音楽をピュアにやるためにビジネスを知っておくべき    YOSHIKI (2002.6.日経エンタテイメント)
X JAPANのリーダーだったYOSHIKIは、今もアーティストとして、プロデューサーとして活動するが、一方で音楽ビジネスに精通したレコード会社の経営者でもある。
X時代からインディーズレーベルを自ら立ち上げ、レコード制作の原価計算から、梱包・流通に至るまで、自力で工夫して開拓してきた。
現在はロサンゼルスのレコーディングスタジオをはじめ、日米のレコード会社を経営する。
日本と米国、アーティストとレコード会社社長と多面的に音楽に携わっている経験から、アーティストの生かし方を聞いた。

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今、世界の5大メジャーレコード会社は、ユニヴァーサルミュージック、AOLタイム・ワーナー、EMI、BGM、ソニーです。
その中で昨年の利益が前年度を上回ったのはユニヴァーサルだけで、あとは4つともマイナス成長。
いずれも株を上場しているので、四半期決算に追われています。
レコード会社のCFO(最高財務責任者)がバランスシートだけ見たとします。アイドルのブリトニー・スピアーズは2000万枚も売れているのにレコーディング費用は少ない。
しかもアルバムリリースのサイクルが早く出来る。
片やロックバンドはレコーディングに時間と費用がかかるのに、利益をあげるのにアイドルの数倍の時間がかかる。
それならアイドルばかりやれば良いじゃないか、となるわけです。

ロックバンドはブレイクするまでに時間がかかると昔から言われています。最低でも3年は面倒を見る必要がある。
だからロックは今は敬遠されがち。レコード会社は契約する時に、すでに楽曲はあるのか、その曲はいつ出せるのか、レコーディングをいつから始めるのかとせかしてきます。
1〜2年は様子を見て、という発想はない。極端に言うと、1年で結果を出さないと、もう次のバンドに行きます。
2年くらい前、3%のアーティストが90%の利益をあげているという米国のデータがありました。あとの97%はほとんど利益になっていない。
当然レコード会社としては切りますよね。だからデビューイコール成功じゃない。これは日本にも言えることだと思います。
大きい会社だったら、例えば30組のアーティストがいるとするとプロモーションの前に優先順位をつけます。これとこれをやろうと。
あとはシングルを出して様子を見て、何か反応があったら力を入れるけど、なかったらアルバムに行く前に切ってしまおうというのは当然になってますね。
アーティスト側もサインする時にもっと慎重になるべきです。どこまでやってもらえるのかと。米国の場合どんな新人でも弁護士をつけて契約します。
日本では弁護士って裁判をイメージしますが、米国の場合だと契約のサポートをしてもらうという感覚です。
韓国に行った時に、「YOSHIKIさんはピュアに音楽をやっているのに、何でビジネスもやるんですか」と聞かれたんです。
それに対して「ピュアであるためにビジネスを知っておく必要がある」と答えました。
バンドにしても何年かして売れた時に、お金の問題でメンバーの気持ちがバラバラになったり、つまづくことが多いんです。
アーティストも生き残るためには、ビジネスにもっと強くなるべきだと思います。




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