アイレディース宮殿黒川温泉ホテルによる
ハンセン病元患者の宿泊拒否に対する会長談話
(2003年11月25日)
出典:NoForceML
 熊本県南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」がハンセン病元患者ら22人の宿泊を拒否した問題で、熊本県地方法務局と熊本県は11月21日、同ホテルの総支配人とホテルを経営する株式会社アイスター(東京都港区)を旅館業法違反の疑いで熊本地検に告発した。また熊本、東京両地方法務局は、同ホテル総支配人と株式会社アイスタ一に対し、ハンセン病元患者らの人権を著しく侵害した」として社員への指導、教育を徹底するよう文書で勧告した。
 私たち石川県保険医協会は、今春から「社会保障と人権」をメインテーマに社会保障セミナーを隔月開催している。特に9月、11月は「ハンセン病と人権」をテーマにハンセン病の歴史や専門医が果たした役割、現代における感染症と人権問題、ハンセン病訴訟熊本地裁判決の意義について学んでおり、今回の問題は決して看過できない。
 ハンセン病はらい菌によって皮膚、末梢神経が侵される病気であるが、らい菌の感染力は極めて弱く、治癒した元患者から感染することは全くないと云われている。実際に全国に13ケ所あるハンセン病療養所の職員で感染した人は一人もいない。
 2001年5月11日の熊本地裁判決は、国のハンセン病患者に対する強制隔離政策の違法性とその重大な人権侵害を断罪した。判決は国の長期に渡る強制隔離政策、無らい県運動等によってハンセン病患者の人権を侵害・剥奪し、国民の間に差別・偏見を作 出し助長したことを明確に認めた。裁かれたのは言われなき差別・偏見を作出・助長した国の責任である。
 このような画期的な判決が出された熊本県で今回のような重大な人権侵害が起きたことは誠に遺憾である。しかし今回の問題は一ホテル側のハンセン病への無知、差別・偏見によるだけではすまされない。この背景には判決後2年半経過しているにもかかわらず、判決が国に求めた原状回復義務 
 1)ハンセン病元患者の社会復帰の支援
 2)生活、医療の保障
 3)名誉回復措置 
 4)差別・偏見
の撤廃に向けた施策がいずれも不十分、不徹底なためである。
 当会では、ハンセン病元患者に対する言われなき差別・偏見による宿泊拒否について、株式会社アイスターと「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」に厳重抗議すると共に、熊本地方法務局と熊本県の刑事告発を支持し、さらに関係団
体、地方自治体、とりわけ厚生労働省に対し、今回の事件を教訓にして、このような人権侵害を二度と繰り返さないためにハンセン病問題に対する正しい知識の周知徹底はじめ万全の施策を講じることを強く要望する。

 2003年11月25日
 石川県保険医協会
 会長 井沢宏夫

 抗議先
 アイレディース宮殿黒川温泉ホテル総支配人
 株式会社アイスター社長
 要請先
 熊本県知事
 黒川温泉観光旅館協同組合
 熊本地方法務局
 東京法務局
 内閣総理大臣
 厚生労働大臣









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