戦争国家体制を基礎づける有事関連三法案をはじめとする
諸法案に抗議し廃案を求めるアピール
(2003年5月15日)
出典:他文化ML
 アメリカの一方的なイラク戦争終結宣言以降、「帝国」的世界秩序を自明視する風潮が加速しています。一国の専制的突出に厳重な歯止めをかけた国際連合秩序を旧いものとみなし、超大国アメリカの「帝国」的世界支配に追従することを良しとする現実主義が横行しているのです。
 このような現実主義をもちあげる人たちは、アメリカの「帝国」支配の戦争に抗して立ち上がった世界的な市民連帯の、力強いもうひとつの現実をなきものとしようとしています。1月から4月にかけて,パリ、ベルリン、モスクワ、北京のみならず、ロンドン、ニューヨーク、ワシントン、そして東京、大阪など世界の各都市において、1000万人近い人たちが、このたびの戦争が示唆する方向に強い危機意識を抱き、非戦ネットワークをグローバルに展開したのです。
 しかしながらブッシュ政府は国際世論に背を向け、イラク解体に留まることなく、次なる標的をちらつかす恫喝政策をとり続けています。こうしたブッシュ政権の高圧的姿勢に「北朝鮮」は追いつめられ、核を盾に取った瀬戸際外交を展開しています。東アジアでは、現在非常な緊張が高まっています。
 このような事態において、国境を越えた全ての人々の安全と平和を保障する冷静な外交的解決が求められます。しかるに日本政府とそれに癒着したマス・メディアは、アメリカの「帝国」的政策に便乗することこそ国益とみなす危険なキャンペーンを行っています。さらに戦後日本の非戦体制を覆し、戦争国家体制を基礎づけるための諸法案を提出しつつあります。
 特に問題なのが、有事関連三法案(武力攻撃事態対処法案・自衛隊法改正案・安全保障会議設置法改正案)です。これは殊更に外部からの攻撃を強調することで、戦争国家体制を整備することを狙った法案です。この法案では、有事の際には、国内に住む人々の基本的人権は制限され、公的・私的を問わず、営利・非営利を問わない全ての事業体が国家の要求に強制的に従わされることが明記されています。また自衛隊を国防軍へと再編成する意図も明確です。
 この他にも、市民の人権を制限する危険な法案が次々に提出されようとしています。国連「越境組織犯罪防止条約」を悪用した国内関連法「実行行為なき共謀罪の新設」が法務委員会で審議されています。これは、政府の諸政策に抗議する、市民の基本的権利を否定する非常な危険な法案の一つです。
 さらに憂慮すべきなのは、戦後の非戦体制、学問の自由などを支えていた教育・研究のあり方を改悪しようとする動きです。国立大学法人法案は、大学の自治、研究の自由を侵し、大学を文部科学省の完全な統括下に組み込み、戦争国家体制に協力させるための法案に他なりません。この法案は、今後予定されている、愛国心の強要を教育の基本とする教育基本法改悪と連動しています。
 私たちは、アメリカの「帝国」政策に追従し、戦争国家体制を強化することを狙う現政府の矢つぎばやの法案提出とおざなりの国会審議に対して、心からの怒りを禁じ得ません。私たちは、安全と平和を求める世界の市民と連帯して、「帝国」とそれに追従する日本政府に抗議し、戦争国家体制を基礎づける諸法案を廃案にすることを、強く求めます。
 
 2003年5月15日
 「女性・戦争・人権」学会









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