教育基本法の改悪に反対し基本法の理念を
生かした教育改革を求める呼びかけ
(2002年11月13日)
出典:aml他
 中央教育審議会は、10月30日、文部科学大臣が諮問した「教育振興基本計画の策定と教育基本法の在り方について」に対する中間報告案をまとめました。年明け1月には早くも最終報告をまとめ、今通常国会に教育基本法の改悪法案が提出される見込みです。教育基本法は、日本国憲法と一体のものとして、1947年の制定以来、戦後教育の中心に位置づけられてきました。その教育基本法が、ほとんど国民に知らされることなく、幅広い議論が十分に保障されないままに、一部の人たちだけの一方的な意見によって改悪されてしまうことに、私たちは強い危惧を抱くものです。
 教育基本法は、その前文にあるように、第二次世界大戦にいたる、戦前の教育の過ちを繰り返さないため、個人の尊厳を重視し、真理と平和を希求する人間の育成や、教育を通じた普遍的で個性豊かな文化の創造を目指そうとしてきました。その価値は今でも輝きを失わず、むしろ今こそ重視されるべきものなのです。この教育基本法の価値に対して、戦後一貫して否定的な立場から教育政策を推進してきた政府の側が、今になって種々の教育問題の責任を教育基本法に押しつけ、「改正」しようとすることは問題のすり替えです。
 現在の教育は様々な課題を抱えています。いじめや不登校、引きこもり、非行、受験競争など、問題は深刻さを増しています。ところが、政府は少人数学級など、よりよい教育環境を作り出そうとするのではなく、構造改革の名の下に教育予算を減らし、地方に負担を押しつけようとしています。一方で、学校や教職員への管理が強化されたり、国立大学の法人化、高校教育の多様化、小中学校での学校選択などが推進され、さらなる競争社会がつくられようとしています。

 今回狙われている「改正」は、教育基本法の文言の修正や、一部の条文の追加にとどまらず、教育基本法の性格そのものを転換してしまうものです。中間報告案が最も強調していることは、「世界に生きる日本人としてのアイデンティティ」の形成であり、その基礎としての「伝統、文化を尊重し、郷土や国を愛する心」の育成です。本来、郷土愛や愛国心は、自然に、自発的に生まれるべきもので、教え込まれたり、強制されたりすべきものではありません。愛国心や奉仕・献身の心が今改めて強調されるのは、有事立法、日本国憲法改悪など、戦争に国民を動員する体制づくりと、教育基本法「改正」とが一体のものであることを示しています。
 現在の教育基本法は、「国民」という用語を使用しています。「国民」であれば、日本に暮らす全ての人々を指すと考えることも可能ですが、「日本人」の育成を目指すことになると、アイヌの人々や、在日外国人の人々のことは除外されたり、「日本人」であることを強制されることにもなりかねません。また、歴史や伝統、文化は、正の側面ばかりでなく、戦争や差別など、負の側面も含んでおり、そのことへの批判意識を育てることも教育の重要な課題です。
 私たちは、平和や民主主義、基本的人権の尊重をうたった教育基本法こそが、21世紀の日本や国際社会の担い手を育てる教育の根本としてふさわしいと考えます。今こそ、教育基本法の精神に立ち返った教育の実施を求めます。
 私たちは、教育基本法の「見直し」に反対するとともに、多くのみなさんと力を合わせ教育基本法が生きる教育と学校の実現をめざします。


 2002年11月13日
 教育基本法を守り、秋田の教育に生かすネットワーク(略称:教育基本法秋田ネット)
 発起人
 代表:戸田金一(秋田大学名誉教授)
    内藤眞吾(秋田県教職員組合委員長)
    渡部雅子(秋田県高等学校教職員組合委員長)
    工藤一紘(秋田和洋女子高等学校教職員組合委員長)
    佐藤修司(秋田大学教職員組合委員長)











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