 長野冬季五輪の招致に絡む疑惑で、長野県と長野市は九日、招致報告書を基に当時の招致委員会幹部ら六人に対し実施した独自の聞き取り調査の結果を発表した。吉村午良知事は会見で「過度な接待はなかった」と不正行為がなかったことを強調した。
 吉村知事によると、聞き取り調査は今月初旬、元招致委員会幹部ら六人に対し複数回実施し六日、日本オリンピック委員会(JOC)側に提出した。JOCも同じ六人に対し、六、七の両日、長野市で事情聴取している。
 調査結果は、IOC委員らが長野を訪れた状況については(1)接待は常識の範囲内(2)複数回訪問した委員は五人(3)多人数で訪問した委員は四人(4)委員の親族だけが訪問したケースが四件―とした。
 このうち親族だけが訪問したケース四件と多人数で訪問した委員のうち三人は、日本までの渡航費は自費で国内移動と長野での経費だけを招致委員会が支払ったが、残る一人については日本までの渡航費も負担した、と説明した。吉村知事は「(委員本人が)病気で人が多くつくなどやむを得ないケースもあった」としたが、IOC委員らの名前は明らかにしなかった。
 また会計帳簿の焼却については「招致委員会が解散した際、厳正な監査を受けた上で、招致委事務次長だった山口純一氏の指示で破棄した」と従来の説明を繰り返し「今になって疑われるのだから(会計帳簿を)残しておけばよかったと思う」と述べた。
 スイスの広告代理店との契約は、三十万スイスフランが当初の報酬で、長野が開催都市に決定した場合に追加として十五万スイスフランを支払う内容だったと説明。「招致に失敗したら十五万スイスフランは払わなかった」と事実上成功報酬だったことを認めた。
 長野市の塚田佐・市長も同時刻に市役所で会見し「当時の状況で一部行き過ぎというか、多少の勇み足はあったかもしれないが、許容範囲だった」と話した。
(了)  990209


複数回訪問などした委員


 長野県と長野市が九日発表した長野五輪招致疑惑に関する調査結果で指摘した長野を複数回訪問するなどした国際オリンピック委員会(IOC)委員らは、招致報告書に照らし合わせると次の通り。

 【複数回訪問】アントン・ヘーシンク委員(オランダ)、エデュアルド・ヘイ元委員(メキシコ)、マーク・ホドラー理事(スイス)、金雲竜理事(韓国)、フェルナンド・フェレイラ・リマ・ベロ委員(ポルトガル)
 【多人数での訪問】ジョアン・アベランジェ委員(ブラジル)、シルビオ・デ・マガラエス・パディーリャ元委員(ブラジル)、モハメド・ベンジェルン元委員(モロッコ)、キム・ユスン元委員(朝鮮民主主義人民共和国)
 【親族だけの訪問】モハメド・ゼルギニ委員(アルジェリア)、ペドロ・ラミレス・バスケス元委員(メキシコ)、アグスティン・アローヨ委員(エクアドル)、ロバート・ヘルミック元理事(米国)
(了)  990209


元会長ら2人の独断 ソルトレーク五輪疑惑で調査結果


 【ソルトレークシティー(米ユタ州)9日共同】二○○二年の米ソルトレークシティー冬季五輪招致をめぐる買収疑惑を独自に調査していた同五輪組織委員会(SLOC)の倫理調査委員会は九日、同市内のホテルで開かれた組織委の評議委員会で調査結果を公表、今回の買収疑惑についてSLOCのトム・ウェルチ元会長とデーブ・ジョンソン前副会長の二人が独断で行ったことで、他の招致メンバーらは事実を知らされていなかった、と結論付けた。
 報告資料は計約三百ページ。この中で追放処分が決まったコンゴ共和国のジャンクロード・ガンガ国際オリンピック委員会(IOC)委員に総額二十五万ドルの金銭を提供するなど、計十五人のIOC委員やその子弟が、ウェルチ氏側から、奨学金や医療費名目などで資金提供を受けた経緯などが詳細に書かれている。
 十五人の中には、既に追放処分が決まった六人全員が含まれているほか、辞任した三人の名前も挙がっている。また一九九五年にハンガリーのブダペストで開かれたIOC総会に出席したIOC委員の家族の旅費を負担したとして、新たに数人の委員の名前が明らかにされた。 同倫理調査委は、関係者の中には証言を拒否した者もおり、調査は完全とはいえないが、刑事事件に発展するような事実はなかったと報告。IOC委員に対する接待疑惑については「そうした証拠は見つからなかった」と否定した。
 今回の調査結果に基づき、同倫理調査委は、IOCに対して招致側とIOCメンバーとの間で癒着が生じないよう、きちんとしたルールを作ることや、招致側がIOCメンバーのために使った費用の全額をIOC側に提出させることなども求めている。
 記者会見した評議委のロバート・ガーフ委員長は「倫理調査委員会の調査は不十分かもしれないが、できるだけのことはやった。今後は五輪の準備に全力を尽くしたい」と語った。
(了)  990210


疑惑委員と利益供与内容 ソルトレーク五輪調査報告


 【ソルトレークシティー10日共同】ソルトレークシティー冬季五輪組織委員会(SLOC)の倫理調査委員会が九日公表した報告書本文で、買収疑惑を指摘された国際オリンピック委員会(IOC)委員は、観光費用を負担させた委員など三人を含めると十八人に上った。疑惑委員とSLOCからの利益・便宜供与の内容は以下の通り。

▽アグスティン・アローヨ氏(エクアドル)娘の滞在費負担
▽ジャンクロード・ガンガ氏(コンゴ共和国)本人口座に送金、家族の旅費と医療費負担、土地購入のあっせん▽ゼイン・ガディル氏(スーダン)息子・娘に送金、スーダンの選手に金銭支援
▽セルヒオ・サンタンデル・ファンティニ氏(チリ)政治献金
▽ラミヌ・ケイタ氏(マリ)息子に送金=以上はIOCが追放処分
▽アントン・ヘーシンク氏(オランダ)基金に送金=以上はIOCが警告処分

▽ピロヨ・ハグマン氏(フィンランド)前夫の顧問契約をあっせん
▽デービッド・シバンゼ氏(スワジランド)息子の学費生計費負担
▽バシル・アタラブルシ氏(リビア)息子の生計費負担
▽チャールズ・ヌデリツ・ムコラ氏(ケニア)本人口座に送金=以上は辞任

▽金雲竜氏(韓国)息子の就職あっせんと人件費負担、娘のピアノリサイタルの手配・チケット購入、ロシア女性の学費負担=IOCが調査継続中

▽オースティン・シーリー(バルバドス)エージェントを通し送金
▽シャグダリャフ・マグバン氏(モンゴル)息子の学費負担と銀行での研修
▽ルネ・エソンバ氏(カメルーン、故人)本人口座に送金、パリ観光、娘の学費生計費負担
▽セイウリ・ポール・ウォールワーク氏(サモア)妻に送金
▽モハメド・ゼルギニ氏(アルジェリア)孫に送金
▽フィリップ・コールズ(オーストラリア)観光費用負担
▽ウィリ・カルトシュミット(グアテマラ)観光費用負担
(了)  990210


招致委基金の使い方不適当 金理事の息子への給与


 【ソルトレークシティー(米ユタ州)9日共同】ソルトレークシティー五輪組織委員会の倫理調査委員会は九日、国際オリンピック委員会(IOC)の金雲竜理事(韓国)の息子、金ジョンフン氏が当地に本社を置く衛星放送会社に雇用された形をとりつつ実は招致関係者から給与を肩代わりされていた疑惑について、招致委員会の基金をその給与に充てていたことと、それらの当該者の関係を秘密にしていたことは適当ではなかった、と結論づけた。
 ジョンフン氏は米NBCテレビの職を失った後、この衛星放送会社のマーケティング部門の部長に就任。同社は給与と同額の請求書を招致委幹部に送りつけて、完全な埋め合わせが行われていたと同社の元社長が証言していた。
 一月のIOC調査部会の調べでは、金理事についての疑惑は完全には究明されていないとして、処分するかどうかの検討を先送りしている。
(了)  990210


疑惑調査結果は3月公表 シドニー開催契約書も公開


 【シドニー10日共同】シドニー五輪組織委員会は十日、臨時理事会を開き、シドニー五輪招致時の疑惑を解明するための独立調査機関による招致関係書類の調査開始を承認した。調査結果は三月十一日の臨時理事会に報告され、直ちに公表することも決めた。また、これまで秘密にされていた五輪開催都市契約書も公開された。
 元サウスオーストラリア州の会計監査官を責任者として実施される疑惑解明調査では、保管されている三千項目を超える招致関係書類を調べる。国際オリンピック委員会(IOC)の招致ガイドラインに照らして、招致活動の行き過ぎや、IOC委員の不適切な行動をチェックする。汚職などの違法行為が発覚すれば、司法当局に捜査をゆだねる。
 開催都市契約書は、一九九三年九月のシドニー五輪開催決定時にIOC、豪州オリンピック委員会(AOC)、シドニー市の三者が調印した。開催都市が五輪までに準備すべき事項が細かく定められているほか、マーケティング収入で黒字となった場合は、その一○%をIOCに納めるなど金銭的な約束事が盛り込まれている。
 シドニー五輪は招致段階も開催決定後も「秘密が多過ぎる」との批判が高まったため、IOCやニューサウスウェールズ州政府などの承認を得た上で契約書を、開催総合計画書など関係四書類とともに今回公開した。
 組織委のナイト会長は「もし契約書にサインしなければ、開催権はシドニー以外の都市にいってしまう。交渉した結果の契約ではない」と述べ、IOCから押しつけられた契約内容であることを示唆した。
(了)  990210


運転手付きの車を無償提供 「厚遇」求める開催契約書


 【シドニー10日共同】シドニー五輪組織委員会が十日に公開した五輪開催契約書で、国際オリンピック委員会(IOC)側が組織委に対し「(IOC委員に)運転手付き乗用車を無償提供する」「スポンサーやテレビ局のゲスト用に五つ星のホテルを約四千室用意する」―といった「厚遇」を求めていることがあらためて明らかになった。
 契約書では選手村、メディア、マーケティングなどのガイドラインを付則として設け、大会に関する諸権利を定めた条項と大会運営をスムーズに行うための指針を明文化した内容に大別されている。 付則を含めた開催契約書の中で示されたこのほかの主な条項は次の通り。

 一、開催契約書の締結(一九九三年九月)の十日以内に開催都市は百万/ドル/の供託金をIOCに支払う。テレビ放映権交渉などの終了後、供託金は五百万/ドル/まで増額される
 一、大会で出た剰余金の一○%はIOCに納める
 一、五輪マークなどを使用したマーケティング収入の五%をロイヤリティーとしてIOCに納める 一、開催国が発行する五輪記念貨幣の価格の三%はIOCに納める
 一、テレビ放映権料の六○%は組織委、四○%はIOCの取り分とする
 一、五輪会期中、IOC委員は同一ホテルに宿泊する。IOC会長と事務総長には居間付き寝室(スイートルーム)を無償で提供する
(了)  990210


五輪広告交渉を打ち切り 公式スポンサーがNBCと


 【ニューヨーク9日AP=共同】五輪公式スポンサーの米生命保険会社ジョン・ハンコックのデービッド・ダレサンドロ社長は九日、五輪招致疑惑をめぐる国際オリンピック委員会(IOC)の対応に抗議し、米国内での五輪独占放映権を持つNBCとの二千万ドル(約二十三億円)相当の五輪広告交渉を打ち切ったことを明らかにした。
 NBCは二○○八年まで五輪五大会の米国内放映権を総額三十五億七千万ドル(約四千百十億円)で獲得しているが、今回の交渉打ち切りは、NBCにプレッシャーをかけることでIOCの変革を促す意味合いがある。
 同社長は、疑惑に対するサマランチ会長らIOC幹部の対応を激しく批判。五輪マークを使用できるIOCとのスポンサー契約が二○○○年シドニー五輪まで有効であるにもかかわらず、同社の看板や広告から五輪マークを取り外す処置を取った。
(了)  990210


機関決定時期など記載なし 帳簿処分で経緯を回答


 日本オリンピック委員会(JOC)から会計帳簿を処分した経緯の説明を求められていた長野県と長野市は十日夜、「会計帳簿整理の経過」と題した文書をまとめ、JOC側にファクスで送付した。しかし文書には、処分を機関決定した時期や処分方法など肝心な記載が一切なく、新聞報道や招致報告書などを基に招致委の変遷などをまとめただけのずさんな内容だった。
 JOC側は六、七日の事情聴取後の会見で「帳簿処分については、手続きとして問題ないと言うが、国民が納得できない問題もある」と、長野県、長野市に資料提出を求めていただけに波紋を呼びそうだ。
 文書は、招致委の発足から解散、帳簿廃棄に絡む市民団体による告発についての裁判所決定までの時間的経過を記載しただけで、帳簿処分については、一部マスコミによる「事務局幹部、招致委関係の書類の廃棄方針を示唆」との当時の報道内容を一行触れただけ。
 招致委を引き継いで発足した長野冬季五輪組織委員会事務所が別の建物に移転する引っ越し作業を一九九二年三月三十、三十一日に実施したと記載しており、文書に記述はないが、長野県オリンピック室は「この二日間に倉庫の書類のうち必要なもの持ち出した後、残りを一階のゴミ置き場に移した」と説明する。
 同オリンピック室によると、文書作成の際、JOCから事情聴取を受けた招致関係者六人からあらためて事情を聴くことはせず、処分の責任者とされる招致委事務次長だった山口純一氏が命じた時期や最終的に焼却された時期などについては不明のまま。
 同オリンピック室は「JOCの依頼通りにまとめた。あくまでも先日の事情聴取の補足にすぎない」と説明している。
(了)  990210


吉村知事が五輪疑惑で陳謝 「心配掛けた」と県議会で


 長野県の吉村午良知事は十二日開かれた定例県議会の冒頭、長野冬季五輪招致に絡む疑惑に触れ「県民の皆さまに多大なご心配をお掛けして深くおわび申し上げる」と述べた。吉村知事が公式の場で疑惑について陳謝したのは初めて。
 日本オリンピック委員会(JOC)は六、七日に当時の招致委員会幹部計六人から事情聴取を行った。
 同知事はこの件に関し「国際オリンピック委員会(IOC)委員による不適切な行為に関連しさまざまな報道がされたが、JOCの調査には実際の招致活動をありのままに述べた」と説明した。
(了)  990212


活動費は自己財源と説明 ライフル協会会長が会見


 長野冬季五輪開催決定直前の一九九一年五月からアフリカへの集中的なロビー活動を展開した日本ライフル射撃協会の菊地陞会長(当時副会長)が十二日記者会見し、一千万円の活動費の捻出(ねんしゅつ)について、この年に計上していた一億五万円の(協会の)自己財源から充てたものだと説明した。
 菊地会長が韓国人の実業家と二人で進めたアフリカでの活動は、長野側が当時の安斎実同協会会長(故人)に依頼したのがきっかけとなっており、資金の出所については活動の性格から長野の負担だったのではないかとの疑惑が出ている。菊地会長はこの日あらためて「ライフル協会としてのボランティア協力活動だった」と強調した。
 菊地会長は当初、活動費を借り入れで賄ったと説明していたが、その後詳しく調べた結果、自己財源からの調達を確認できたとしている。
 同会長はまた、開催決定約二カ月後に長野県の吉村午良知事から安斎会長に届いた感謝状を披露し、吉村知事自身が書面の中でライフル協会の自費活動だったことを認めていると強調した。
(了)  990212


リマ・ベロ委員ら9人抵触 JOCの長野招致調査


 長野冬季五輪招致をめぐる国際オリンピック委員会(IOC)委員の不正疑惑を調査する日本オリンピック委員会(JOC)のIOC問題プロジェクト(座長・八木祐四郎専務理事)は十二日、東京都渋谷区の岸記念体育会館でIOCの質問書への回答作成のための会議を開き、同五輪の招致段階に委員だった九人が立候補都市訪問に関する規定に抵触する行為があった、と発表した。
 同プロジェクトは九委員の名前を公表しなかったが、フェルナンド・フェレイラ・リマ・ベロ委員(ポルトガル)、先に追放処分勧告の対象になったアグスティン・アローヨ委員(エクアドル)らが該当することが明らかになった。
 一方、IOCの質問項目にある委員からの金品の要求、同五輪招致委員会からの奨学金や医療サービス提供などは、いずれもその事実を確認できなかったと説明した。
 この日は先日行った招致委関係者への事情聴取などを基に討議し、規定に抵触する(1)複数回の訪問が一委員(2)多人数での訪問が四委員(3)家族、友人だけでの訪問が四委員―あったことを確認した。
 長野側が先に発表した独自調査の結果で指摘された複数回訪問などの該当委員は計十三人だったが、JOCは国際競技連盟(IF)やIOCの委員会活動による違反性のない訪問事例などを排除した。この一方で、既に死亡している委員などを含めた。
 同プロジェクトはまた、招致活動そのものに対して、依然国民が納得する説明がなされていないと指摘。帳簿類の焼却問題には「遺憾の意」を示し、長野側への聞き取り調査を続ける考えを示した。
 日本ライフル射撃協会が「自主的な協力」として長野開催決定の直前にアフリカで展開した招致活動は、IOCの質問事項に含まれていないためJOCは別件扱いとする意向を明らかにした。JOCは同協会に対して現在、関連資料の提出を求めている。

 八木祐四郎IOC問題プロジェクト座長の話 (IOCのガイドラインに)合計九人の委員に抵触する行為が確認できた。あとの処分はIOCの裁量。今後も範囲を広げた調査で新たな事実が分かったらIOCに報告する。国民にも納得してもらえるようにしたい。長野について反省すべきはして、大阪も含め今後の参考になるような提言を出したい。
(了)  990212


サ会長の専用列車は90万円 内部資料で接待費など判明


 サマランチ会長の専用列車チャーター費は九十万円、委員への贈り物は最高で一万円―。国際オリンピック委員会(IOC)委員の接待や招致活動に使った費用などについて、長野県がこんな具体的な内部調査資料をまとめていたことが十二日、分かった。
 支出などを記した招致委員会(当時)の会計帳簿類は既に焼却処分されており、資料は今月六、七日に行われた五輪招致疑惑に関する日本オリンピック委員会(JOC)の事情聴取に先立って、元招致委員会幹部ら六人から数回にわたり聞き取り調査してまとめたという。
 それによると、IOC委員を招待した費用は一人当たり、欧州往復航空運賃が約百二十万円、宿泊代が一泊二食で二万―三万円、昼食代約一万円、ヘリコプターチャーター代が一時間約三十万円―など。
 委員への贈り物はネクタイ(五千円)、スカーフ(五千円)、腕時計(一万円)、双眼鏡(一万円)などで、最高額は一万円と記している。
 サマランチ会長が一九九一年五月、千葉県浦安市から長野県入りする際利用した専用列車のチャーター費は九十万円。同年、IOCバーミンガム総会で現地の邸宅を借り上げて行った接待は「IOC総会組織委のあっせん。邸宅は市が所有する一般的な貸し出し施設」としている。
 招致委幹部ら計六人が、延べ七十五の国・地域のIOC委員八十二人(一部重複)を訪問したことも記載。このうち招致委事務総長代行だった吉田総一郎氏が十六カ国の計二十委員、猪谷千春IOC理事が五カ国五委員、塚田佐・長野市長が五カ国五委員を訪問していた。
 一方、多人数で長野を訪問した当時の委員は、アベランジェ委員(ブラジル)、ベンジェルン元委員(モロッコ)、パディーリャ元委員(ブラジル)、キム・ユスン元委員(朝鮮民主主義人民共和国)の計四人。パディーリャ元委員は本人が車いすを使用、ベンジェルン元委員は夫人の体が不自由なため、いずれも付き添いが必要だった、としている。
 同県オリンピック室担当者は資料について「部内資料でJOCには提出していない」と話している。
(了)  990212


五輪疑惑の徹底解明を要請 極秘会議でスポンサー代表


 【ニューヨーク12日AP=共同】一連の五輪招致スキャンダルに絡み、国際オリンピック委員会(IOC)が「TOP」と呼ばれる最高ランクのスポンサー側代表と十一日にニューヨークで持った極秘会議で、スポンサー側からは疑惑の徹底解明とIOCの組織改革を求める声が相次いだことが十二日、分かった。
 関係者の証言によると、IOC側からはパウンド副会長、ペイン・マーケティング部長らが出席、スポンサー側はTOP参画十一企業のうち日本の松下電器を除く十社の代表者が会議に臨んだ。
 三時間半にわたった会議の席上、あるスポンサー側代表は「三月十七、十八日のIOC臨時総会で(IOC側が)何らかの解決が見いだせない場合、IOCは(三月)十九日にもわれわれの反乱にあうことになる」と強い口調で迫ったという。
 スポンサー側はまた、五輪マークが価値を失うことへの懸念を表明し(1)IOCの執行部体制の変革(2)疑惑に直接かかわった委員の追放などによる組織改革(3)招致都市決定方法の恒久的変更(4)会計報告などのより一層の公開による信用醸成―などを求めた。
 しかし、ペイン部長は「(会議では)そんなに激しいやりとりはなかった」と述べる一方、「IOCとしても事態を深刻に受け止めていると伝えた。シドニー五輪の広告予算の締め切りが迫っていてプレッシャーを感じている社もあったようだ」と語った。
(了)  990213


11NOCがIOCへ回答 招致疑惑に関する質問書


 【ローザンヌ(スイス)16日AP=共同】一連の五輪招致疑惑問題に関連し、国際オリンピック委員会(IOC)は十六日、IOCが一九九六年夏季五輪以降の立候補都市を持つ国内オリンピック委員会(NOC)に送った質問書に対する回答が十一のNOCから届いた、と発表した。
 IOCの質問書では招致規定に抵触するIOC委員の行為の有無などを尋ねており、回答の締め切りは十五日だった。九八年冬季五輪の開催地になった長野も対象となっており、日本オリンピック委員会(JOC)も招致当時にIOC委員だった九人に抵触する行為があったことなどを記し、回答している。
 IOC側は寄せられた回答書の内容を明らかにしていないが、これらはIOC内の調査部会(部会長・パウンド副会長)に回され、精査されることになるという。
 該当するNOCからいまだに回答が届いていないところもあるが、この一つである九六年夏季五輪開催地のアトランタに関し、米国オリンピック委員会(USOC)は「(アトランタ側からは)IOCの質問に関連する情報は何もないとの連絡があった」と述べている。
(了)  990217


調査結果内容を検討 IOC部会が電話会議


 【ロンドン19日共同】AP電などによると、ソルトレークシティー冬季五輪招致に絡む買収疑惑を調べている国際オリンピック委員会(IOC)の調査部会(パウンド部会長=IOC副会長)が、電話による会議を進めている。IOCのスポークスマンが十九日、明らかにした。
 調査部会は電話会議で、新たに十人のIOC委員の疑惑が浮上した同五輪組織委員会の倫理調査委員会の調査結果内容を検討している。同部会は今月末か三月初めにメンバーが集まって会議を開く予定。疑惑委員の最終的な処分は三月十七、十八日のIOC臨時総会で決まる。
(了)  990220


八木氏がJOC会長就任へ 3候補から一本化


 日本オリンピック委員会(JOC)の会長候補者推薦委員会は二十四日、役員定年制に伴い三月で任期の切れる古橋広之進会長(70)の後任人事を討議し、候補者を三人の中から八木祐四郎専務理事(69)に絞り込んだ。同日開かれた理事会もこれを了承し、八木氏の新会長就任が事実上決まった。三月二十四日の評議員会で推挙された後、四月から会長職に就く。
 八木氏は、古橋会長を委員長として五人で構成する推薦委に対し、医科学サポートを重視した強化や財源確保などを新会長の施策目標として訴えた。推薦委は、笹原正三副会長(69)、猪谷千春国際オリンピック委員会(IOC)理事(67)の候補二氏からも新会長像などを聞いた後、審議に入り、八木氏を次期会長候補として一本化した。
 古橋会長の後任人事をめぐっては、同会長が後継者の指名を固辞したため、年明けから水面下でこの三人の名前が取りざたされる状態が続いた。二月に入ってからは、八木氏と笹原氏をそれぞれ推す二つの勢力の工作で人事作業が混迷する可能性も出ていた。
 しかし、この問題を論議するJOCの役員懇談会が候補選定を推薦委に任せることを決めた二十二日の時点で、八木氏が次期会長となる線が打ち出された。
 一九九五年に専務理事に就任した八木氏は全日本スキー連盟(SAJ)でも副会長兼専務理事を務め、スポーツ界に隠然とした力を持つ堤義明JOC名誉会長(SAJ会長)との太いパイプを持っていた。また、昨年の長野冬季五輪では日本選手団長となり、チームを好成績に導いた。
(了)  990224


27、28日にIOC調査部会 ソルトレーク五輪疑惑で


 【ジュネーブ25日共同】国際オリンピック委員会(IOC)は二十五日、二○○二年ソルトレークシティー冬季五輪の招致問題に関連して同五輪組織委員会(SLOC)の倫理調査委員会が作成した報告書を受け、新たに買収疑惑を指摘されたIOC委員に関するIOC調査部会を二十七、二十八の両日にローザンヌのIOC本部で開くことを明らかにした。
 今月九日に公表されたSLOC倫理委の報告書では、既に追放などの処分を受けたIOC委員のほかに、新たに十人の委員の疑惑が指摘された。IOCは新たな疑惑委員に対して釈明を求める書簡を送ることにしていた。
(了)  990225


新疑惑の10委員を審議 きょうからIOC調査部会


 【ロンドン27日共同】ソルトレークシティー冬季五輪招致に絡む不正行為を調べている国際オリンピック委員会(IOC)の調査部会(部会長・パウンドIOC副会長)は二十七日夜(日本時間二十八日未明)からスイスのローザンヌで会合を持つ。
 二十八日までの二日間の日程で行われ、新たに疑惑が指摘された十人のIOC委員についての審議がポイントだ。 十人の疑惑委員は先にソルトレークシティー五輪組織委員会が公表した倫理調査委員会の調査結果の中に含まれた。名前の挙がった委員のうち、今回の調査部会にはコールズ委員(オーストラリア)らが赴いて釈明する予定になっている。また長野など他の五輪招致都市に対して実施した調査の結果についても討議されるという。
 調査部会は委員の処分案などの審議結果を三月十五、十六の両日にローザンヌで開かれる臨時理事会に報告する。IOCは既に一月下旬の臨時理事会で六委員の追放処分(その後一人辞任)、三委員の継続調査、一委員の注意処分を決め、同十七、十八の両日の臨時総会に勧告することになっている。
(了)  990227


長野五輪組織委が解散へ 50億円を五輪運動に寄付


 長野冬季五輪組織委員会は二十八日、東京都内のホテルで最後の組織委員会議を開き、三月末で組織委を解散し、九月に清算事業を完了することを決めた。また、大会運営費の合計は三億円上方修正されて千百四十二億円となり、長野県が設置した長野五輪記念基金や日本オリンピック委員会(JOC)に、五輪運動促進費として計五十億五千万円を寄付する。
 五輪運動促進費は当初四十五億円と見込まれていたが、為替差益と好調な海外マーケティングで増額された。一割の五億五百万円を得るJOCは独自の基金に組み込み、その運用益を選手強化費に充てる方針。九割の四十五億四千五百万円を得る長野五輪記念基金は冬季競技を中心とした各種大会運営費、選手育成・強化費に充当し、使い切る予定だ。
(了)  990228


3月中旬に長野調査結論 ライフルなどは追及せず


 長野冬季五輪招致での不正行為の有無を調査する日本オリンピック委員会(JOC)の国際オリンピック委員会(IOC)問題プロジェクトの八木祐四郎座長(JOC専務理事)は二十八日、今後の調査は同五輪招致委員会の海外ロビー活動で中心的役割を担った吉田総一郎・元事務総長代行を中心に進め、三月中旬に調査の結論を出す方針を明らかにした。
 同プロジェクトは今後の調査方針を三月五日の次回会議で正式に決める。当時の招致活動に関しては、帳簿類の焼却など不透明な部分が多く、吉田氏に対しては、招致活動の日程などの資料提出を求めている。同プロジェクトは、IOC委員についての調査内容を既にIOCに回答した。
 八木座長は、アフリカでロビー活動を行った日本ライフル射撃協会の菊地陞会長(当時副会長)やローザンヌの広告代理店を招致委に紹介した猪谷千春IOC理事については「(証拠が)口述しかなく、(具体的な)証拠を突きつけてどうこうすることはできない」と話し、これ以上両氏の問題について追及しない考えも示した。
 同座長は既に菊地会長、猪谷理事とそれぞれ面談しているが、プロジェクト全体としての聞き取り調査は実施していない。
(了)  990228