小泉内閣が今国会に提出した個人情報保護法(修正)案は、4月8日に衆議院本会議で小泉首相自身による趣旨説明が行われ、その後もかつてない異例の速さで十分な論議のないまま法案の審議および成立が強行されようとしている。
この修正案の内容については、各界からさまざまな批判が公けにされてきた。それにもかかわらず、それらの正当な批判をまったく無視する形で、8月の住基ネットの本格稼動に間に合わせようとする政府与党の強権的なやり方に日本ペン
クラブは強く抗議する。
既に日本ペンクラブは2月17日の意見書で、民間部門対象の修正案が、国民全般に法網をかぶせる「包括法」であることと、主務大臣に絶大な権限を付与したままであること等を指摘し、他方、行政部門対象の法案が第三者機関の設置すら認めない身勝手さに貫かれ、国民一人ひとりの個人情報の取り扱いが不透明さに包まれることになると強く批判した。
これら修正案の問題点は何度でも指摘し、批判しなければならないが、いま私たちの目の前で行なわれようとしている拙速な審議そのものが、民主主義を形骸化させ、壊すものであることも見逃すわけにはいかない。
こうした事態を招いた最大の責任が政府与党にあることは言うまでもないが、その追求を行なうべき野党が提出した
「対抗法案」も、ほとんど政府案を下敷きにしたとしか思えない包括法であり、受け入れがたい。
いまからでも遅くない。個人情報保護法案に対するさまざまな指摘と批判に耳を傾け、そこから真剣に意味を汲み上
げ、十分な審議を尽くすこと、そして、そのすべてを明らかにすることを、政府与党、そして野党の議員諸氏に要求する。
日本ペンクラブは行政部門と民間部門双方の個人情報保護法案の廃案を求めてきた。この法案が言論表現の自由を脅かすものであることを改めて指摘し、拙速な審議に反対する。
2003年4月14日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛
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