もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)



もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)
もてない男―恋愛論を超えて (ちくま新書)

ジャンル:自己啓発,能力開発,意識改革,自己改革,学習
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もてない男のための


この本は
もてない男の
もてない男による
もてないのための
本です。

みんな読むといいよ。
体系的恋愛学

構成が非常に体系的で、よくぞここまでアカデミックに恋愛を研究したものだなというかんじです。この本が研究なのか、文芸評論なのか、啓蒙書なのかということを問われる人も多いと書いてありますが、著者はエッセイだと言っています。たしかに、面白おかしく味付けがしてあって楽しく読めるという意味ではそうなのですが、様々な文献に対する批評的なコメントや恋愛を体系的に捉えて直している点において研究といってよい代物だと思います。コミュニケーションスキルを磨けば恋愛ができるという主張に対して、恋愛という場が無ければコミュニケーションスキルはそもそも磨けないというのはその通りだと思います。もちろん恋愛だけがコミュニケーションの場ではありませんが。
恋愛欲っていうのは今の若者もやきもきしてるのでは

恋愛は現在非常に価値があるものとして世に認められていると思いますが、その恋愛を
語る際の言葉に「恋愛欲」っていうのがもっと使われるようになればいいなあと思いました。
恋愛欲と性欲は全く違う欲求で、恋愛欲が満ちた状態が、必ずしも性欲の満足と一致しないことは経験則から明らかであるのにもかかわらず、適切に分けられて表現されていないように思います。
セックスレスの恋愛なども、私は雑誌などで始めて見た時に驚いたものですが、恋愛欲という
概念をこの新書で発見し、今更ながらなるほどと思ってしまいました。
著者はもしかすると未だに恋愛欲が満ち足りていない中年男性なのかもしれませんが、その慧眼には、恋愛欲が満ち足りている人たちも驚嘆するのではないでしょうか。
インテリ文系男のルサンチマン

インテリ文系男に男前がいない、ということに気付いて、三島由紀夫の「インテリ嫌悪」に深ぁぁく共感した時期がある。有名な男性作家のあの方たちとか、論客やらのあの方たちとか、いわゆる知識人のあのヒトこのヒトとか、彼らが「日本は」「日本人は」と語る口調に、「で、アンタ何人な訳?」と突っ込みたくなること何百万回。
例えば、村上龍(あ、実名出しちゃった)が日本語の特徴たる曖昧さを指摘する上で、いくつかの日本文を例に出し、「これらの文章は英語には出来ない」「私はこういう日本語の曖昧さをずっと嫌悪してきた」とかとか書いているのを読んだことがある。まず村上龍が出した例文は英訳が可能であった。英語に出来ないのは彼の語学力の問題。日本語はロジックが曖昧にブレる可能性の大いにある言語だが、感情を精密に表現する言語でもある。言語とはそれぞれなのである。知ったかぶりすんな。いや、そういう話じゃない。「お前らさ、何人だよ?」とムカムカし、「鏡を見ろ!」と叫びたくなるような男どもに溢れ返っている現代日本なのである。ある評論家が、「自分はアメリカ文化に囲まれて育ち、まがい物の日本人だと感じる」やらと書いてあるのを読んで腹を抱えたこともある。鏡を見れば済むんじゃないの?
要は、インテリは観念性が強く、文系となると内面との対話が多いせいだろう、彼らは都合の悪い部分を消去法にするのである。大抵消去されるのは自分の「肉体」である。自分の肉体はないことにしているので、ナニ人にでもなる。
小谷野敦氏は「モテないインテリ男」という痛い部分を勢いにして本書を書いた。モテないのは辛い恨めしいコノヤローと言った。インテリ文系男としてナニやら画期的な正直さとゆーか、気持ちイイなー。多分そこには「冴えない自分の肉体」に目を落として、目を逸らさなかった果敢なインテリ男の姿があるからだ。小谷野氏は「消去法」をしない。
しかし、あの人たちやこの人たちの中に「モテない男のルサンチマン」「カッコ悪い男の気取り」を見たからといって(見るのは容易なのだが)、見えればそれでいいのであって、「ブ男!」と言い放ってイイ訳ではない。そこらへんは、礼儀とか人情とかの領域だから。
インテリは見てきたように性を語る

もてない話に共感して読んでるうちに、いつしか「オレは知性溢れる美人しか相手にしない」という自慢話のようになるが、それはそれとして「文学に現れる性」をめぐるムダ知識は楽しめる。源氏物語に出てくるセックスの多くは強姦である。今昔物語集には男が蕪に穴を空けてオナニーに使う話がある。森鴎外はさりげなく女性の自慰シーンを描いている。明治あたりまでは妾がいるからといって必ずしも正妻がいるとは限らない・・・。知ってる人には常識なのかも知れないが、私のような門外漢は軽く「へー」ボタンを押したくなる。

合間に挟まれる著者の見解にはツッコミたくなるものもあるが、うなずけるものも多い。「フェミニズムなんてブスのひがみ」という悪口があるけどとんでもない、現実のフェミニストの多くはいかにも異性にモテそうな容姿をした恋愛エリートであり、弱者の味方なんかじゃない、そこが気に入らん・・・・なんて、鋭いのではないか。近代以降と中世以前との違いばかり強調するのがいまどきの流行だが、共通点だって普通にある、という指摘も、普通になるほどと思った。

童貞の怨念がしつこく表明されるが、執筆時点で相変わらず性体験ゼロなのかどうかについて、明言はない。「コミュニケーション能力がなければ楽しいセックスはできない」だの「女性器の形状には女性自身さえ嫌悪を覚えることがある」だの「別に好きでないときの据え膳は食ってしまいがちなのだ」だの、実体験ゼロでもこれほど堂々と語れるのだとしたら、それが本書最大の驚きだ。



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