手塚治虫作品
作家別では、一番多く読んでいます。
作品数が多い分、それだけ心に残った物も多かったです。
漫画よりも、「ジャングル大帝」、「リボンの騎士」、「ふしぎなメルモ」等の
TVアニメの再放送での出合いの方が先でした。
没後、関連本がたくさん出て、それらに目を通していくうちに作品そのものも
読んでいくようになりました。
あの頃から、
次々とハードカバーや文庫化されるようになり手に入りやすくなった
手塚治虫漫画全集の存在を知った
本を買う余裕ができた
などもあります。
それまでは、「ブラック・ジャック」と「火の鳥」の一部と、「アドルフに告ぐ」
ぐらいしか読んでいなかったと思います。
亡くなられた日、ちょうど受験からもどって駅前でバスを待っている時、
電光掲示板で訃報を知りましたが、あの時、これでもう手塚さんの新作は
読めないんだ と思ったのをはっきり覚えています。
ブラック・ジャック
小学生の時、友人と廃品回収置き場にあった本を読んでいた時の、
少年チャンピオンと単行本が最初でした。
当時は、単に手術シーンの臓器の絵を怖いもの見たさで見ていた
だけでしたが、年齢があがるにつれ、それ以外の部分を感じとっていき
ました。
読んで”ホロッ”とさせられる内容が好きです。
「るろうに剣心」に出合うまでは、漫画の中では一番好きでした。
両作品には、どこか共通するものを感じ(いずれむこうの方で書いていこう
と思います)ていましたが、「るろうに剣心」には、途中から自分が求める
ものが偏るようになってしまったこともあり、同じように比べることができなく
なりました。
ラストのコマの多くがB・Jの後ろ姿や、立ち去ったり、見守る姿が
描かれていて、余韻が残ることの一つになっていると思います。
(内容に納得できないものも中にはありますが)ストーリーやセリフ等、
特に心に残ったものを少年チャンピオンコミックスに収録されている順番
で書いていきます。
「海賊の腕」
器械体操が得意な一ノ関。ガスえそで腕を切断する診断をされ、手塚(?)
に相談されたB・Jが手術を引き受ける。
義手を見たクラスメイトから”海賊”と呼ばれ、やけになっている時、突然、
義手がしゃべりだし、将棋を勧められる。
地区大会の決勝前、心からの友だちになっている義手と話していると、
声のあいまにへんな音が聞こえてきた。その音を探していった一ノ関が
見たものは・・・
古河の思いとB・Jの技術があわさってできたのが、あの義手だったわけ
ですね。
手術で生き延びても、本人が生きがいをなくしたらどうしようもないわけ
ですが(「老人と木」や、「人生という名のSL」の中でもふれられていた)、
ちゃんと後のことも考えてあったんですね。
ほんと古河はいい人です。一ノ関同様、義手の秘密がわかった時は、
胸にくるものがありました。
(手術代の支払いも大人になってからでいいと、B・Jも猶予してくれて
いるし)一ノ関の今後も応援したくなるような話でした。
「ふたりの修二」
東西電鉄の社長の織田は、息子の修二に跡を継がせたかったが、
反対する役員がいた。
そんな中、地下街で火事があり、修二の時計をはめた犠牲者が見つかる。
修二がいなくなると副社長に社長の座を奪われるため、織田は娘の
久美の性転換手術を極秘でB・Jに依頼する・・・
読んでいて、
・久美が修二になったとしても、修二の火事の原因の罪は消えない。
・久美が久美にもどったら、死んだことにされているからどうなる
んだろう・・・
とか、いろいろ疑問な点がありますが、会社内部の権力闘争に巻きこまれ
てしまった姉弟がなんともかわいそうでした。
あと、学校での性教育でよりも、B・Jのこの話で図を見た方が先でした。
「二度死んだ少年」
父親を殺し警官に追われていた少年が、ビルから飛び降りる。
虫の息の少年を、世界的な外科手術の権威であるゲーブル教授が
執刀することになる。
ゲーブルは、手術前B・Jに軽蔑の言葉を吐きながらも、術中少年の
生体反応がなくなると、内密にB・Jに助けを求める。
命をとりとめた少年の裁判の判決は・・・
傍聴していたB・Jは、ひとこといいたい と、立ち上がって、
「この少年はいったん死んだんだ
その 死んだ少年をわざわざ生き返らせて助けたんだぞ
死刑にするために助けたんじゃない!!
どうしてわざわざ二回も殺すんだっ
なぜあのまま死なせてやれなかった!?」
と、強い語調で言う。
この言葉は、もっともです。
ゲーブルは自分の名誉に傷をつけないためにB・Jに依頼したけれど、
B・Jは本当に少年を助けたくて引き受けたんだと思いました。
少年の最期の言葉と、建物の壁の外でみつめるB・J。
少年にとっては、一人でも思ってくれた人がいたことがわかったことだけでも
よかったのでしょうか・・・
「木の芽」
からだから木の芽が生えてくる幹男。そのことを唯一知っている兄の茂は、
B・Jに手紙を出す。
同封されていた木の芽を調べ、手術してみるとサボテンが寄生していた。
子どもの頃知人に借りて読んだ時と、後から自分が単行本を買った時とでは
セリフが違っている箇所があることに気づきました。
この話の中には、「綿ふき病」というのも図入りであり、
自分にも木の芽や綿が生えてきたら・・・ と、想像すると怖かったです。
「血がとまらない」
コインロッカーで知り合った若い二人。
一年経って博は結婚を申し込むが、由紀は病気を理由に断る。
遺伝病は治せないと言うB・Jに、博は、
せめてえらい先生にかかってほんとに治ったと信じさせたい
と、うその手術を依頼する。
輸血用に博の血液を調べたB・Jは驚き、彼の実家に電話すると、
母親から・・・
由紀の血友病の心配をしている博自身が悪性貧血だったんですね。
一年半の命だと母親から言われてから、
あとわずかな一生のうちに好きなことをしたい
と、上京していたようです。
B・Jの、夜空を見ながらの言葉、
「流れ星はもえつきる前にありったけもえて ひかり輝いてみせる
博くん きみは流れ星だ・・・・・・」
にあわせて、博を見ているといじらしくなりました。
告知の是非や、告知された者のその後の生き方について考えさせられた
話でした。
「ときには真珠のように」
B・Jのもとに荷物が届く。中味はメス。
”J.H”の文字から本間だと思い、家を訪ねる。
老衰で寝こんでいたが意識はしっかりしていた本間は、B・Jに自らの
ミスをザンゲする・・・
少年だったB・Jの体内にメスを残してしまい、7年後に再手術して
取り出した時、メスはカルシウムの鞘に包まれていた。これが真珠の
ようだったと。
本間の最期の言葉、
「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて
おこがましいとは思わんかね・・・・・・」
は(関係ないけど、確かカルトQの問題にもあった・・・)、手塚さん自身の思い
も含まれているのかもと思ったりもします。あわせて、手術の技術面以外の
部分で、恩師である本間の口を借りてB・Jを諭す意味もあるのかとも。
「2人のジャン」
ドイツ科学アカデミーからの依頼をうけたB・J。それは脳を1つ半持っている
シャムの双生児の、一方の脳を顔ごと切り離す手術だった。
成功のみこみは10%、そのうえなぜか気がすすまなかったが、手術は成功
する。
あらかじめ用意されていた人工血液の中で、切除された脳は生きていた。
生き残った方のジャンは、近づいていくと物を投げてケースを壊す。
流れ出た脳を目の前にして・・・
医師は、もう一人のきみを殺してしまったんだぞ と言いよりますが、
ジャンは、
「ぼくたちは相談してきめたんだ
どっちが切りとられてものこったほうがこうやろうって
ぼくたち実験動物じゃないよ
実験なんかに使うなんていやだい!!
実験にされるんなら死んじゃったほうがいいんだい」
と、脳を手にして泣きながら言います。
B・Jも他の医師たちも冷や汗をかきながら言葉を失っている後に、
ラストには人工血液とチューブが生々しい脳のアップが描かれていますが、
ここで自分もハッとしました。医師と当事者のジャンとでは考え方が
違い、また、B・Jが気にしていた部分はこのことだったのかと。
自分もどちらかと言えば死なない方法の医師側の考えでした。
それよりも子ども心に一番衝撃的だったのは、見開きでシャムの双生児
を説明してあった図の中の、頭がないものでした。
「めぐり会い」
5年ぶりに日本へ寄港した船医の如月はB・Jに電話をかける。
アルバムを見て写真の女性にピノコはやくが、B・Jは、
会いに行く男の妹で、もうこの世には存在しない。思い出を清算するため
に彼女の兄貴に渡す
と答える。
無理やりついていったピノコはB・Jがいない間、如月に、恋人だった
という妹のことを聞く・・・
同じ医局だった二人。子宮ガンになっためぐみの手術を一人でB・Jは
申し出、子宮と卵巣の摘出手術前に、
「きみが女であるあいだにいっておこう」
と、告白し、二人のキスシーンがありましたが、ドキドキしたのを覚えています。
(今では何ともありませんが・・・ 笑)
読者は、アルバムが渡される時、”如月めぐみ”と”船医の如月恵”の関係が
わかります。なるほどなあと思いました。
が、ピノコには、本人だと言わずに兄だと言うあたりは、気恥ずかしいものが
あったんだろうか・・・
他の話の中で、女性から思われることはあっても逆は珍しいB・J。
青春の1ページをみるような話でしたし、おそらく今も、めぐみのことを
思っているんでしょう。
「アリの足」
小児マヒの少年が、病気の苦しみと患者へのはげましを訴えるため、
広島から大阪までを歩く旅に出る。
途中、少年は、車を止めて立っている男をみかける。
お金持ちでなければ 病気をなおさないよくばり医者
と、B・Jのことを横目で見ながら通りすぎる。
次の日、車であとを追ってくるB・Jに少年は声を荒らげるが、B・Jは、
ただ見ているだけだ と答える。
上り坂の途中で待っていたB・Jは、バックして店で寝袋か毛布を
買った方がいいと忠告する。が、きかずに進もうとする少年にさらに
詳しく話しだす・・・
この後の言葉で、旅をすることの影響をうけた本間丈太郎の本、
「ある身障者の記録」の患者がB・Jだったと少年は知ります。
少年の問いに、ズボンのすそを上げて足の傷を見せるコマ、
それを見た少年の驚きの表情(?)のコマのどちらもセリフはありませんが
印象的なシーンでした。
それまでとは変わって話を聞きたがる少年に、B・Jは応じないで立ち去り
ますが、日没後、少年は道端に置いてある毛布に気づきます。
この毛布以外にも、山火事の時、皮肉のようで実はそれがアドバイスで
あったり、暴走族に奪われた少年の財布を取り返して道路に置いたりして
少年を助けています。”B・Jらしい”なあと思いました。
「ハローCQ」
筋ジストロフィーで車椅子生活のジュンは、ハムでニュージーランドのトム
と交信する時は、野球をしている様子を話していた。
ある時、トムから日本へ観光旅行に行くと言われ、うそがばれると困りはてる。
そんな時、依頼していたB・Jが診察にやって来るが、高額な手術料のため
断らざるをえなかった。
一方的にトムに別れを告げた後、B・Jから100円にまけるとの電話があり、
でかけて行くと・・・
手術費用変更は、トムが肩代わりの申し出をしていたようです。
ジュンだけではなく、お互い様だったんですね(笑)
相手の姿が見えないと、ついうそをついてしまうもんなんだろうか・・・
B・Jが橋渡しをしたようなものですが、なかなかよくできた話だと
思いました。
あの時代がハムなら、今ならメールってことになりますかね・・・(笑)。
「おばあちゃん」
車が故障して困っていた家族を乗せたB・J。
その男は、
”うちのとしよりは 日本に名医がふたりいて ひとりはブラック・ジャック
ちゅうわかい先生で もうひとりは甚大先生だ・・・”
としょっちゅういっていると言って、家へ案内する。
”おばあちゃん”のとんだあいさつと、嫁とのやりとりに帰ったB・J(笑)
だが、甚大のことを調べる。
20年前に亡くなったという甚大の家を訪ね、配偶者に話を聞いていた時、
一方で男が、おばあちゃん(母親)の後をつけていくと、行き先は同じく
甚大の家だった・・・
肖像画を見ながら、
「この世にわたしぐらいがめつい人間はいないと思いましたがね
甚大先生はまったくわたしとおんなじ型の人間ですね!
さだめし・・・・・・ 名医だったんでしょうなあ・・・・・・」
の言葉には、B・Jの自負と、甚大への共感とおかしさのようなものが
感じられました。
おばあちゃんが、息子夫婦からなにかとお金をせびっていた理由が
この後わかるわけですが、息子同様に読者の自分も胸にくるものが
ありました(このおばあちゃん、小憎らしいけど、どこか愛嬌もある顔で
描かれていましたが、この理由がわかってからは余計に憎めなく
なりました)。
それだけでなく、今度は脳溢血で倒れたおばあちゃんの治療をB・J
にたのむ息子の言葉・・・(母親もだが、息子もいい息子じゃ・・・)
B・Jは、ある意味、この息子をためしたんだとも思います。
(で、気まぐれなB・Jのことだから、この後もしかしたらただになる
のでは・・・ と思ったり 笑)
あと、男が車中で、
「サンパツ屋のところにおいてある子供雑誌でときどきおみかけしますよ」
って言うんですが、
”無免許医師のことが載ってる子供雑誌”ってどんな雑誌なんだ?
と、ずっと疑問でしたが、ある時、それは現実の世界での少年チャンピオン
のことだと気づき、笑ってしまいました。
「友よいずこ」
事故にあったクロオ(B・J)への皮膚の提供を、みまいに来ていた
クラスメイトに依頼するが帰られてしまう中、一人の少年が名乗りでる。
タカシはクロオとは皮膚の色が違っていたが、本間によって移植手術が
行われる。
医科大在学中、形成手術を勧められたB・J。はじめは、
友だちの誠意をうら切ることになる
といって断っていたが、了解ををえるためタカシを探し始める。
世界中を転々としてなかなか会えない中、
ある時、タカシという人からたのまれたという手紙を受け取る。
そこには、彼がやろうとしていることや、クロオへの別れの言葉が
書かれていた。
アフリカの自然保護運動グループ暗殺のニュースを偶然見たB・J。
その中の一人は日本人の混血で、おしりにふるい手術のあとがあると
報道された。
B・Jのトレードマーク(?)の1つである顔の左側の傷と、その上の
皮膚の色が違うことにふれられている話でした。
皮膚をはめこむ手術シーンは、口が開いて、鉗子がいっぱいでかなりの
インパクトでした。
術後の回想シーンの二人が、結末がわかった後で読むと悲しいです。
他に、本間との、
「あの子の好意をムダにしちゃいかんぞ はやく治すんだ!」
「うん、やります!
ぼく治ったら本間先生みたいにお医者になるよね
そしてお金もうけて、タカシにお礼するんだ!」
のやりとりには、この時すでにクロオにはB・Jの”元”ができていたんだとも
とれました。
結局、形見となってしまったタカシの皮膚。
(だから、「土砂降り」の中で清水先生から死ぬ前に皮膚提供の申し出が
あっても、しなかったんですね)
B・Jは一生そのままなのでしょう。
「幸運な男」
イランでの石油タンク爆発事故。
無事だったある男は、逃げる途中、日本人技師の天童の死体から
パスポートと大金入りの財布を抜き取る。
B・Jに天童の顔に整形手術をしてもらった男は、行方不明の天童に
なりすまし、帰国する。
しかし、会社は爆発事故がもとで破産していた。
B・Jに、元の顔にもどしてほしいとたのむが、手術料が払えず断られて
しまう。
初めは信用していなかった男だったが、一緒に暮らしていくうちに、
理想の母親を手に入れた と喜ぶ。
一方で、息子としてだましていることにひっかかりを持ってもいた。
その母親の方にも、実は秘密が・・・
男が自分のことを言う前に母親は息をひきとってしまいますが、結果的
には母親にとってもその方がよかったように思えました。
二人とも、天童家の財産目当てで、本人になりすまして家に来たけれど、
お金では買えない”家族”という幸せな経験をすることをお互いができた。
B・Jは、そのことがわかっていたから、男からの母親の治療の依頼に
断りながらも、
「あんた、うまくいってたか?」
「え?」
「つまり・・・ おふくろさんと一しょのくらし 満足したかね?」
「もちろんだ!!」
「じゃあ幸運を祈る」
と、電話で言ったのでしょう。
また、ラストのB・Jセリフがいいです。
本心ではなく、おそらく照れ隠しでしょうけど、思わず笑ってしまいました。
そして、なんか温かいものが残りました。
「侵略者」
ストーリー的には、特にありませんが、
「なぜいけない?
死ぬんなら死ぬ ダメならダメとハッキリ教えたほうがこの子のタメですよ」
「わたしはね ガンとか血液病のような治らない病気の患者に
治りますなどといってごまかすのはきらいでねっ
死ぬ人間には はっきり死ぬといっとく主義だ
そのほうが残りの人生を有効に使える」
のセリフから、B・Jは告知する主義の人なんだと。
「ふたりのピノコ 「緑柱石」より」
ある町でピノコにそっくりな少女を見かけたB・J。
ピノコの顔をつくる時のモデルにした子かもしれないと興味をもち、
保健所から調査にきている医師に、ベリリウム中毒の治療をするように
忠告するが・・・
B・Jが、ロミにみやげとして貝がらを置いていく時の表情がいいです。
その後のロミのしぐさも。
容態が急変したロミをB・Jが診る一連のシーン、ロミがいじらしくて
たまらなく、また、目頭が熱くなりました。
一方で、工場から買収されかけていた保健医は、ロミの死を知ってからは
工場の告発にふみきったため殺されかけ、B・Jが助けるわけですが、
術後の二人のやりとり、B・Jの本心は半分くらいなのかなあ(笑)と
思いました。
この話は、ロミがとにかく印象に残っていましたが、読みなおしてみると、
現実の世の中ではこのところ内部告発から表沙汰になっていることが
多いこともあり、保健医の心の移り変わりにも興味をもちました。
この人のように、最終的にでもいいからどうすることが人の理にかなう
ことかを判断し、行動してほしいものです。
ところで、「緑柱石」って何のことなのでしょうか? ずっと疑問です。
「お医者さんごっこ」
コングの妹、結核のチャコは、友だちがB・Jの手術で病気が治った
ことから、B・Jの診察を望んでいた。
探してもなかなか見つからないため、コングは、人相が似いてるらしい
いつもいじめている役者の子のキートンに、B・Jになって治すフリをして
欲しいと頼む。
B・J(キートン)の診察に喜ぶチャコ。
が、ある時、手術をしてほしいと言うチャコに、キートンは・・・
この後のキートンの言葉、B・Jのことを表面的にしか知らなければ、
こう評してしまうのは仕方ないかもしれません。
でも、読者はB・Jが決してそうではないことはわかっているわけですし、
今回も、
「・・・・・・今のセリフ身にしみたよ・・・・・・フフ」
「だが おまえさんのいった言葉で急になおしたくなってきたよ
ただみたいな料金でね」
「すぐはじめよう わたしは気まぐれなんでね すぐまた気がかわる
おそれがあるからな
あとをひきつぎますぜ ブラック・ジャック先生!(←この時のB・Jは
茶目っ気たっぷりに見えます 笑)」
などと言っています。
ちょっと怪しい響きのタイトルでしたが、”ごっこ”の内容よりもB・Jの
セリフが印象に残りました(笑)。
「六等星」
ピノコと花火を見に出かけたB・J。
帰途、星の話になり、以前出会った真中病院の椎竹の話をする。
真中病院では、新院長をめぐり徳川と柴田が票取りに動いていたが、
二人は買収で逮捕された。
さきほどの花火の暴発事故の患者の依頼を真中病院からうけたB・Jは、
椎竹を薦める一方、自分が引き受けるには多額の手術料を提示する・・・
車にはさまれていた運転手に、通りがかった椎竹の麻酔注射の腕を
目撃したB・Jは、椎竹の、
「なが年下働きをやってきただけですよ」
や、
「医者は欲が優先しちゃおしまいですよ・・・ハハ・・・・・・」
の言葉に、何か感じるものがあったのでしょう。特に、後の言葉の
次のコマでは、B・Jの複雑な表情を読み取ることができます。
結局、椎竹が執刀するわけですが、
「今ごろ病院の連中は目がさめてるぜ 新院長をだれにするかってことをね」
「れも そのかわいうちはにくまえちゃったじゃないのよさ」
「おまえにはわからないんだよ・・・・・・」
「先生って損よのね・・・ いつれもひといぼっちで人にきやわえて・・・・・・」
と、B・Jとピノコのやりとりがあります。
「おまえには・・・」のB・Jの表情には、自分が悪者扱いされてもいいという
思いがとれます。
次のコマの、セリフのないピノコの表情、まだピノコにはB・Jの言葉通り、
そのあたりのことはわからないんだなあと。
「六等星はほとんど目に見えないくらいかすかな星のことだ
だがな ちっちゃな星に見えるけど あれは遠くにあるからだよ
じっさいは一等星よりももっと何十倍も大きな星かもしれないんだ」
は、一通り読んでからは、より納得できました。
でも、実際は残念なことに、徳川や柴田みたいなのがはびこってしまいがち
ですが・・・
手塚治虫2に続く