スターリン秘録



スターリン秘録
スターリン秘録

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冷徹の恐怖

 スターリンの粛清は広範囲に及び,チェチェン・イングーシ,ドイツ系など,民族ごと大規模な流刑に付すなどしてきた。それ自体が恐怖だが,スターリンの場合,誰がいつ粛清されるか分からないことが,一番怖い。
 1936年8月,ジノビエフ・カーメネフら16人の大規模公開裁判(第一次モスクワ裁判)が開かれ,ジノビエフとカーメネフは判決翌日(8月25日)銃殺刑に処された。処刑に立ち会ったパウケルは,スターリンの前で,ジノビエフが「お願いだ。同志。スターリンを呼んでくれ」と泣き叫ぶ様子を演じた。スターリンは大笑いをしたが,それは,スターリンがパウケル自身の運命(その後,銃殺)を知っていたからだ,という。

 スターリンは,1941年8月,ソ連兵に捕虜になることを禁じ,その家族を逮捕する旨の最高総司令部指令270号を布告した。
 スターリンの長男ヤコフは,同年7月にドイツ軍の捕虜になっていたが,スターリンは同布告の適用をヤコフにも免ずることはなく,ヤコフの妻は逮捕・投獄,ヤコフの叔父夫婦などを銃殺刑に処した。
 1945年,ジューコフからヤコフの運命をたずねられたスターリンは,「息子は祖国を裏切るより,死を選ぼう」と言い,長い間食事に手をつけようとしなかった,という。

 赤いツァーリ・スターリンの冷酷さがよく分かる一冊。
 これがローマ時代の凶暴な皇帝の所業ではなく,20世紀に現実に起きた事実であることが恐ろしい。
GO, GO! スターリン

 この本を読んだ上で、スターリンを形容する言葉を羅列するならば、無慈悲、残虐、泥棒、裏切り者、嘘つき、人殺し、強盗、といったところか。

 スターリンはソ連の赤い皇帝だっただけではなく、後続の共産主義国家の「理想の国家元首」として君臨し続けた。そして毛沢東、金日成、ポルポトらは、彼を心から崇拝しただけではなく、同じように悪行の限りを尽くし、自国民さえ殺しまくった。

 殺した人数の多さから、20世紀の三大極悪人を挙げるとすれば、順不同でスターリン、毛沢東、ヒトラーで決まり。しかもスターリンと毛沢東はヒトラーより長生きしている分、殺人スコアははるかにアップした。これにもう一人、人数は先輩たちに及ばないものの、徹底的に殺人を繰り返したスーパースターに、ポルポトを忘れてはいけない。 四人のうち三人が共産主義者。嗚呼、共産主義よ永遠なれ!!
スターリンを知る上で、欠かすことのできない一冊。

 スターリンの人間像や、彼の行った恐怖政治。そういったものを知りたいのであれば、本書はかなり参考になるであろう。自分の息子を見殺しにし、身内まで粛清の対象とした彼の冷酷さは、同時代の宿敵アドルフ・ヒトラーに勝るとも劣らないものだ。
 
 彼のスターリニズムはその後毛沢東に継承され、文化大革命やポルポトの自国民大虐殺を生み、今現在に至っても北朝鮮という異常国家の中で根強く生き残っている。

 一番ショックだったのは、この指導者をいまだに礼賛している人々が多いという事実。自分の墓の上にはごみの山が積もるが、歴史の風がそれらを吹き飛ばすだろうという、スターリンの不気味な予言が頭をよぎってしまう。さすがに極端なスターリン主義はもう起こらないだろうが、年を経るにつれ、スターリニズムに対する恐怖や警戒感も薄れてきたというところだろうか。

 極めて冷静で、かつ客観的に書かれている書だけあって、かなり勉強になりました。
冷静な批評

本書は産経新聞に連載されていた記事をまとめたもの。

「サンケイ」というといかにも反左翼のイメージだが、本書は「スターリニズム」という、ナチズムと並ぶ二十世紀の恐ろしい現象に対して極力醒めた、冷静な視線で分析しようとしている。また、元が新聞の連載記事であるため、あまり専門的過ぎる解説は行なっておらず、読みやすいものともなっている。ほどよい量と濃さの、良心的「概説書」といえる。



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