最近のシーンについて個人的見解

written by KAMI
ますます、ヒートアップして来た感のある、「ギャル男うざいMovement」。賛否両論のこのテーマですが、僕なりの考えを(まじめに)まとめてみました。

 

そもそも、新しい類の方々が増えて来たことにたいするクラバー、レイバー達の反応というのは、それぞれのClub, Raveに対するスタンスによりけりだと思います。今、Adventures in Wonderlandというイギリスのclub cultureの歴史を辿った本を読んでいるのですが、その冒頭に「そのpartyが良かったかどうかというのは、音楽でもなく、ドラッグでもなく、デコでもなく、DJでもなく、服でもなく、そこで会った「人」によりけりだ」と書いてあって、思わずSpot onだ!と叫んでしまいました。僕のスタンスはまさにこれです。もちろん音楽は大好きだけど、それよりもpartyの雰囲気、一緒にいった友達とどれだけおしゃべりを楽しめたか、あるいは新しい刺激的な人に出会えたかが僕にとって重要です。どれだけ、「周りの人に楽しませてもらって、自分も周りを楽しませたか」という点が重要なのです。
正直、それが出来なくなりつつある状況は「極めて不快」としか言いようがありません。僕がトランスに出会ったころはどのpartyも、凄い雰囲気だった。みんな笑顔だったし。

 

イギリスやその他の先進国で、ここまでraveclub cultureが広がった理由と言うのも、僕はここにあると思います。イギリスで80年代後半に、一気にこのカルチャーが広まった事によって、今までナイフを持って喧嘩を繰り返していたライバルのサッカーファン同士が、partyhugしあったり、今まで黒人と話したこともなかったカトリック学校出身の女の子が黒人の仲間とつるんだりといった一大変革が起こったのは、やはり音楽だけではなく、partyでその雰囲気を作り上げた「人」が原動力だと思ってます。そこから、次々と刺激的な音楽が生まれて来て、相乗効果でここまで大きくなって来たのではないかと。
ただ、メジャーになれば、色々と問題はおきてくるもの。今日本で騒ぎ(?)になっているマナーの悪い「場を乱す人達の参入」(当然いいバイブをもった人達もいっぱいいます。ここで言っているのはあくまで、マナーの悪い人達の事です)、また、金もうけしか企んでいない人達の参入などの現象は、本を読む限りではイギリス自体も体験しています。というより、Gangが参入して来て、何人も人が刺されて、そりゃあもう世紀末のような状況たったとか。映画Human Trafficにもある通り、「昔はみんなフレンドリーで良かった..」とぼやいているクラバーなど腐るほどいます。ただ、いくら暴力が横行し、商業主義がはびこっても、シーンを支える絶対的な人の数が、日本とは比べ物にならず、clubbing自体は完全に市民権を得た一方で、今でも非合法レーブはあちらこちらで、さらにはイビザに行けば皆で大騒ぎという状況です。

 

話を元に戻すと、僕は現状の日本の状況は「ちょっとまずいかな?」とは思っています。この1年でpartyの雰囲気はずいぶんと薄まってしまった、というか悪くなってきて、hardcoreなクラバーがどんどんうんざりしてクラブに行かなくなってしまっています。ここが大問題。一番シーンを支えている人達がいなくなる、そしてブームだからと飛びついた人達が大騒ぎして、すぐに去って行く。後には何も残らない。

 

イギリスでは強固な基盤ができあがったけれども、数的には日本ではまだまだマイノリティー。日本のシーンを支えているのは一部の昔からのクラバーと、「マスコミが煽っているから」入って来た人達だけ、しかも前者と後者のベクトルが全然違う方向を向いている。
どこの国でもブームに飛びついては、それを食い散らかして、次のブームへと飛び移る人達はいるでしょうが、日本は明らかにそれが極端すぎるのではと思っています。また、先にも延べた通りイギリスであれだけでかくなったのは、今までの若者の価値観を一変させるほどのインパクトをシーンに参入して来たほぼ全員が感じていたことが原因で、それが今日のクラブカルチャーの繁栄につながっていると。ちょうど当時はベルリンの壁が崩壊したりと東欧諸国の民主化が進んでた時期。多くの人が「世界が変わるかも」といっては大袈裟ですが、「とてつもないことが起こるのでは」と胸をわくわくさせていたことも事実です。

 

今の日本にそれがあるか??新たにシーンに入って来た人はそれだけわくわくしているか??正直疑問です。
やはり今入って来ている人はあくまで「パラパラの次のブーム」であって、決して「人生観を一変させるようなインパクトのあるカルチャー」だとは思っていないような気がします。
当然、絶えず世界中の注目を集めているイギリスの若者文化とどちらかというと欧米のカルチャーを毎度履き違えてとらえている日本の若者文化を比較するのはナンセンスという意見もあるでしょうが、少なくとも日本でシーンの基盤を作っている人達が、ある程度欧米のスタイルを意識して作っている事は確か。また、当然カルチャーの根本の部分は世界共通だと思いますしね。

 

今僕が一緒につるんでいるほとんどの人達は、ブームになる前に自力で、あるいは友達の力を借りつつ、メディアの力を借りず、自らの手でこのカルチャーを体験して、「このカルチャーに出会って本当に良かった」と思って、そこで会えた友人を大切にしている人達です。と同時に、音楽も大好きな人間の集まり。そういった人間たちが交流をする一番大切な場所で、また新たに同じ価値観を共有できる仲間を探す場所で、僕らが一番大嫌いな暴力が横行したり、友達の女の子が強引なナンパにあって嫌な目をして、「もう行きたくない」という話になったらどうでしょう?

 

そして恐いのがその場自体がなくなってしまうこと。すなわち事故がおきたときでしょう。最悪なのはoverdoseで死者が出たときなど。シーンはでかくなっていて、マスコミの注目度も上がっている状況で、こんなのが起きて、これがマスコミにかぎつけられて、大々的に取り上げられたらどうなるか?一気にクラブやら、raveはシャットダウンされるのではと思います。そんな時に、どうなるか?僕などはシーンを守るために最後まで頑張ると思いますが、「パラパラの次のブームとして参入して来た人達の大多数」はどうでしょうか?
Human Trafficの冒頭に出てくる警察とデモ隊との衝突のシーンは、レイブ禁止法に反対するraverがロンドンの中心街をデモして、警察と戦っている様子です。ここまでのパワーが日本にあるかどうか?

 

思いっきりアンダーグラウンドに潜りきるのも一つの手ですが、そうなると今度はいい音楽を聴くのが困難になる。もちろん僕にとってはその場の雰囲気が一番大切ですが、やはり音楽も楽しみたい。一流のDJにいい雰囲気の中ぶっとばされるのが、理想なんですね。
それに色々な人に会える可能性が低くなるんです。絶えず、Feelingの会う仲間は発掘していきたい。

 

ここのバランスはとても難しい。シーンが大きくなって、色々なDJが呼べると言うのは最もなこと。しかし、なぜこれだけあちらこちらでクラバーが悲鳴を上げているのか?彼らは僕と同じ考え方をしているのだと思います。「クラブ、レイヴで何が一番大切か」?やっぱり人なんですね。こういう人間にとっては。

 

当然、「そんなもんはどうでもいい。やっぱ音楽だろ。」っていう人達はいっぱいいますし、彼らもシーンを支えている大切な存在です。僕はそういう人達とも仲良くしていきたいし、色々音楽の事を教えてもらえればと思います。ただ、重点の置き所がちょっと違うだけ。双方とも、それを楽しむ場がなくなるのは何としてでも避けたいというのは一緒ですしね。

 

今のところは、「なるべく客層のいいところを選んでPARTYに行く」、「あるいは逃げ場所がたくさんあるところ(野外など)にいく」、「なるべく大人数で行動して、その中で極力雰囲気を維持していく」みたいな、かなり逃げ腰で対応しています。今はそれしかないかなと。

 

以上が僕の考えです。結論は「自衛しながら、嵐が無事去ってくれるように待つしかない」ってところでしょうか。去年の冬は、「今年の夏はSUMMER OF LOVEになるのかな」と本気で思ってましたが、ちょっとまずい方向にいっちゃいましたね。残念です。
そろそろ、クラブではドレスコードを設けて、「いかにも」な人間を締め出すべき時期が来たと思います。イギリスで存在しているドレスコードの発祥の理由の一つは、GangBeer Boysと呼ばれる「場を乱す人達」を締め出すために作られたもの。勇気ある決断をするpartyの出現を心待ちにしています。