緊 急 抗 議 声 明
衆議院の<武力攻撃事態への対処に関する特別委員会>は、14日、有事関連法案を可決し、同法案は、本日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られた。が、米軍の先制攻撃戦略(ブッシュ・ドクトリン)とリンクした有事法制の危険性については全く審議もないままの採決であり、国会がチェック機能を有していないことをさらけ出したものとして強く抗議
し、あくまでも廃案を求めるものである。
有事法制は、「自衛権」の名のもとに日本列島を戦場として米軍との共同作戦ができるようにするための<戦争法>である。このような法律を持つことは、戦後の半世紀にわたって培ってきた平和主義を自らかなぐり捨て、東アジアの緊張を高めることしか結果しない、あまりに愚か極まりない選択である。そこでは、自衛官の戦死者も想定され、自治体や民
間の戦争協力が求められ、協力しない場合の罰則規定すら備えている。この点に不満と不安を覚えた600以上の自治体議会が意見書を決議していることに対する誠意ある対応は一切ないままである。どう修正しても武力行使を自衛隊に認める本質に変わりはなく、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした憲法第9条に違反することは明白である。
有事法制は、新ガイドラインの柱の一つであり、日本列島を戦場として、日米が共同作戦を行なうことを可能にする法律である。ここで重要なことは、当のアメリカの軍事戦略が大きく様変わりし、先制攻撃を正当化するものに変わっている点である。
2002.9、アメリカは、自衛と称して、核兵器の使用も含め先制攻撃ができるというを国家安全保障戦略いわゆる「ブッシュ・ドクトリン」を明らかにした。この背景には、冷戦後の世界をアメリカの利益を優先させて、一極支配するためには、一国でも行動できるという思想がある。アメリカは、政治、経済、軍事、あらゆる分野で優位であり、いかなる対抗者も現れない世界をつくるというわけである。この間、自国の利害から「国際法」「国連憲章」など多国間の協調で決めたことは、ことごとく無視している。
その最たるものは、2000年5月、ニュ−ヨークのNPT再検討会議の到達点である「核保有国による保有核兵器の廃棄に関する明確な約束」への対処が一向に見られないことであり、逆にCTBTを批准しない、超小型核兵器の開発に踏み込むなど、2000年5月の約束に逆行している。これに対応した軍事戦略が「ブッシュ・ドクトリン」であり、その適用第一号がイラク侵略である。ブッシュ政権は、9.11事件の衝撃を最大限利用して、対テロ戦争の「暴力の連鎖」をスタートさせ、2002年1月、第二段階に入った。
年頭教書、NPR(Nuclear Posture Review)核態勢見直しで、<イラク、イラン、朝鮮民主主義人民共和国>を「悪の枢軸」と名指しし、テロリストに武器を提供するテロの同盟者と決め付け、アメリカは、「自衛のためには先制攻撃で相手の主権を抹殺する権利がある」としているのである。NPRでの仮想敵は、悪の枢軸3カ国とシリア、リビア、ロシア、中国の7カ国をあげ、その矛先はまずイラクへ向かい、一方的な侵略行為を行なった。逆らえばこうなるぞ! アメリカに睨まれたら、何を言いがかりにしてつぶされるかわからないと言う戦々恐々とした状態を作り出した。
ブッシュ・ドクトリンは、世界戦略であり、日米新ガイドラインもその一部である。つまり、日米新ガイドラインは、アメリカの先制攻撃戦略のアジアにおける戦闘行為に対して、日米が協力して臨むための軍事同盟となる。そして有事法制は、新ガイドラインの重要な柱である。武力攻撃事態が、「予測される」場合においても、『自衛』の名において、先制攻撃ができるという、いわば、ブッシュ・ドクトリンを日本も実行できるといった項目さえ備えていることは驚くベきことである。この結果、有事法制は、これまでとはひと味も二味も違う性格を帯びることとなった。「アメリカの先制攻撃」による戦争の片棒を担ぐとともに、それに派生した日本への攻撃に対処するための法として、「専守防衛」すら踏み外す要素を持つこととなった。有事法制ができ、発動されたら日本は、「戦争、それも侵略戦争の一部を担う国に」なり、憲法は停止する。その意味で、『イラク戦争とは何だったのか』を国会で十分審議すべきなのに、その観点からの議論は、全く行なわれなかった。与党はもとより、与党と安易に妥協した民主党の犯罪性は極めて重い。
3月20日からイラクで何が起きたのか、報道されているものを並べただけでも、心に刻まねばならないことが山積している。
米英軍は、あらゆる種類の通常爆弾の在庫一掃をはかるかのように大量の準大量破壊兵器を使用し、イラク市民に襲いかかった。民間人2500人、イラク兵3−4000人、米英兵140人、ジャーナリスト15人など多くの人々が死亡し、負傷者は正確な数もわからないほど多数にのぼっている。世界四大文明の一つであるチグリス・ユーフラテスの自然と歴史的遺産も破壊しつくされた。このどこにも正義はない。この点についてどう考えるかを論議することが国会の任務である。 国会は、その本質的議論を回避し、朝鮮半島の緊張を強調して、市民の漠然とした恐怖心に依拠した極めて安易な方法で、戦後の枠組みを、一気に変えてしまう選択をしたのである。国会が、地球社会にとって、大きなマイナスの歴史を一
歩歩み出たことに、改めて強く抗議し、あくまでも廃案を求めるものである。
2003年5月15日
入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!
ピースリンク広島・呉・岩国 29団体
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