核融合科学研究所重水素実験中止調停申請事件に関し、本日、公害等調停委員会の調停委員会は本調停を打ち切ると発表しました。このことについて、当会の見解をここに明らかにします。
私たち申請人は、本件調停が不調となったことは、非常に残念な結果だと受け止めています。
2001年5月28日、7,895名のの市民が重水素実験の中止を求め岐阜県公害審査会に調停申請をして以来(この申請後の申請人を合わせて総数は、8,138名)、この事件を実際に担当された国の調停委員会は、弁論、現地調査及び参考人意見陳述等の調停手続きを実施しました。私たちはこれらの努力に対して深く感謝の意を表明します。
私たちは、10月2日に調停委員会が示した調停案について検討会を開き、これを受諾しないことを参加者全員で決定しました。この決定は、今年初めに開いた3回の総会において、重水素実験の容認を前提とした調停案を提示すべきか否かを議論した結果に基づいています。この時点で、私たちはいかなる条件であろうと重水素実験の容認はあり得ない事を確認し合いました。
調停案は、調停の趣旨において、核融合科学研究所(以下「核融合研」という。)に対する周辺住民の不信感とこの実験への不安に理解を示していながら、調停条項において、重水素実験の実施を容認するものになっており、失望を禁じ得ません。
申請人は、放射性物質のトリチウムと中性子、ならびに中性子の放射化作用により新たに大量に発生する放射性廃棄物によって、住民の健康と命が脅かされ、環境が悪化する事態を招かないために、重水素実験の中止を求めてきまし
た。1回10秒間のD―D実験で発生する中性子線量は、500シーベルトで、東海村のJCO事故で亡くなった大内さんが被曝した線量の25〜30倍であり、この実験による発生量は決して微量ではありません。このような実験を1年間に100〜1000回も行うことを私たちは認めるわけにはいきません。そもそも、大型住宅団地が近接し、22万人余の人が住むこの地域で、トリチウムと中性子を発生させる実験を行うことは無謀です。それゆえ、調停手続きの過程で、私たちは放射能が発生することの無い実験にとどめるよう提案しましたが、それは受け入れられませんでした。以上が、私たちが調
停案の諾否を判断した基本的立場です。
また、調停案には次のような問題点があります。
(1) 多治見市環境審議会の提言にある「科学的な指標値に基づく安全性評価が、社会的には必ずしも受容可能なもの とはなり得ない」という基本的な考え方に対する 見解が示されていません。
(2) 実験年数が明示されておらず、トリチウムと中性子の発生総量が抑制されるかどうかは不透明です。
(3) 将来においても、この地域でのD―T実験を禁止するとしながら、D―D実験において必然的に起きるD―T反応に ついて、その見解を示していません。
(4) 技術評価会(仮称)のメンバーの人選は核融合研が行うので、公正中立な立場からのチェック機能が働くかどうか 疑問です。また、その「意見を尊重する」としていますが、意見の採否は核融合研が決めることになります。
(5) 事故が起こった時の操業停止の措置が定められていません。
(6) 調停条項の内容は、本調停の前に示されていた重水素実験推進のための六者協定書案と基本的に同じで、それ から一歩も前進していません。
すでにこの地域では、高レベル放射性廃棄物の地層処分政策に基づき、核燃料サイクル開発機構は、広域にわたる地下調査を行い、国が公表してきた処分場と同じ面積の区画を土岐市泉町河合・定林寺地区に設定し、最終処分場選定のために不可欠な地下施設になり得る超深地層研究所の建設を進め、また、国はこの施設を対象に電源三法交付金を交付しています。
そのうえ、人工的な放射能を発生させる核融合研の重水素実験を認めるなら、それは東濃西部地域を核のまちにしていくことに拍車をかけることになります。
私たちは、引き続き、核融合研の重水素実験の中止を求め、市民の知恵を創意に依拠した運動を持続します。
以上
2003年11月12日
東濃・放射能公害を考える会
代表 寺尾 光身
TOP APPEAL-TOP ECOAPPEAL-TOP