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Time Squared

  「過去への策謀」



 交通量の多い路上で赤と黒の2台の車がカーチェイスをしている。アシュロックの駆る赤いカマロは必死に追跡をかわそうとしている。そしてそれを逃がすまいと追い続けるジェシーの黒いBMW。オールドストランドビルから出て懐に青い液体を忍ばせたところを目撃したジェシーはアダムの指示がなくても逃がしはしないと追う。いつもは取り巻きに囲まれているアシュロックだが死を逃れたい一心で最後の足掻きを続けていたのだ。アダムはサンクチュアリからブレナンとシャリマーにジェシーと共にアシュロックを追うように指示を出す。激しい追跡劇が展開しアシュロックは急ターンで向きを変え横の道に入っていく。ジェシーもまた後を追うが通行人にが邪魔になって取り逃がしってしまった。

 アシュロックにまかれたジェシーはすぐにブレナン達に連絡を取り追跡を頼む。アシュロックが消えたあたりにはエリソン神経科病院があった。病院の正面には赤いカマロが停められ男が玄関から入っていく。受付の女性を無言で光球で弾き飛ばすとそばのコンピュータ端末を操作してダイアナ・モラーと言う女性が6号室に入院していることを探しだした。すぐに病棟入口のドアの電子ロックを開け廊下を進んでゆく。そして目的のモノを見つけたように薄笑いを浮かべながら前方にある部屋の扉に向かって光球を放った。部屋でテレビを見ていた女性は驚いて振り向くがアシュロックは彼女をダイアナと呼び、生き延びるためにやってもらいたいことがあり言う通りにしないと殺すと言いながら近づく。
 病院でアシュロックの車を見つけたブレナンとシャリマーは急いで中へ入っていく。受付の女性が死んでいるのを見つけた彼らは慌てて電子ロックを開けて6号室へ向かった。

 アシュロックはダイアナに自分を「1978年10月13日」に送るように命令する。ダイアナは時空連続体がおかしくなるから過去を変えないように頼み力を発動させた。シャリマーとブレナンはジェシーに現在の居場所を教え、急いで6号室に向かう。6号室の中では空間が歪んでいた。シャリマー達の姿を見たアシュロックは光球で攻撃を加え隙を見て空間の渦に飛び込んでしまった。それを見たブレナンとシャリマーは目の前の出来事に驚きながらもすぐに二人とも自ら渦に飛び込んだ。アシュロックが病院ではない別の場所に出現しすぐに姿を眩ます。続いてシャリマー達も見知らぬ場所に出てしまった。
 ようやく到着したジェシーの目に飛び込んできたものは荒れた室内の様子だけだった。そして慌ててその場を逃げようとしたダイアナを捕まえると彼女はアシュロックを過去へ送ったらブレナン達も後を追って入ってしまい、このようなことになるとは思っていなかったのだと弁解する。しかしジェシーには何のことかすぐには理解できなかった。

 シャリマーとブレナンは何が起こったのか分からなかったが傍らに合った看板を見て愕然とする。そこには先程まで二人がいたエリソン神経科病院の建設予定が書かれており完成は1981年となっていた。つまり二人は病院が出来る前の時代にタイムスリップをしてしまったのだ。ブレナンは驚き慌てるシャリマーを宥め、彼女は精神と研ぎ澄ましてアシュロックの気配を関知するとすぐにまた追跡を始めた。

 ジェシーはダイアナを連れて病院を出る。彼女は本当は病気ではなく病院に隠れていたのだと言う。アダムに彼女に付いてのミュータントのデータを調べてもらい、ジェシーはダイアナを車に乗せてサンクチュアリに戻ることにした。
 アシュロックを探すブレナン達は過去の時代の珍しい様子を興味深げに見ていたが、そのうちアシュロックを見失う。
 ダイアナはサンクチュアリへ向かう山の中を歩きながら以前はアシュロックのそばにいたが恐くなってエリソン病院へ隠れたのだと教えた。結局見つかってしまったがアシュロックを永遠に遠ざけたのだと言い逃れをするが、ジェシーにとっては仲間も一緒にいなくなってしまったことが問題だった。

 アシュロックは車を盗み手から放電してエンジンをかけ彼の目的地に向かって走り出す。その気配を感じたブレナンもそばに停めてあったバイクを同じく放電能力を使って動かし後を追う。
 サンクチュアリに着いたダイアナにアダムはシャリマー達は無事かと問いただすが、目的の時代に送ったアシュロックを二人が追っていたことは知らなかったとアダムの剣幕の前に素直に謝った。データベース検索の結果ダイアナは超精神力系と分子系能力を合わせ持ち重力を変えて時間の膨張を変えることが出来るミュータントだった。そして念力で物質を異なった時間帯に送り込むことが出来るのだった。彼女が3人を送った日時を聞いたアダムは思い当たる節があるのか苦い顔をする。
 盗んだ車とバイクで再び追いつ追われつを繰り返すアシュロックとブレナン。ブレナンとは別に追跡調査を進めるシャリマーはふとそばの雑誌スタンドの柱に貼られていた科学雑誌を手に取る。そこには若かりしころのアダムの姿が写っていた。

 アダムの様子を不思議に思ったエマはアシュロックが選んだ日付が何を意味するのか彼に問う。アダムは「患者番号0(アシュロックのこと)プロジェクト」に参加するためにジェノマックスへ来たが、その日時が現在3人のいる「1978年10月」だったのだ。アダムはジェノマックスによる治療のお陰で攻撃的な性格や力を与えられたアシュロックに興味を持ち、アシュロックの両親が再び彼をジェノマックスに戻したのは問題の「1978年10月13日」である。アダムはアシュロックを治療して彼の心に人間性と良心を芽生えさせる為にジェノマックスに来たのだ。しかし治療がアシュロックの遺伝子に変異を起こさせ絶大な力を与えてしまい文字通り彼は「怪物」になった。そしてその半年後アシュロックは自分の両親を殺害してしまう。生き延びるための何かを発見し、その治療法を変えために彼は過去へ行ったと推測される。過去の治療法を変え更に無敵になって帰ってくることを確信したアダムはエマが止めるのも遮りダイアナの力で自らも過去へ行ってアシュロックの計画を阻止することを決意する。

 当時のジェノマックス社へ来たシャリマーはそこで若いころのアダムに出会う。彼女は自分に似た職員にわざとぶつかり社内への進入のために社員証をスリ取った。
 アシュロックは当時の自宅に向かい幼いころの自分に会う。不遜な態度の男を見て不審がる幼少のガブリエルだがアシュロックの常人のものではない野生系の目を見て共通するものを感じて警戒を解く。父親が追い返しに出て来るがアシュロックは躊躇うこともなく母親もろとも二人を即座に殺害してしまった。そしてそれを見て驚くどころか笑みを浮かべてすっきりした顔をするガブリエルがいた。ジェノマックスからの迎えが来ること教えるアシュロックは父親の車を運転しろと鍵を渡し、ガブリエルも喜んで従った。その頃ブレナンは必死にアシュロックを探し回っていた。

 意気揚々と車を運転するガブリエル少年は煙草を吸おうとするが幼少の喫煙の為に苦しい思いをしたアシュロックはそれを取り上げ体を大事にしろと言う。今日はジェノマックスで治療を受ける日だが、アシュロックは実はガブリエルを大人しくさせるための治療だと教え、またその治療が裏目に出て将来体に問題を抱える怪物にされてしまう運命が待ち受けているとバラした。しかし彼が持ってきた特効薬を打てば問題は解決され無敵の存在になれるのだった。

 ジェノマックスに忍び込んだシャリマーはどこからか手に入れた白衣に身を包みそっとアダムの研究室に入り込む。キャビネットからアシュロックのファイルを見つけて中を見ようとするがアダムが帰ってきてしまった。若きアダムには非常に魅力的なシャリマーに再び会えたことを喜び彼女をクドこうとするアダムだがこの後ガブリエル・アシュロックが来ることを知らされたシャリマーは慌てて研究室を出る。

 アシュロックの暴挙を止めるために1978年当時の服装に着替えたアダムをジェシーは危険だし過去を変えるわけにはいかないと止め、ダイアナは自分は力を使わないと言い出す。仕方がなくアダムはエマにダイアナにテレエンパスで精神操作をさせて力を使わせる。時空の渦に入っていくアダムの後ろ姿を見ていたエマは思わず自分も後を追った。エマがついてきたことに驚くアダムにエマは過去に犯した過ちは一つではなはずだから一人ではよくないと言った。彼女の言葉にしぶしぶ承知しながらアダムはジェノマックスに向かった。ジェノマックスでの情報を得たシャリマーは駐車場の車を拝借してガブリエルの家に向かった。

 現在の時間では1979年4月16日の記事を見ているジェシーとダイアナ。ダイアナが退屈し始めるが次の瞬間にはモニターの掲載記事が変わった。彼女がアシュロックを送った「1978年10月13日」に彼は両親を殺してしまい、ダイアナの注意も聞かずに過去を変えてしまったのだ。また彼女は能力を使って自分では何度も過去を行き来したことはあったが他人を送ったことはなかった。アシュロックが過去を変えてしまったためにアダム達が無事に現在に戻れなくなってしまうかもしれないというダイアナの言葉に驚くジェシー。

 やっとアシュロックの実家を探し当てたブレナンがそこで見たものは無残にも殺されたしまった彼の両親の死体だった。
 ジェノマックスの実験室のベッドで眠るガブリエルを見つめる若き日のアダム・ケイン博士。そこへフィッシャー博士だと偽って現れたアシュロックはテレエンパス能力でケイン博士に自分を彼の師であると思わせ、ガブリエルの治療にあたってケイン博士が見落とした一部のDNAの暴走の可能性を示唆し、自分で開発し懐に忍ばせてきた「特効薬(部位特異的誘発剤)」を使えと指示する。そう思い込まされたケイン博士は腑に落ちない表情を浮かべながらも薬品を受け取った。

 ブレナンがアシュロック家で一家の写真を見ているとそこへ警察が銃を向けて入ってきた。彼を犯人と思い込んで逮捕しようとしたがブレナンは警官に軽く放電をして殴り倒してしまう。パトカーが集まってくる中シャリマーが到着しブレナンは車に逃げ込む。アシュロックが両親を殺して10歳の自分をさらったことを聞いたシャリマーはすぐにジェノマックスに取って返した。

 ジェノマックスについたアダムは過去に使っていたIDを取りだし、エマにシャリマー達を探すように指示して過去の自分、ケイン博士を探し始める。ガブリエルに薬品を投与する直前にアダムはケイン博士を見つけ出し、当初の計画通りガブリエルを催眠状態にするように説明するが、背後から現れたアシュロックに投げ飛ばされ精神攻撃を受けてしまう。目の前の出来事に驚くケイン博士にアシュロックは言われた通り投薬しろと言い捨てアダムを連れて部屋から出た。博士は戸惑いながらも言われた通り投与を開始する...。
 シャリマーとブレナンは若いアダムのことについて話ながらジェノマックスに戻ってくる。しかしアダムは別部屋でアシュロックの攻撃の的にされていた。アダムが超人を造る欲望に負けてジェノマックスの子供たちを造り、またそのくせ危険になった自分を助けるのではなくアシュロックの生き延びる計画を邪魔して殺そうとしていると罵る。そして恐ろしい光球を更に巨大化させてアダムにぶつけ、吹き飛ばされたアダムは動かなくなってしまった。ケイン博士はその様子を呆気にとられながら見ているしかなかった。

 過去の時代でアダムに異変が起きたことにより現在でのサンクチュアリが突然崩壊し始めた。ジェシーはダイアナと共に逃げ出し既に歴史が変わってしまった今自分たちも過去の世界へ行くしかないと言う。
 シャリマー達を探していたエマはガブリエルの病室でアダムが襲われる映像を見る。残像を辿りながら隣の部屋へ入るとそこにはアダムの死体があった。ケイン博士は慌てて逃げ出し廊下ですれ違ったシャリマーにも気付かずに去ってしまう。そこへエマがアダムの死を知らせに走って来る。もう三人でアシュロックを止めるしかなかった。
 そっとジェノマックスを出ようとするケイン博士を見つけたシャリマーは彼を引き止め訳を聞く。自分のせいで人が一人死んでしまったことを悔やむ彼はもうジェノマックスには戻れないと逃げ出そうとするが、シャリマーは逃げずに戻れと言った。

 ガブリエルの病室に来たブレナンとエマ。ブレナンは眠るガブリエルを見て手に電気を溜めて今のうちに消してしまおうと言うが、彼はアダムの最初の被験者であるためガブリエルが今死ねば自分たちの存在も無くなると言ってエマは止める。そこへ背後からアシュロックが現れブレナンに光球を投げつけ吹き飛ばす。エマはケイン博士は言う通りにはならない、計画はうまくいくはずがないと断言する。しかしアシュロックはそれを見越して既に自分でガブリエルの点滴液に特効薬を投与していたのだ。起き上がったブレナンはその点滴液に向かって電撃を放ち潰してしまう。アシュロックはエマに光球を放つがよけられ、反対にブレナンの電撃で飛ばされてしまった。そこへジェシーとダイアナが飛び込んできて三人からアダムが死んだことを聞くとジェシーはアダムが死ぬ直前の5分前に移動するようダイアナに頼む。そして時間は戻り今まさにアシュロックが光球を放ったその瞬間にジェシーとダイアナはアダムの前に現れ、身体密度を高めてアシュロックの巨大な光球を跳ね返した。自分の放った光球に打たれたアシュロックはその場に呻きながら倒れてしまう。

 アダムは5分前の治療に取りかかろうとしていたケイン博士にアシュロックのことを適当に誤魔化して特効薬を受け取る。そして過去の自分を励ましすぐに自分たちをアシュロックと共に現在の時間に戻すようダイアナに指示を出す。しかし彼女が時空の渦を出現させた途端にアシュロックは意識を取り戻し素早く渦に飛び込んだ。アダム達も後を追って現在に戻ってきたが出たのは倉庫のような場所でアシュロックも姿を暗ませていた。ダイアナを保護しながらミュータントXのメンバー達はすぐにそこを脱出する。

 サンクチュアリに戻って眠っていたエマは頭に響くアシュロックの笑い声で目を覚ます。部屋を出て周りを見回りながらアダムを探すと彼は自分の研究室にいた。エマは過去に遡ったときアダムの死後ブレナンがガブリエルを殺そうとし、それを止めさせたことを話した。幼い子供を寝ているうちに殺すことに耐えられなかったからやった行動だが、もしブレナンを止めずにガブリエルが死んでいたらアダムはどうなっていたかと聞く。アダムはもしそうでも自分でもその後のことは分からないが、当時の自分は起こりうる結果も考えずに自分の力で何事も出来ると思い込んでいたと言った。しかしアダムは最初のミュータントであるアシュロックからは多くを学ぶことができ、あの時の教訓がなければ今現在エマもどうなっていたか分からなかった。自分はアシュロックの様なサイコキラーではないとエマは言うが、もしアシュロック程の強力な能力を持ちえていたら今のような気持ちになれるかどうかはエマにも誰にも分からない。アダムは優しくエマの額にキスをして慰めた...。(終)


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