日朝学生有志による院内集会アピール
(2003年3月17日)
出典:賛同者宛のメール
 2003年3月6日、文部科学省(以下、「文科省」)は、これまで国内の外国人学校修了者に対して否定してきた大学受験資格を、米英の民間評価機関が認定した16校の「インターナショナルスクール」修了者にのみ認めることを発表しました。それ以外の外国人学校の受験資格問題については、「引き続き検討する」と述べるにとどまりました。私たち「民族学校にも受験資格を!」日朝学生有志による院内集会参加者は、この決定(以下、「本決定」)に深い憤りを表明し、断固として抗議します。
 1.本決定は、人権侵害をさらにおしすすめるものであり、国際的な人権重視の流れに逆行しています。
 受験資格問題をはじめとする日本政府の民族学校に対する政策については、既に国内外から「重大な人権侵害」として注目が集まっていることは周知のとおりです。日本が批准している「子どもの権利条約」、「人種差別撤廃条約」では、国内の民族集団が自己の文化や言語を学び、固有の文化を維持発展させる権利が謳われています。日本の現状がこれらの条約に違反していることは、日弁連による調査報告書(1997年)も明記しているとおりです。2001年には国連・人種差別撤廃委員会が、在日朝鮮人生徒の進学に関する不平等な取り扱いに対して、適切な措置を取るよう日本政府に勧告しています。本決定は、これら内外からの厳しい非難の声に耳を傾けず、人権侵害をさらにおしすすめるものであり、国際的な人権重視の流れに逆行しているといわざるを得ません。
 2.本決定は、日本の歴史的責任を忘却し、民族学校への弾圧と差別の歴史を追認するものです。
 今回のような民族学校に対する差別は今に始まったことではありません。私たちは、植民地時代から植民地解放後の今日に至るまで続いてきた民族差別の延長上に、本決定があると考えます。日本はこれまで民族学校、特に外国人学校の半数を占める朝鮮学校に対する不当な差別・弾圧を続けてきました。これは今日まで続く植民地主義の負の遺産に他なりません。日本政府が、本当に植民地支配による損害と苦痛を「反省」するのであれば、現在も続くこの植民地主義の問題を克服していく必要があります。今回の決定は、そのことに対する誠意の欠如を示すものといわざるを得ません。
 3.本決定は、今日の日本社会における多民族化・多文化化の流れを歪曲するものです。
 今日、日本国内には多くの外国人移住労働者が在留しており、多民族化・多文化化が進んでいます。しかし、日本の教育制度のなかでは、こうした移住労働者の教育の権利も保障されていません。文科省は「教育の国際化」を本決定の理由として挙げています。しかし、結果的に英語で教育をおこなう学校のみを優遇することになる本決定は、アジア系やブラジル系等の学校を排除した、偏った「国際化」であるといわざるを得ません。このような「国際化」とは、現実に必要とされている外国人の人権保障や日本社会における他者理解への努力を怠り、今日の社会の多民族化・多文化化の流れを歪曲するものに他なりません。
 4.本決定は、政策としての整合性を欠いています。
 本決定は文科省の教育政策としても矛盾をきたしています。例えば、99年度から大学院については各大学の判断にゆだねられ、実質的に国立大学は外国人学校修了者の受験を認めつつありますが、なぜ学部においては同じような措置が取られないのでしょうか。日本の大学への受験資格について、なぜ文科省独自の調査ではなく、英米の民間評価機関に丸投げするのでしょうか。海外の高等課程修了者には大学受験資格が認められるのに、なぜ国内の民族学校修了者には認められないのでしょうか。各国立大学に入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を明確化させるなどと述べて
いる一方で、なぜ外国人学校の入試問題については一律に縛ろうとするのでしょうか。専修学校高等課程の要件を満たしている外国人学校を、なぜ学校教育法第82条の外国人学校除外規定により、最初から排除しようとするのでしょうか。
 こうした制度としての一貫性のなさに加えて、本決定の背景には「朝鮮半島情勢をめぐる諸事情」に乗じた政治的判断があったとも指摘されています。いずれにしても、かけがえのない人生に深くかかわる教育の場が、文科省の恣意的といっても過言ではない判断によって左右されてよいのでしょうか。
 以上のように、外国人学校修了者の大学受験資格にかんする本決定は、歴史的経緯や社会の現実をかえりみない重大な人権侵害であり、差別的で不合理なものであることは明らかです。
 私たちは、外国人学校に対して大学受験資格を認めない日本政府の決定の不当性をここに問い、このような状況を乗り越えて、私たちが真に「私たち」ということのできる関係をめざして、今日ここに集いました。私たちは以下のことを呼びかけます。

 一.文部科学省は、全ての外国人学校修了者に対して大学受験資格を認めること。
 二.文部科学省は、大学受験資格にとどまらず、外国人学校の法的地位についての包括的改善と保障を図ること。
 三.各大学は、自主的な判断によって、全ての外国人学校修了者に対する受験資格を認めること。
 私たちは、今後もこの問題を厳しく注視し、それぞれの現場でこの問題の解決に向けて努力していくことをここに決意します。
 2003年3月17日
 「民族学校にも受験資格を!」日朝学生有志による院内集会
 参加者一同









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