個人情報保護新法案の国会上程を批判する
(2003年3月28日)
出典:個人保護法バスターズML
 修正された個人情報保護法は、3月7日に閣議決定され、政府は、今国会での成立を目指しているという。
 コンピュータ社会の到来によって、個人情報が丸裸にされる監視社会が到来した時代に私たちは否応なく生きている。行政機関や国が集約して持つ個人情報が漏洩することから保護しなければならないのは当然のことだ。とりわけ8月から国民一人一人の情報を一元化する住民基本台帳が稼働、ICカードが導入されようとしている現在、ますます個人情報の保護は重要になっている。
 しかしながら、この法案は、前の国会に上程され、廃案となった法案の形を変えた再登場に過ぎない。この法案の構造そのものが、公権力が個人情報を守ってやるというものであり、本来は情報の集中する公権力から個人を守るべきものであるのが転倒しているのである。このことは新しい法案でも何の変わりもない。
 なぜこのような転倒が起こるのか。個人情報を管理する権利は個々人にあるのであり、公権力が個人情報を守るという大義名分で個々人に介入することは、一般市民の管理のための法律として機能させようとしているからに他ならない。すなわちこの法案は、表現者一般にたいする規制法として機能することは明らかである。
 今回の法案は、基本原則を削除するとともに、フリージャーナリストや著述業などを適用除外とすることなどを盛り込んだことにより、あたかも反対意見に耳を傾けたような形をとってはいるが、憲法で保護されている言論・出版・表現の自由を中心的に担い、批判精神に富んだ報道を行なってきた出版社が適用除外に明記されていない。このことは、この法案の言論規制法としての本質を余すところなく示すものであることを、出版に携わる我々としては特に指摘しておきたい。
 ブッシュ米大統領がイラクを攻撃を発表した3時間後には、小泉首相はイラク攻撃支持を表明した。これまでの外交方針の柱であった国連中心主義をいとも簡単に捨て去り、世界中の反対を押し切って、戦争でものごとを解決しようという米国に追従したのである。こうした、戦争の時代の中で、国内では有事法制三法案の再上程、教育基本法改悪などとともにこの個人情報保護法案が言論規制法として登場しているのは明らかである。
 出版流通対策協議会は、こうした意味で個人情報保護法案の廃案を求めるものである。

 2003年3月28日
 出版流通対策協議会会長・菊地泰博
 









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