●尿路結石
尿路結石について取り上げて欲しいというリクエストを2人の方からいただきました。そんなわけで、いろいろ調べ、取り上げることにしました。リクエストのうち、1通を取り上げます。
私は、一昨年に尿道結石を患い大変痛くなり病院での衝撃波の手術で石を砕き以後約半年間、漢方薬を服用し最終的にレントゲンで石が無くなったことを確認して現在は特に痛みとか自覚症状が無い状態に至っております。しかし尿道結石を患う2ヶ月程前に健康診断では特に異常は見つかりませんでした。又、私の担当医にも原因は何かと尋ねても現在は未だ明確には解っていないと言われました。只、再び発症することが有りますと言われ不安に思っています。
<尿路結石とは>
腎臓・尿管・膀胱に出来た石を尿路結石といいます。命に別状はありませんが、痛い思いをすることが多く、再発もしやすいことから一度なった人にとっては治療が完了したとしても不安でしょうね。この尿路結石という病気、メールを下さった方のように、なる原因は不明であることが多い病気です。しかし、予防法についてはかなり解明されています。今回は、主に食事の観点からの予防法を書きたいと思います。
尿路結石には石の成分によって『カルシウム結石』『リン酸アンモニウム・マグネシウム結石』『尿酸結石』『シスチン結石』に分類できます。石の成分はこの中のひとつであることもありますし、混在していることもあります。この成分によって予防するべきポイントは異なってきますので、結石とわかったら石の成分を調べてもらうことが肝要です。
<尿路結石の予防>
さて、予防なんですが、まずどの石においての大原則は
『水分をたくさん飲むこと』
です。水分をたくさん飲んで、尿を薄くすることにより、結石の成分が腎臓や尿管、膀胱に溜まって結晶になり、石となることを防ぐことが出来ます。特に夏は汗をかくので水分をより多くとる必要があります。また、お腹いっぱい食べてすぐ寝るようなことは避けます。尿が濃縮して結石が出来やすくなってしまいます。結石は夜できやすいということを頭に置いておくとよいでしょう。
また、運動は代謝や排泄をスムーズにするほか、成分によってさらに石が出来ることを妨げる効果があります。体を動かさずにいると、出来た石が大きくなると思っておいた方がいいでしょう。
食っちゃ寝して、ごろごろするような生活は結石が出来やすい生活です。一度出来た人はそのような生活にならないように気をつけましょう。
<石の成分別予防法>
それでは石の成分別に予防法を書いていきます。
○カルシウム結石
7割〜8割がこの石であるといわれるくらい、最も頻度の高い結石で、薬で溶かせないといった特徴を持っています。 カルシウムが成分であるというと、カルシウムを控えたらいいのかな?と思う人も多いかもしれません。カルシウムを控えたらいいといっていた時期もあったようです。しかし、実はカルシウムはたくさん摂る方が尿路結石予防の点からいえば、望ましいのです。 この結石の再発予防には、尿中のシュウ酸を減少させることが一番重要です。尿中のシュウ酸を減らすためには、シュウ酸を多く含むもの(後述)を控えるとともに、カルシウムをたくさんとりま
す。カルシウムは腸管の中でシュウ酸と結合し、シュウ酸カルシウム(不溶性、吸収されない)となりシュウ酸の吸収を妨げるからです。
カルシウム過剰摂取も結石になりやすいといわれますが、食品から摂るくらいでは絶対に過剰摂取にはなりません。カルシウムの所要量は1日
600mg(成人)といわれていますが、国民栄養調査によると、殆どの世代でこの所要量を満たしてません。意識してとって初めて足りるというのが現状です。一応、過剰摂取の目安は2500mg(許容上限摂取量)とされていますが、よほどサプリメントを乱用しない限りはこの数値までいきません。そのため、尿路結石を予防するためには、かなり意識してカルシウムを摂るべきであるといえます。
また、脂肪を摂りすぎないことも重要です。脂肪を摂りすぎると、吸収されなかった脂肪が脂肪酸となり、腸内でカルシウムと結合し、シュウ酸と結合すべきカルシウムが減ってしまうからです。このため、吸収可能な遊離シュウ酸(自由に吸収されるシュウ酸)が増えてしまいます。
このほか、マグネシウムが豊富な野菜を食べることも結石の形成を抑制します。青魚も結石予防に有効といわれています。
この他、砂糖、塩分の摂りすぎは尿中のカルシウム濃度を上げ、結石を作る要因になります。ソフトドリンクや炭酸飲料など「え〜!」と驚くくらい糖分が高いものです。気をつけましょう。
【シュウ酸を多く含むもの】
緑茶(番茶は大丈夫)、コーヒー、紅茶、ココア、海藻類、豆類、ビール、ナッツ類、ほうれん草、トマト、セロリ、
たけのこなど
ただし、これらは摂ってはならないのではなくて、摂りすぎは良くないということです。これらのものを禁止する必要はありません。特に野菜は繊維やビタミンなどを豊富に含むことから考えると、摂らなさすぎは明らかによくありません。どうしても気になる場合は、上のような野菜・豆類を摂るときにたくさんの水でゆでこぼす(ゆでて、ゆで水を捨てる)ととるシュウ酸の量を抑えられます。
また、コーヒー、紅茶、ココアなどは牛乳を入れることにより、入っているシュウ酸と牛乳のカルシウムが結合し、シュウ酸カルシウムになって体に吸収されなくなるので、これらを飲むときは牛乳を入れることをお薦めします。
○リン酸アンモニウム・マグネシウム結石
この結石は細菌感染により形成されます。細菌がアンモニアを作り、結石が出来やすくなるのです。この結石の場合は尿路の細菌感染を治療します。
○尿酸結石
尿酸値を下げ、尿をアルカリ性にすることが大切です。尿酸結石は尿をアルカリ性にすることによって、溶かすことが出来るからです。そのために肉食(酸性食品)を控え、野菜や海藻(アルカリ性食品)を多く食べるようにします。また、過度のアルコール摂取を避けます。アルコールはワイン以外は酸性物質です。特にビールはプリン体という尿酸の前駆物質が多いので、あまり多く飲まないようにします。
良く知られている通り、プリン体を含むものは摂り過ぎないようにします。(禁止しているわけではなく摂りすぎはいけないということです。)プリン体はいわしやレバー、納豆、イカ、タコ、エビ、肉の内臓などに多く含まれています。 また、肥満は尿酸排泄を抑制する他、背景にある要因が尿酸値を高めるので、肥満である人は減量するようにしましょう。
詳しくは高尿酸血症の項を参考にしてください。
ちなみにここでいうアルカリ性食品、酸性食品というのはそのままの食品がアルカリ性か酸性かということで判断するのではなく、燃やしたときの灰がアルカリ性ということから判定します。
つまり、燃やしたときの灰がアルカリ性ならアルカリ性食品、酸性なら酸性食品というわけです。野菜は主にアルカリ性食品、肉は主に酸性食品です。摂る事を進めるようなことを書きましたが、これは食品についてであり、ちまたで販売されているアルカリ性健康食品の類を推奨しているわけではありません。詳しくはこの項の最後で説明します。
○シスチン結石
遺伝性の病気で腎臓からアミノ酸のシスチンが漏れ出て結石が作られます。シスチンはアルカリ性で溶けやすくなるので尿をアルカリ性にするようにします。アルカリ性にすることについては尿酸結石の説明を参照してください。
どうでしょうか?何かものすごくややこしく面倒くさいなあとため息をついた方もいらっしゃるでしょう。
でも、ちょっと考えると、これ、ただの健康的な食生活では?という気もしませんか?結石を経験した方は再発を防ぐためにも、ちょっとでも実践できることを摂り入れてみてください。 ただ、『控える』や『摂りすぎない』『積極的に摂る』という言葉を過大に解釈するのは危険です。あくまで大事なのはバランスですから。
<余談1〜酸性食品・アルカリ性食品>
ここから先は、腎臓とも尿路結石とも殆ど関係のないお話です。
関係がないんですが、この話を書かないと、私がアルカリ性食品関係の健康食品を推奨しているという誤解を与えてしまいかねないと思ったので(^-^;)書くことにしました。
直接関係無い人にとってもちょっとした雑学程度にはなるかな〜と思います。
酸性食品とアルカリ性食品は、実際の食品が酸性かアルカリ性かで決まるのではなくて、燃やしたときの灰が酸性かアルカリ性かというので決まります。
例えば、アルカリ性食品の代表例として挙げられる梅干はすっぱいですよね。あのすっぱいのはクエン酸です。当然、梅干にリトマス試験紙を当てると酸性と出ます。
しかし、梅干を燃やしきって灰にしてからそれを水に溶かしてリトマス試験紙を浸すとアルカリ性を示すのです。だから梅干はアルカリ性というわけ。食品と灰のpHが違うのは不思議に思われるかもしれませんが、実際のところそうなるわけです。灰が酸性かアルカリ性かというのは含まれているミネラルによります。野菜はアルカリ性、肉は酸性食品です。
アルカリ性食品、酸性食品の区分は100年ほど前から注目され始め、体の体液のバランスがこのように食品がどちらの性質を持つかによって左右されるのではないかと専門家も信じていた時代がありました。つまり、アルカリ性食品をとると、体液がアルカリ性に、酸性食品を取ると体液が酸性になるのではと思われていたのです。
しかし、これは間違いであることが証明されました。どっちをどれだけとろうが、体のpHは一定に保たれます。これは人間の体にはホメオスタシス(恒常性=体内環境を一定に保つ働き)を保つ働きがあるからです。
この働きがおかしくなってしまって体が酸性に傾いたり、アルカリ性に傾いたりするとさまざまな異常が出てしまいます。(前者をアシドーシス、後者をアルカローシスといいます。)そのような状態はいわば病的な状態です。
考えてみれば、食品によって簡単に体のpHが変わるとこれはおおごとですよね(笑)
健康食品でよく『体を健康に保つアルカリ食品』『体液を体に良いアルカリ性に保ちます』とかと大々的に宣伝されているものがあります。なんだか一見理にかなっててすごそうですが、食品によって体をアルカリ性に保つとかいう発想自体が上のように前時代的です。頑張ってアルカリ性食品をせっせと摂らなくたって人間の体は一定のpHに保たれるのですから。このような怪しげな健康食品のカモにならないようにしましょう。余談として取り上げたのはこれが言いたかったからです。
前時代的なのに関わらず、前回のメルマガでは酸性食品、アルカリ性食品がたくさん出てきたのか?それを解き明かします。
ホメオスタシスを保つために人間の体はどうしているのでしょうか?pHを保つ意味では大きく2つの方法をとっています。それは、呼吸と腎排泄です。呼吸では酸素を体の中に入れて、二酸化炭素を吐き出すという行為によってpHを調節します。(これを詳しく書けばH+イオンがどうのこうのという話になってややこしいので説明を省きます。)腎臓では尿から不必要なものを排泄することにより、
pHを保ちます。
尿のpHは酸性食品を多く摂っている人は酸性であることが多く、アルカリ性食品を多く摂っている人はアルカリ性であることが多いのです。この現象自体は異常でもなんでもありません。体の自然な働きです。どっちがいいとか悪
いとかじゃなくてそういう働きをしているということです。通常の場合、これはそう問題にはなりません。しかし、結石が出来ている人や出来やすい人というのは、この尿のpHにより結石の出来やすさに影響を受けるのです。そのため、尿をどちらかにするためにどちらかの食品をとった方がいいという話になるのです。わかりましたでしょうか?
前号のメルマガで『アルカリ性食品を多く摂る』というようなことを書いたのはそういう理屈です。しかし、この場合でも特別な健康食品を買って食べる必要は全く無くて、普通の食品の中でアルカリ性食品であるもの(野菜など)を摂ればそれでOKです。特別なものは必要ありません。
<余談2〜アルカリイオン水>
質問として次のようなものを頂きました。
次回「酸性」「アルカリ性」という話題だそうで、ふと思いついたのですが、「アルカリイオン水」というのはアルカリ性食品になるのですか?
アルカリイオン整水器の宣伝文句を見ると、万病に効くように思えますけど…。そう思ってしまうのは「業界のカモ」ですか?ちょっと気になったもので、教えていただけませんか?
というわけでインターネットでいろいろと販売しているHPを見て調べてみました。その上での私の見解を書きたいと思います。正直、私は怪しいと感じました。
理論等、詳しく書いてあったHPによると、アルカリイオン水は+と−の電極に電気を通して、
+電極側に O-(酸素イオン)
−電極側に H+(水素イオン)
を集めることにより、+電極側がアルカリ性、−電極側が酸性になり、それぞれの部分の水を取り出すことによってアルカリイオン水、酸性水が出来ると書いてありました。そして、アルカリイオン水は健康に良く、酸性水は美容に良いとのこと。その根拠として、アルカリイオン水は活性酸素をどうのこうのという話題、肌は弱酸性だから酸性水が良いというようなことが書いてありました。 まずここで間違いが1つ。水(H2O)を分解すると、H+とO-ではなくてH+とOH-に電離します。これは高校化学の常識です。しかも、水は電気を通しても、殆ど電離しません。食塩などを加えると電離しますが…。まあその辺、いろいろ機械の説明が書かれてもいましたが怪しいなあというのが個人的感想です。
また、たとえイオン化したとしても、各電極でH+はH2(水素)となり、OH-はH20(水)とO2(酸素)に別れて、空気中に出て行くのではないかと思います。
また、健康に良いといってもその根拠(Evidence)は書かれていないので、信憑性がありません。特徴として味が良くなる等の利点が書かれていましたが、それが健康に良いという理論に結びつくはずもありません。また、味が良くなる等の根拠もどこにあるのかなぞです。まあ、これは健康食品全般にいえることなんですけど、大した根拠が無いんですよね。病気がよくなったという体験談はその人の病気がただ自然治癒したり、病院の治療が効いただけかもしれないし、たくさんいる(と思われる)利用者の中で、改善されたごくごく劇的な部分だけを抽出したと考えられ、
医学的根拠にはなりません。ということで、正直、医学的な信憑性を考えると怪しいと言わざるを得ません。また、それだけいいものであれば、医学で当然利用されているはずだし、万病が治るものであれば、ノーベル賞級ではないかと思ってしまいます(笑)
少なくともこういう怪しげな水とか健康食品とかを利用するより、言われている食事療法をきちんと行って医療機関の治療をきちんと行う方が安く、そして確実に治療効果には結びつくのではないかと思います。
アルカリ食品かどうかという答えとは大きくずれた感じもしますがそれが私の感想です。そんなわけでこういうものを利用するより野菜など食品からとった方がいいのではと思います。