2004年4月、東広島市に県立併設型中高一貫校として開校される広島県立広島中学校で使用する教科書選定につき、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」)編の歴史・公民教科書を採択させようとする動きが、一部の国会議員、地方議員らを中心に続けられていることに、わたしたちは大きな危惧を抱いています。
「つくる会」編の教科書は、以下のように多くの問題点を含んでおり、ヒロシマの子どもたちが使う教材として全く不適切であるとわたしたちは確信しています。
公民教科書の「核兵器廃絶という理想を考える」というコラムでは、「核兵器廃絶」が、実現不可能な空論であるかのように記述されています。複数の「つくる会」理事がある誌上に、日本の核武装を推進あるいは容認する内容の文章を寄せていることからも、この教科書記述の背後にある意図は明らかと言わねばなりません。被爆という歴史的体験に基づき、長年「核兵器廃絶」を世界に訴え続けてきたヒロシマの願いを踏みにじる教科書は、ヒロシマにふさわしくありません。
歴史教科書では、日本による韓国併合を「日本の安全と満州の権益を防衛するために必要…」と記述し、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、「アジア諸国の独立を早める一つのきっかけとなった」としています。また、日本軍「慰安婦」には全く触れず、南京大虐殺を真相不明とするなど、アジア蔑視の歴史観のもと、日本の戦争責任を隠蔽し、侵略・植民地支配を正当化し、戦争を美化する内容となっています。これではアジア諸国との和解と共生の道が開かれるはずもな
く、日本はもとより韓国、中国など、アジア諸国から広範な抗議と憂慮の声が上がっています。このような教科書が万が一にも採択されるようなことがあると、広島県のアジア諸国・諸都市との友好推進施策にも大きな影を落とすことは必至です。
また、歴史教科書は、神話の記述に多くの紙数を充て、大日本帝国憲法下の教科書と同様の記述もみられます。神話に登場する「神」名を人名索引に記載するなど、神話と史実を意図的に混同させる内容となっています。このような記述は、子どもたちが事実を客観的にとらえる科学的思考力を養うことを阻害すると言わざるを得ません。
ヒロシマは「平和」の発信地として、全世界の注目を集めています。その歴史的体験の重さゆえに、ここから発するメッセージは一定の信頼をもって受け止められてきたのです。そのヒロシマの地で「つくる会」の教科書が使われることになれば、ヒロシマに対する世界の信頼を損なうことにもなりかねません。
わたしたちは、「つくる会」教科書がヒロシマの地にふさわしくないことをここに確認し、県立広島中学校(中高一貫校)の教科書として採択されないよう、広く内外に訴えるものです。
2003年8月7日
「『つくる会』教科書の採択を許さないヒロシマ県民集会」
参加者一同
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