独断と偏見の大学院進学講座

 私は卒後1年経って、一般入試で他大学の大学院修士課程に入学しました。その経験から大学院入試について書いておきます。院進学を考える人の一助になれば幸いです。

 これを書いている時点で私は院には入学していません。(合格通知は貰っていますが…)そのため、受験以外については想像の部分もあります。その点については、また入学後、院生生活についても含め、情報を埋めていきたいと考えています。

 この文章はあくまで私の個人的な体験、考えを元に書かれたものです。また、院というのは大学入試と異なり、学校により試験などは大きく異なります。参考になさるときには、ご自分の自己責任でお願いします。万一、この情報を鵜呑みにすることにより、不利益をこうむっても責任は追えませんのであしらからず。

注:私が受けたのは2つの大学院の一般入試のみです。あまり手広く情報検索をしたわけではないので、進路相談には応じかねます。


Step1 なぜ受験したいのか?

 まずここをしっかりと考える必要があると思います。漠然とした気持ちで大学院に進学するのは危険です。今後、臨床栄養に関しては院卒を標準にしたいという考え方もあるようですが、まだまだ現場でそこまで革新的な考え方を持っているところは稀だと思います。研究したいとかそういうのを除いて、現場(施設)の栄養士として働きたいという場合、大学院は箔にはならないと考えておいた方が無難でしょう。年齢、学歴的なところからいくと、むしろ敬遠される場合もあることを考えておいた方が良いと思います(年齢の割には経験が無いし、お給料が余分にいりますから…)。

 もちろん、卒論やったくらいでは(特に、大学院生が研究室にあまりいない場合→うちもそうでした)研究って何なのかわからないし、大学院って何をやるとこころなのかもわからないと思います。想像するにも限界がありますけど、そこのところはなるべく大学院生や大学の先生に聞いてみたりして、大学院がどういうところなのかを聴いてみたりして、自分がなぜ院に進学したいのかを考え、院に卒業した後、どうしたいのか?などについても考えておく方が良いと思います。

 学部では受動的に授業を受けたり、実習したりが多いですが、大学院では研究が主になり、先生に手取り足取り教えてもらえるわけではなく、自主的というのがとても重要になってくるようです。授業もありますが、ゼミ授業などが多く、やはりやる気とか自主性とかが必要になります。学部時代と異なり、自分から積極的に学ぶ姿勢が必要です。何かを得ようとすればすごく得られる世界ですが、ぼ〜っとしていると何も得られない世界でもあると思います。

 そのため、『まだ就職したくないから』『職が見つからなかったから』などの安易な理由で進学すると後々、こんなはずじゃなかったとなりかねません。

 考えても結論が出ない部分もありますし、ある種の勢いも必要かもしれませんが、情報収集をじっくりした上で、自分にとってのメリット、デメリットをしっかり考えた上で選択するべきと思います。


Step2 受験の種類

 大きく分類して3種類に分かれるように思います。もしかしたら別にあるかもしれませんが…

<出身大学の大学院に推薦入試>
 これが一番ポピュラーかな。私立ならたいがいのところで、学内推薦があります。それぞれの大学のよって異なりますが、面接のみ、もしくは小論文、面接など無試験でいけるような場合が多いです。たいがい成績の基準があります。(うちの母校は83点以上だったと思う。)ただし、一度卒業してしまうと無理という場合も多いです。学部からストレートで母校の大学院に進むという場合は通常この制度を利用するのが楽でしょう。大学によっては、一度卒業した人に対しても、母校の学生なら推薦入学制度があるような大学もあるので、確かめると良いと思います。

<出身大学の大学院・出身以外の大学院に一般入試>
 母校に推薦入試制度がない(国公立とか!?)、他大学の院に行きたい、出身大学の推薦入試資格が得られなかったなどの場合は一般入試を受けることになります(ただし、社会人経験のある方は、社会人入試がある場合もあるので、問い合わせると良いでしょう)。
 試験科目は『専門』『英語』『面接』のところが多いと思います。専門は多くの科目から科目選択する場合や、分野を決められている場合があります。

 →受験体験談(M女、D女 一般入試)

<社会人入試>
 社会人入試を導入しているところもあります。こちらは小論文、面接のみの場合が多いです。社会人経験については勤め人○年以上と勤め先問わずカウントされるところもあれば、栄養士としての経験を求めてくるところもあります。年数は1年や3年など大学によってまちまちです。社会人である程度経験がある人はこちらの入試が楽でしょう。


Step3 大学院や研究室の選び方・院情報の集め方

 実験系、理論系がありますが、現状の栄養士教育は実証栄養学が中心であるため、実験を通して研究を行うという手法が中心です。実務に役立つような技能、知識、研究方法を身に付ける大学院もニーズに合わせ増えてきてはいますが、まだまだ少数です。私が把握している限りでは同志社女子大学が臨床栄養コースを大学院に設立しています。また、武庫川女子大学も来年より、臨床栄養コースを設立するそうです。臨床で役立つ知識を付けたいと考える人は一考すると良いでしょう。また、入試は大変ですが、他分野の院に進むのもひとつのやり方です。もちろん、大学を出ていればどの分野の大学院にも試験さえ受かれば進むことは可能です。

 また、社会人向けに夜間の大学院を設置しているところがあります。(同志社女子大、大阪教育大など)社会人を続けながら、大学院に進学したい人は考えてみるとよいと思います。ただし、仕事との兼ね合いは非常に大変みたいであり、職場の協力が得られなければ到底無理でしょう。

 大学院に入ると、どこかの研究室に入ってそこの教授(ないしは助教授、助手など)から研究指導を受けることになります。そのため、研究室の研究テーマと自分のやり方がずれていたり、教授が合わない人であれば、苦痛な2年になりかねません。入試要綱だけではあまり、きちんとした情報を得られない場合が多いですし、出来れば、研究室訪問を行い、お話を聞かせてもらったほうが良いと思います。これは、入試対策の上でも重要です。

●大学院情報の得方●

 自分の大学ならいざしらず、他大学の大学院情報って中々得られないものですよね。yahoo!などであたりをつけて大学を検索してみて問い合わせるのもいいですが、そのほかにもいろいろあります。参考になりそうなことを書いてみようと思います。

<学会に行く・学会誌を読む>
 大学の先生や大学院生は研究活動を行っているので、栄養系の学会で口頭発表・講演を行っています。また、学会誌に論文を投稿しています。そのため、学会に行ったり、学会誌を読んだりするとどこの大学のどこのゼミがどういうことをやってるという情報が得られます。私はやったことが無いですが、口頭発表に興味を持ったら演者に話しかけていろいろ聴いてみる方法があると思います(ただ、あまり何も知らないで、話しかけるとちょっと失礼かも…)。
 ともかく、大学院に進学を考えるなら、興味のある学会に行ったり、学会誌を読んだりしておく方が良いです。研究というのがおぼろげながら、わかり、これからどういう世界に身を投じるのか少しは見えるように思います。

<ネットワークを利用する(口コミ)>
 栄養士や医療系職種にネットワークがある場合は、自分がどういうことをやりたくて院に進学するのかとうことを話してみると良いかもしれません。どこの大学のどの先生がどういうことをやってるかという情報や、公には明らかにされない裏情報(大学院や先生の雰囲気や能力などから、まだ表に出ていない新しい大学院設立の情報など)などが得られたりすることがあります。
 また、お勧めの大学院を教えてくれたり、先生に顔つなぎしてくれたりします。私はこの方法で、入学する大学院の情報を得、受験し、入学することとなりました。院の存在を教えてくれ、研究室の先生を紹介してくれたTさんがいなければ、これから入学する院とは別のところに入っていたと思います。意外とあなどれないです。
 大学院のために限らず、ネットワークは持ってれば持ってるほど情報は得られます。日頃からアンテナをはり、勉強会や研究会、学会などにアクティブに出かけていく姿勢が大事でしょう。

<学部の授業を聴講する>
 研究室訪問の後でもいいとは思いますが、学部の授業を聴講したり、大学主催の勉強会や研修などに参加してみると学校の雰囲気がつかむことが出来ます。私は学部の授業は聴講しなかったものの、研究室訪問に行ったときにそこの先生にその大学院の研修を教えてもらい、通っていました。私の場合、研修は受験対策というより、興味があるから通ってたという感じだったのですが、先生方や院の雰囲気もつかめたし、良かったと思っています。ふたを開けてみれば、研修にいらした先生(これからお世話になる先生とは違います)が面接官だったため、あまり緊張することなく受験できたというメリットもありました。私についてもそれなりに知ってもらった後で受験できたのでよかったです。まぁ、面接官がどうのこうのというのを期待するのはちょっとあれかなとは思うのですが…。

●研究室訪問の方法●

 今、大学に通っててそのまま院に進学したいという場合は話が早い。自分のゼミの教授に相談するなり、興味のある研究室の教授の元に行ってみて話を聴くなりすればいろんなアドバイスが得られると思います。

 問題は社会人から大学院に進学する場合、そして他大学の院への進学を考える場合だと思います。上記の方法で、大学院の情報を得て、進学を希望する大学院をいくつか絞ったら、今度はその研究室を訪問するとよいと思います。もちろん、研究室訪問しなくとも入学は出来ますが、大学と違い、研究室に所属し、先生から指導を受ける形になるので、研究したいテーマが全然違ったり、先生や研究室とソリが合わないと、辛い2年になってしまう可能性があります。

 まず、電話や手紙で研究室訪問したい旨をアプローチします。もし研究室名しかわからないのであれば、大学から回してもらえばいいと思います。いきなりの訪問は非常識なので、まず、アポをとります。そこで、簡単に自己紹介して、大学院に興味がある旨を話し『一度、研究室に伺い、お話をお聞きしたいのですが…』と言えば、いいと思います。

 伺ったときは、どういう形の研究するのか?というのをきっちり聴いておく必要があると思います。これは入学後の2年を決めることなので重要です。また、面接は希望する研究室の先生がするとは限らないので、入学後の研究についての話になったとき、これがあやふやだと焦ることになりかねません。実は私、この部分がもうひとつ、踏み込めておらず、入試の面接のときにちょっと焦りました。

 でも伺ってみて、一番大事なのはその先生の研究室で2年やっていけるかな?ということを考えることかな?って思いました。尊敬できるか?話をしていてどうか?とか…。


Step4 入試方法・受験勉強方法

<英語>

はっきしゆって、勉強スタート当時の状況は壊滅的(今もあんましだけど…)。たいがいの学校は長文和訳みたいです。いろいろ方法はあるでしょうけど、私は、英語の教科書(?→友達にコピーさせてもらった、生化学の英語のテキスト)を辞書引きしながら読み、まとめ、1チャプターが終わるごとに持ち主の優秀な友達に見てもらっていました。結局3章分、80Pほど読みました。日本語で書いてあっても理解できないであろう、難解さにめちゃめちゃ苦労しましたがすっごい勉強になりました。友達には足向けて寝られません(笑)誰か見ていただける人がいるのであれば、お勧めの方法です。専門英語っていうのは、構文や文の構成はそれほど難しいものが多いと思います。(理系の英語って文法的には難しくない)独特の語句、独特の書き方がなされたりするので、高校の教科書などよりは専門関係の英語をやるのがお勧めです。英文を手に入れる手段が無いのなら、アメリカyahoo!あたりで栄養士のやってるHPなどを検索し、読んでみてもいいと思います。

<専門>

 専門科目の論述は大学によって大きく特色が異なります。まず、過去問が手に入るなら手に入れましょう。(これは出来るだけ欲しいもの。なるべく過去まで遡って欲しいものです。)公開している大学院としていない大学院がありますので入試課に聴いてみると良いでしょう。あるなら過去問を中心に傾向を探り、それに基づいて勉強します。過去問については完全に書けるようにしておくことをお勧めします。語句を暗記するよりは、ちゃんと説明できるよう、理解を中心にやると良いと思います。受験科目関連分野のノートが手に入るなら手に入れておくと良いと思います(試験はその大学の先生が作るので…)。私は、そこの大学の子にノートと教科書を借りて勉強しました。試験にどういうのが出たのかを聴いておくこともお勧めです。

 もし、全く傾向がわからなくて困ったなら、受ける大学院の大学のシラバスを見てみることを勧めます。シラバスには授業計画が書いてあるのでその大学の先生がどのような授業をしたか(=試験を出すか)わかります。それに基づいて勉強するのもひとつのやり方です。シラバスは大学にも置いてありますが、インターネットで公開されている場合もあります。

【生化学の勉強】

 全体像を理解できているかがまず大前提だと思います。私は解糖系、TCA回路、電子伝達系を何も見なくても大体の図が書け、説明できるまで理解、暗記しました。どの栄養素も途中からこの系のどこかに入っていくので、まずここからやるのがおすすめです。また、三大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)の代謝と生合成をやりました。本によっては代謝と生合成と別々に書かれていたりしますが、個人的には、たんぱく質ならたんぱく質で生合成も代謝もひとつの流れとして一緒に覚えた方がいいと思います。この時、それぞれと解糖系、TCA回路がどう関わるのか(どこでどう入るのか)を把握し、全体として体の中で代謝、生合成がどのように繋がっていくのか?を意識してやっていくと良いと思います。
 私は、テキストとして栄養のものではなく、医学生用の『シンプル生化学』を使っていました。これは医学生向けの中でも比較的簡単な方のやつですが、栄養に比べるとちょっと難解ですが、値段も栄養のと変わらないし、すごく細かいところまで詳しく書かれています。これを読みながら、自分なりにテーマを決めて(『たんぱく質の代謝』など)ノートにまとめていきました。当然、全部は覚えられないので、細かい語句ははしょり、系のキーポイントとなりそうな化合物・酵素だけを覚えました。おおまかなところ(試験で必要とされそうな範囲)まで覚え、理解した後は、理解したところの説明を自分で書いてみました。そこでひっかかった語句を調べたり覚えなおして、すんなり出来るまでやりました。

<志望理由書>

 志望理由書なり、研究計画書なりを書かねばならないところがあります。これをどう書けばいいのかは私もあまりわかりません。自分がこれまでやってきたこと、そしてこれからやりたいことを整理したうえで、書くと良いと思います。学会発表などについてはあるなら書いておくと良いと思いますが、あまり強調するといやらしいという意見もあるので、文中にちょこっとはさむくらいでいいと思います。

 書き終わったら、自分を良く知る人(先生などがベター)に添削してもらうといいと思います。面接用に必ず写しを用意しておきます。相手はこれを見て、面接するので…

 例として私が出したものを載せておきます。ただ、これが良かったのかどうかはわかりません。

 →私が書いた志望理由書

<面接対策>

 私はやってません。自分の書いた志望理由書を見直すくらいでした。ともかく、正直に、そして自分の意見をはっきり言えばいいと思います。わからないことはわからないといった方が良いみたいです。卒論について聴かれることがあるので、何をやったか忘れた人は思い出しておくと良いと思います。なぜか私はここの評価が高かったらしい(笑)失敗したと落ち込んだので意外でした。


PS. お勧め本など

「大学院の歩き方」(理科系と文科系がある。その他、社会人向けや分野別に出ているようです)などを1冊読んでみることをお勧めします。大きめの書店に行けばあると思います。このあたりの本を1冊読めば、大分、様子がわかると思います。

FROM まゆ (written at 2002.3.27)