文部科学省は2003年3月6日、次年度から外国人学校(高校段階53校)のうちインターナショナルスクール16校に限って大学入学資格を与えると発表した。ところが3月28日には、この「方針」をいったん凍結し、民族学校を含めて再検討する、と発表した。
文科省が「再検討」を表明せざるをえなかった背景には、短期間のうちに全国各地で、抗議の声を挙げてきたさまざまな「市民」の力がある。とりわけ、「私たちは民族差別の<加担者>になることを拒否します」と表明した国立大学教職員
「声明」には、わずか20日間余りで82の大学から1433人が名をつらね、3月11日と28日、文科省に申し入れをおこなっ
た。文科省が実施したパブリック・コメントでは、送られてきた1万3343通のうち1万2779通が「民族学校にも大学入学資格を認めるべきだ」という意見で占められた。このような、さまざまな「市民」の良心の声が、文科省の方針転換を促したのである。
しかし、文科省は3月31日、欧米系のインターナショナルスクールを設置している法人を、免税措置がとられる「特定公益増進法人」に加えると告示した。そこでは、またもや、外国人学校の多数を占める朝鮮学校や韓国学園、中華学校、ブラジル人学校などが恣意的に排除されている。
同日に公布された所得税法・法人税法施行規則の一部改定省令では、「特定公益増進法人」に、「初等教育または中等教育を外国語により施すことを目的として設置された各種学校」を加えるとしながらも、文科省の告示では、その各種学校を「外交」「公用」や「投資・経営」「留学」など在留資格者の子どもを対象とする学校とし、欧米の教育評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールのみとしている。すなわち文科省は、3日前に凍結されたはずの大学入学資格に関する「判断基準」を、またもや持ち出したのである。3月6日の「文科省方針」がそうであったように、今回の「文科省告示」もまた、排外主義によるあからさまな差別政策である。外国人学校に通う子どもたちの多くは、16歳になると無理矢
理、外国人登録証を持たされ、高校を卒業する時は大学入学の門戸を閉ざされている――このような不条理な社会に生きていくことを、私たちは子どもたちに強いつづけていいのだろうか。
1.私たちは政府・文科省に対して、高等学校に準じた教育をしているすべての外国人学校の大学受験資格を来年度入学から認めること、免税措置や助成金における差別をなくすこと、すなわち学校教育法第1条に定める「高等学校」と同等の処遇を保障することを求める。
2.私たちは国会に対して、国際人権条約および国際人権機関の勧告に基づく法制度の実現に向けて、ただちに外国人学校関係者の公聴会開催と実態調査を開始することを求める。
2003年6月1日
すべての外国人学校の大学入学資格を求める実行委員会
田中 宏(龍谷大学教員)/佐藤信行(在日韓国人問題研究所)/駒込 武(京都大学教員)
水野直樹(京都大学教員)/金東鶴(在日本朝鮮人人権協会)
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