総合理学研究科有志教員『声明』
(2003年10月21日)
出典:aml
 1. プロジェクトR幹事会の改革案である『大学改革案の大枠の整理について03- 8-18』,および,『大枠整理(追加)について03-9-26』に対して,本研究科はもとより,全学の教授会等から多くの反対意見・批判意見が表明された.にもかかわらず,今回の,プロジェクトR幹事会の結論である『横浜市立大学の新たな大学像について(案)03-10-17』[1]には,これら一般教員の意見を真摯に検討し改革案作成に反映させようという姿勢がまったくみられない.
 このように,今回の案は,少数の教員と事務局員(プロジェクトR幹事会幹事[2])により,一般教員の意向を無視して秘密裏に作成されたものであり,われわれはこの案に対して何の責任もないことは明らかである.一般教員の意向を一貫して無視することによりプロジェクトR幹事会をミスリードしてきた小川恵一学長は,したがって,われわれを代表する者として,もはや,認めることはできない.
 2.すなわち,去る8月28日に集約した『総合理学研究科八景委員会における意見』で指摘した問題点やその後の研究科委員会における意見が,今回の『横浜市立大学の新たな大学像について(案)03-10-17』の中にまったく反映されていない.たとえば,
 (1)1行政による統制強化が懸念される,独立行政法人化を前提にした改革
 (2) 教員自身による民主的な大学運営である「大学の自治」の破壊を意味する,人事権・予算権が剥奪され,しかも,構   成員も限定された教授会組織,
 (3)専門性や公正さが保障されない恐れの強い「人事委員会」制度 
 (4)明るい将来像が望めない,3学部の1学部への縮小・統合や博士課程の廃止
 (5)「プラクティカルなリベラルアーツを目指した実践的な国際教養大学」という不明瞭で魅力に乏しい目標
 (6)学長(教学組織の長)と理事長(経営組織の長)を分離し,学長を副理事長として経営組織に参画させるという経営
   重視の組織形態
 (7)「学問の自由」を危うくする,全教員に対する任期制・年俸制の導入
 (8)「研究は,外部資金を獲得して行う」という研究軽視の方針
 (9)公正さや客観性を欠く恐れの強い評価制度,および,「評価結果は,処遇(年俸など)・研究環境(研究費など)・任期 (再任の審査)などに反映させる」という恫喝的な手法の導入
などの多くの問題点である.
 3.とくに,人事権・予算権が剥奪された,従来の教務委員会に等しい役割しか有さない,しかも,構成員の限定された教授会組織の創出は,教員自身による民主的な大学運営である「大学の自治」を完全否定するものであり,認められない.
 4.また,全教員を対象とする任期制の導入は,教員の身分をいたずらに不安定化し,憲法および教育基本法等の諸法体系により保障された「学問の自由」を危うくするものであり,また,教員労働市場の観点からみても“良貨は移出し,悪貨のみ残る”悪しき制度設計であると考えられるので,認められない.
 5.さらに,公正さや客観性を欠く恐れの強い評価制度,および,「評価結果は,処遇(年俸など)・研究環境(研究費など)・任期(再任の審査)などに反映させる」という恫喝的な手法の導入,あるいは,「評価については,大学あるいは組織の目標に沿って,『大学から求められた役割をきちんと果たしているか』の視点が重要」と記述されている部分は,憲法で保障された「学問の自由」を全く考慮していないばかりでなく,それを破壊するものであると断定せざるを得ない内容である.また,教育基本法10条に謳われた「教育は,不当な支配に服することなく,国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」にも抵触する.これらが実施されれば,大学が大学であるために欠かせない「批判的精神」は根絶やしになることは火を見るよりも明らかである.たとえ「大学」という名前は残ったとしても,その内実はもはや「大学」とは呼べない虚構にすぎない.

 2003年10月21日
 横浜市立大学総合理学研究科有志教員









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