Russian Roulett
「ロシアン・ルーレット」
空き地に捨てられた廃車の陰に隠れるブレナン、ジェシー、そして敵の追っ手から逃げるティナという女性ミュータント。彼女はロシア人に追われており能力も見られているかも知れないと怯える。少し離れたところにある廃車の後ろに男女二人組の「追っ手」が隠れて奇妙な銃型の機械を通してティナを狙っている。ブレナン達は乗って来た車のところまでティナを案内しようと歩き出したが、追っ手の女はブレナンもミュータントであることを見抜き喜ぶ。油断してジェシー達が背を向けたその時、二人は車の中から飛び出し妙な銃をブレナンに向けながら近付いてくる。ジェシーとティナは車に急ぎ、ブレナンは放電をして二人組を倒す。二人のうち男が倒れ、女はすぐに気が付いて確認の為に近付いて来たブレナンに向かって銃を作動させる。放電する間もなくブレナンは銃から発射された光線を浴び倒れ、苦しむ。女が倒れているユーリという倒れている男を起こしジリジリとブレナンに近付いていくが、ジェシーは車を回して来て能力を失ったブレナンを乗せると直ぐに走り去った。
サンクチュアリ内の実験室の診察台の上でブレナンをエマがスキャンしている。苦しむブレナンは光線銃のようなもので撃たれたと報告し、エマはその銃の光線が彼のDNAを破壊したとアダムが言っていたことを知らせた。アダムは自分に責任があると己を責めるジェシーを宥め、ブレナンの力を奪った光線銃は二人組の男女はロシア人らしいという報告を聞くと何かを思い付いたように「プシュカH5B7」の資料をコンピュータに呼び出させた。該当機械のホログラム設計図を見せながら1980年頃にロシアでKGBによって作られた秘密兵器でミュータントを探知しその能力を奪うための装置だと、ジェシーに説明した。またこの機械で奪った能力を回復させることも可能だが、決まった手順通りに作動させないと自爆することも判明している。そして銃を入手し能力を奪われたブレナンをその銃で力を戻してやらないと彼が死んでしまうと付け加えた。そこへティナを一つの隠れ家に送り届けたシャリマーから連絡が入る。そこの家族は皆言葉を交わさずともお互いの意志が疎通出来ている環境で、家族のあり方を不思議がるシャリマーだった。
ジェノマックス社にて。二人組の女の方であるソーニャがエックハートの部屋へ通される。エックハートはコンピュータから目を放さない。ソーニャはプシュカの設計図を差し出すがエックハートは断り、その設計図はロシアの恥であり彼女の父親の死期を早めたとのだと素っ気無く言う。ソーニャはプシュカの性能の良さを主張しようとするが報酬と引換のミュータントがいないことと、捕獲に問題が起きたことの報告にエックハートは呆れ、ソーニャを帰らせようとする。だが彼女は放電能力者つまりブレナンの力をプシュカで奪ったこと知らせ、エックハートの気を引かせることに成功し、興味があるなら連絡をよこすように言って立ち去る。
隠れ家の家族と食事を共にしたシャリマーはアダムの旧知である父親スティーブンから彼の能力について聞く。彼はテレキネシス、母親キャロラインは能力者ではなく息子のダニエルも力は無いと言った。
サンクチュアリの実験室で苦しみの為にのたうちまわるブレナンにエマは大空を自由に駆け巡る鷲のイメージを与え、安心させようとする。ブレナンを心配するエマにアダムは助かるかどうかは断言出来ないが、ジェシーがプシュカを探していると伝える。その時隠れ家の一つからジェノマックスに電話をかけていることがシステムによって探知された。それは隠れ家のダニエルからエックハートへの密告電話で彼は自分の父親とティナをジェノマックスに売ろうとしていた。盗聴内容を聞いたシャリマーは呆れ、アダムは頭を抱える。
エックハートはソーニャを呼び出し、ダニエルの密告のあったミュータントの隠れ家にサブダーマル・ガバナーとそれを装填した装置を持って行くように命令する。彼女はプシュカがあればサブダーマル・ガバナーは必要無いと言うが、ミュータント一人につき2万ドルの報酬と力を奪って生け捕りにしてくれば契約をすると約束する。だがエックハートはプシュカがミュータントの力を奪った後彼等の内蔵を侵して死に至らしめることを知っているため、如何に欠陥を直したプシュカと言えども期待はしないと言い放つ。
ミュータントXの盗聴している中でソーニャがダニエルに待ち合わせ場所の打ち合わせ電話をしている。アダムはプシュカでミュータントを捕らえるための武器調達の為にエックハートがロシア人を雇ったと推測し、ジェシーがダニエルに成り済ましてソーニャに接触しプシュカを入手したら作動を確認し力を戻す手順を探るように言う。ブレナンの命が危ないため事は急がねばならない。ダニエルが隠れ家まで連中を案内することに対して策を練り、ダニエルにはお仕置きを与えるとアダムは笑う。
待ち合わせ場所のミレニアム公園の南西で待つダニエルに向かって一台の黒い車が向かってくる。ダニエルの前で急停止すると即座にダニエルを連れ込み車は去る。ビジュアルクローク装着されたダニエルはジェノマックスに連れて来られ、そこでエックハートに装置を外される。エックハートは何故家族を密告するのか聞く。彼はミュータントはウィルスや病原菌と同じで繁殖していくので管理されるべきだと言う。ジェノマックスではミュータントは標本や実験体として使われる事実を聞いてダニエルは少し顔色を変えるが、相応しい扱いだと強がる。エックハートはダニエルの後ろ姿を見て席を外すが、実はこのエックハートの部屋はサンクチュアリのフォースフィールド内のホログラムであり、アダムがエックハートに化けていたものだった。
ブレナンは隔離装置とエマの力のお陰で今のところ容態は安定している。アダムはジェシーまで危険な目に会わせる訳にはいかないので、つねに通信リング(コムリング)で連絡を取り合い罪悪感から無茶な行動を取らないように注意を与える。
ソーニャ達の待つ場所にダニエルに成り済ましたジェシーが近付く。隠れ家の住所を渡せと迫るソーニャ達にジェシーは報酬と引換の取引をしようと持ちかける。ソーニャの相棒ユーリが銃で脅すがジェシーは動じずに父親と義理の妹(ティナ)とミュータントの地下世界の情報を盾に一万ドルを要求する。しかしさらなる脅しの為5千ドルに負けたところで一応交渉はせいりつる。ジェシーのコムリングを通して様子をアダム達は見ていたが、ユーリが盗聴装置がないか調べようとしたためジェシーは即座にコムリングを捨ててしまいそこで通信は途切れてしまった。
再びエックハートに化けたアダムはダニエルにソーニャの事について尋ねる。不審がるダニエルには彼女は部外の傭兵のようなものであり信用がおけないとごまかしながらダニエルの気持ちを確かめる。ダニエルは家族を顧みずミュータントを守ることしか頭にない父親が嫌いなためにミュータントそのものを憎んでいると言う。そこでアダムは正体を表し、周りの映像も消えてしまったことにダニエルは驚いていた。
ソーニャの隠れ家では捕らえられたジェシーとユーリ、部屋中に設置してある機器類をチェックしているソーニャがいた。父親の遺産であるプシュカを貶すユーリをソーニャは殴り欠陥を直すように命令した後、彼女ははプシュカが完成すれば金儲けをして将来アメリカ人のように遊び暮らすのが夢だと言う。ユーリは謝りジェシーに手伝わせて修理を始める。ジェシーはさり気なくプシュカの欠陥を聞き出そうとした。プシュカはミュータントの能力を奪う力が強過ぎて死なせてしまうことが欠陥なんだと説明するが、ジェシーの疑問に不審を抱いたユーリにジェシーは自分の目的も金なのだからいざと言う時にちゃんと使えないようでは困ると言って誤魔化す。
フォースフィールド内に軟禁されたダニエルの元にエマがやってくる。ダニエルは自分を捕らえて閉じ込めたことへの怒りをあらわにして食って掛かるが、エマは自分の家族を裏切ったことを諭しはじめる。だが、家族の事に触れられたくないダニエルをエマに怒鳴り付けた拍子に手を触れずに置いてあった食器を飛ばしてしまった。彼は自分が父親と同じテレキネシスであることを隠していたのだった。しかしダニエルは自分はミュータントではないと言い張る。
ソーニャの隠れ家にて。ジェシーは欠陥を直したプシュカの見ながらユーリにそれとなく奪った能力の戻し方を尋ねる。手順は「A-7-Z-41」をセットし引き金を引くことである。ジェシーはそれを記憶した。
エマとシャリマーはダニエルの気持ちを探ろうとした。エマも自身がミュータントとしての自覚を得るまでの葛藤を話した。結局は能力を隠していたことも、家族を裏切ろうとしたことも、ミュータントを憎もうとしたことも全ては父親が家庭を顧みない、自分に構ってくれない事が原因だった。そこへジェシーからサンクチュアリに電話がかかって来た。ジェシーは作戦の経過は順調でプシュカの操縦方法も分かったと報告をした。しかし電話の最中にユーリにとがめられてしまった。ジェシーは親が家に在宅かどうか友人に尋ねていたとかなんとか誤魔化した。だが安心したのも束の間、ユーリがプシュカのチェックをしているとジェシーがミュータントであることを探知されてしまった。ソーニャ達に自身がミュータントであることがばれてしまったのだ。
ユーリはテスト攻撃をしようと言うが、ジェシーは咄嗟に自分を撃てば後3人のミュータントを逃すことになると牽制する。尚もテストしようとプシュカを構えるユーリを止めソーニャは多人数のミュータントを捕獲することでもっと報酬を稼ごうと提案し、ジェシーにエックハートから預かったサブダーマル・ガバナーを装着する。その瞬間サンクチュアリのエマはジェシーが鎖に繋がれて自由を失ったイメージを受け取る。アダムは即座にジェシーにサブダーマル・ガバナーを取り付けられたことを見抜き、ジェシーの救出とプシュカの奪取の計画を実行すると言った。
力の自由を奪われたジェシーはソーニャ達をベネディクト家の隠れ家に連れて来た。だがそこで待っていたのは父親スティーブンに扮するアダム、母親役のシャリマー、そして妹を演じるエマが待機していたのだった。計画を察したジェシーは上手く合わせた。ソーニャはダニエルの「共犯者」だといって彼等を攻撃しようとかまえるが、一瞬早くシャリマーがジャンプをしてプシュカを持つユーリを倒す。そして銃を構えるソーニャにエマは彼女が縛られて身動きが取れないイメージを送ることによって意識を奪ってしまった。
守備よく二人からプシュカを奪ったアダムにジェシーはブレナンの力を元に戻す手順とソーニャ達の隠れ家の場所を教え、やり残した仕事を終えるため連中と隠れ家に戻ることを提案する。最後までジェシーに任せることにしたアダムは彼の首に付けられたサブダーマル・ガバナーを解除した。
意識を取り戻したソーニャにジェシーはプシュカを奪われたことを教えると、ソーニャはジェシーに銃を突き付け彼は自分達の獲物だと主張した。
サンクチュアリに戻ったアダム達は早速プシュカをセットし時間の残されていないブレナンに向けて祈るような気持ちで発射した。再びDNAが活性化されたことにより息を吹き返したブレナンを見て全員に笑顔が戻った。アダムは捕らえていたダニエルと話し、彼が十分に反省していることを理解して安心し、彼を許すことにした。隠れ家に戻ったダニエルに自分のしたことの謝罪について言葉ではなく態度で示すように助言した。だが、迎えた父親スティーブンはダニエルを叱ること無く抱き締めた。
ソーニャの隠れ家ではジェシーが椅子に縛られていた。プシュカが無くなった今ジェノマックスの笑い者になることは分かっていたが、再度の制作に1ヶ月はかかっても自分達が将来絶賛されることを確信しているソーニャとユーリ。二人が目を放した隙にサブダーマル・ガバナーから解放されたジェシーは体密度を薄めて手錠を外し、行動の準備に移ろうとした。だが何者かが侵入したことを知らせる警報装置が作動し、二人が警戒する隠れ家にダニエルが現れる。自分がダニエル・ベネディクトであることを教え、プシュカの設計図の入っているコンピュータをサイコキネシスの力で破壊してしまう。すかさず銃を構えるユーリを力で倒したがソーニャが銃でダニエルを撃とうとした時、ジェシーが体密度を濃くしてダニエルを銃弾から守った。そこへ現れたミュータントXのメンバーを見て驚くソーニャはユーリを伴って外へ脱出してしまう。彼らの後を追おうとしたジェシーの耳に外からサイレンの音が聞こえ、アダム達が移民帰化局を呼んだことをエマが教えた。ソーニャとユーリは不法入国者だったのだ。
無謀だが単独でしかも彼なりの償いを果たしたダニエルに家族の待つ家を帰るようにアダムは笑顔で言った。ジェシーはプシュカの改良型の設計図が隠れ家内のコンピュータにあることを知らせる。ブレナンを治したプシュカは故障してしまったのでデータをダウンロードするだけで故障をなおせるとジェシーとシャリマーは言うが、アダムはミュータントを捕獲する機器が敵の手に渡る危険を避けるために復活したブレナンに破壊することを頼む。ブレナンは皆が見守る中、取り戻した力をフルパワーで発揮し隠れ家内の装置を破壊してしまった。そしてミュータントXのメンバー達は一つの仕事をやり終えた安堵と自身を胸に隠れ家を去ってゆく。