緑の宝石「富貴蘭の世界』へ羆のこと
羆は数ある富貴蘭品種の頂点に燦然と輝く超大稀貴品だ。羆はバブルがはじけた現在でも、その評価は時価にして1千万円は下らないという代物だ。たかが園芸と言うことなかれ、それ以前にお金を出しても入手できるかどうかという品種なのだ。
 

  1. 羆の全体像

    羆のの全体像

    この羆は1993年頃私の蘭舎で撮影したものです。35mmカメラで撮影しました。その頃は私はまだパソコンも触っておりませんでした。これはその時に撮影したプリントを取り出して、デジタルカメラで複写したものです。その関係で粒子がやや粗く見えます。

    私のところで撮影した羆といっても、この羆は短時間私の所にあっただけで、羆の所有者は私ではありません(^^;)。

    現在この羆は二本の本芸品の仔を生んでいます。この二本の仔が育つと羆の三本立ちという快挙となるのです。これはとても楽しみな事ですね。

  2. 羆の青

    羆青

    私が購入できたのは精々この青の羆です。青と言っても、由緒正しき上の画像の羆から生まれた青です。ですから青と言えども、ちょっとだけ自慢をしています。こんな青の羆ですが、私はこの羆を栽培していて喜びと悲しみを味わっています。その理由はこの青の羆の次の拡大画像をご覧ください。

  3. 羆の青の出芽の状態

    羆の青の出芽の状態

    どうですか、中央にある出かかっている天葉の色をご覧になってください。この葉はこれから左に展開していく葉です。とすると右側に紺地の強い所と、左の緑味の薄い所にの色の変化にお気づきになりませんか。

    そうなのです。羆の本来の芸である紺覆輪状になっているのです。しかも紺と白く見える銀灰白色地の間には、堅条線さえ流しているのです。なんと羆の青から羆の本芸品が生まれつつあるのです。

    というように、ドラマチックにいってくれれば最高に幸せなのですが、ところがどっこいそうは問屋が卸しません。というのもこの天葉が展開するにつれて、紺覆輪のように見えた葉は暗んで青葉になってしまうのです。日々小躍りし、時間がある度に手にとっては愛でていたものが、日が経つに連れて息消沈して行き、やがては手に取る回数も稀になってしまうのです(T^T)。

    青で、出芽とはいえ、これだけの色芸で出て来る羆の青は珍しいのではないかと思います。過去には別に入手の羆の青や、羆の系統である建国殿などを作っていた時もあります。しかし浅学なだけかもしれませんが、このようなタイプの羆の青は見たことがありません。

    建国殿の縞の柄が進んで、紺覆輪の中透けとなって羆に完成する事は希のようで、中透けに近い柄になってもなかなか羆としては固定しないそうです。それよりも風聞ですが、建国殿の縞から出た子供が羆であったとか、やはり羆の仲間である羆覆輪から出た仔が羆になったとかの、一発芸で変化した羆の話を聞く事があります。これが事実としても、それは宝くじに当たるような出来事でしょう。

  4. 上の画像の羆の青から出た羆の青の割り仔

    羆の青の割り仔

    これはその思わせぶりな羆の青から生まれた羆の青です。羆から直接の青ではありませんが、やはり天葉が出る頃は何時も期待して観察しています。これよりも芸の良い同じ株分け品を、1999年4月上旬に山形の方に譲りました。系統と性ははっきりしていますので、観察を続ければきっと味のある一鉢になってくれると思います。大事に栽培して下さい。

    羆とルビー根について

    羆などのルビー根については、青でもルビー根が出るのかと聞く人がいますが、ルビー根は柄が派手になった品種などで一部現われるものです。

    ルビー根の品種としても知られる金牡丹や白牡丹は、アントシアニン色素が強く、芸の良い物は出芽時に葉緑素であるクロロフィル色素の発生が押さえらて幽霊芽に出るので、アントシアニン色素が他の色素に影響を受けにくくなって、アントシアニン色素が根にルビー色として現われます。それゆえこれらの柄が無くなって青になった物は、ルビー根に出る事はありません。

    これと同じに曙に出る性質が強い虎斑品種や月殿系の品種などは、葉の展開時に葉緑素の発生が押さえられるので、根の色も上記の理由で明るい色の根色になります。中にはルビー根に近い根色を出す物もあります。

    羆のルビー根は縞が派手になった場合のルビー根であり、金牡丹や白牡丹とのルビー根と色合いがやや違うようです。縞の品種でルビー根の品種は殆どありません。唯一この羆だけだと思います。その理由は縞柄が派手になったものはルビー根になったとしても、クロロフィル色素である葉緑素が少なくなっていて、植物としての活性が消耗に費やされてしまって、終には枯死してしまうからです。

    その点羆はルビー根で、しかも中斑芸という派手な芸の割には枯死することなく生育を続けられています。その秘密は金牡丹や白牡丹と同じように、古い葉はやや後暗みの性質があるから丈夫なのです。しかし羆の芸はこれだけではなく、更に古い葉は、金牡丹でいうところの万葉冠ように柄が明るく虎斑として冴えてきます。そして葉元にも腰斑を見せるようになります。

    このように移り行く芸の変化を持つ羆こそは、富貴蘭品種に君臨する王者の風格をそえて、その地位は揺るぎ無き品種なのです。青の羆といえど、その変化の片鱗の妙を見せてくれるのは嬉しいものです。

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