有事法制に反対するNGO非戦ネット緊急声明
(2003年5月29日)
出典:NGO非戦ネットML
 私たちは、国際協力・交流活動に取り組むNGOの立場から、また、真に平和を願う市民の立場から、アジアの平和と共生を妨げる「武力攻撃事態対処法案」「自衛隊法改正案」「安全保障会議設置法改正案」の有事関連三法案に、繰り返し、強く反対します。
 
 武力で平和は守れない
 「対テロ」を掲げたアメリカの軍事戦略は、今、世界中で多くの犠牲者を生み、対立する立場にある人々の憎悪を増幅し、暴力の危険をことさらに高めています。それは、アフガニスタンへの空爆やイラクでの戦争が一応の収束を見た今もなお、むしろ以前にも増して、世界各地でテロが相次いでいることを見れば明らかです。武力では、決して平和を守ることはできません。だからこそ、かつて日本は、人を信じる道を選び、武力を放棄する憲法を定めたのではなかったのでしょうか。
 米英軍によるイラクへの軍事侵攻は、結果として、破壊と殺戮、略奪と無秩序、そして、愛する人を失った多くの市民の悲しみをもたらしました。アメリカがいうところのイラクの「自由」は、多くの貴い命を奪うほどの価値のあるものだったのでしょうか。武力行使が本当に、唯一の問題解決の手段だったのでしょうか。何ゆえ、あれほどまでに大きくなった世界の人々の反対の声を無視してまで、イラクに爆弾を落とす必要があったのでしょうか。数千人もの一般市民の命を奪う「正義」とは、いったい、何だったのでしょうか。その戦争を支持し、協力した日本政府は、自らの判断の正しさを国民に十分に説明していません。

 有事法制がもたらす新たな不安
 今、日本の政府は有事法制を成立させようとしています。有事法制は、他国などを「脅威」とすることで、市民の恐怖心をあおり、疑心暗鬼を増幅させます。同時に、日本が「見えない脅威」に「備える」ことは、かえってアジア諸国の信頼を損ない、いたずらに緊張を高めてしまいます。実際、今回の有事法案には、海外からも危惧と反対の声が届いています。
 日本国憲法では、戦争の放棄とともに「軍備」をも否認しています。まさに同9条の規定に「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」とあるように、一国の平和ではなく、国際社会全体の平和を追求する姿勢が求められています。
 しかしながら、今回上程されている有事法制の議論において、基本的人権は、あくまでも有事における国内の統制に対する対抗措置としての議論に終始し、グローバル化した世界の現実を踏まえての国際人権の視点からは、程遠いものであることは極めて残念なことであります。
 また、法案では「有事」の認定から対処までが首相と一部の官僚の判断で進められることになっており、事前の国会承認すら保証されていません。将来にわたって世界と日本の関係を決定するには、あまりにも拙速かつ危険な手段を認める法律だと言わざるを得ません。一旦これが成立すれば、市民による多様な議論が排除される傾向が強まるばかりか、狭義の『国益』に囚われる国民性を増長しかねません。世界の国々と良好な関係を築いていく十分な努力をせず、アメリカの政策を無批判に受け入れ、協力体制の強化につながる有事法制を敷くことは、かえって日本に暮らす市民の安全を脅かすことになります。
 
 世界の人々と共に生きていくために
 日本はいつから、自国のことのみを考え、他をかえりみない国になったのでしょう。世界の平和が揺らいでいる今、本当に必要なことは「見えない脅威」に「備える」ことではなく、脅威の芽を一つ一つ摘んでいく、たゆまない努力です。
 私たち、NGOに関わる者は、世界各地の難民キャンプで、スラム地域で、貧困にあえぐ農村で、大国の勝手な思惑に翻弄されながらも、必死に家族を守り、希望をもって生き抜こうとする人々と共に歩んできました。
 今、私たち日本人に求められるのは、「脅威」を脅威として意識化させることではなく、市民レベルの交流も含めた多様な対話のチャンネルを創っていくことです。対話の道を閉ざし、平和的解決の選択肢を狭めてはいけないのです。

 以上の観点から、私どもは、有事法制の成立に反対します。

 2003年 5月29日
 NGO非戦ネット (特定非営利活動法人)アーユス仏教国際協力ネットワーク アジア女性資料センター
 移住労働者と連帯する全国ネットワーク インドネシア民主化支援ネットワーク 
 (特定非営利活動法人)幼い難民を考える会 (社団法人)神奈川人権センター カラバオの会
 旧ユーゴの子ども達を支援する会 「月刊自然と人間」編集部 (特定非営利活動法人)草の根援助運動
 市民ピースネットワーク山梨 (特定非営利活動法人)地球の木 TICO(徳島で国際協力を考える会)
 (特定非営利活動法人)日本国際ボランティアセンター 日本ネグロス・キャンペーン委員会
 日本ビルマ救援センター ピースボート 非暴力平和隊・日本 (特定非営利活動法人)宮崎国際ボランティアセンター
 ヤブカ基金 ユーゴネット    以上 22団体










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